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連載小説 ・ 飛ぶボール疑惑


 プロ野球セ・リーグで、3年連続最下位の神戸ベイライツ、今シーズンは好調で首位争いをしている。親会社の株式会社スポライはコンビニ業界第4位の企業だ。

 ミラクル・シックスと呼ばれる6回裏の大逆転で首位に立った翌日、インターネットの記事に、自分のチームの6回裏の攻撃のときだけ、低反発の統一球ではない飛ぶボールを不正に使っているという疑惑が報じられた。

 スポライ社員の中島光男は、コンビニ王と呼ばれる植田力オーナーから真実を調査するよう特命を受けて単身神戸に乗り込む。

 本小説は2012年6月完成(未公刊)。2013年に起きた「飛ぶボール」事件を予言したかのような作品である。


作者:滝沢 隆一郎(ペンネーム)

 『内部告発者』で第1回ダイヤモンド経済小説大賞受賞。弁護士。
 東京大学法学部卒。テレビドラマの法律監修が50作品を超える。35年間にわたって日本ハム・ファイターズの熱烈なファンである。

「連載小説 ・ 飛ぶボール疑惑」の 記事一覧

連載小説1回表:ブログに書かれた「飛ぶボール」疑惑で特命調査へ

連載小説1回表:ブログに書かれた「飛ぶボール」疑惑で特命調査へ滝沢 隆一郎 (2013/11/26) 

   1  ミラクル・シックス。  神戸ベイライツの6回裏の攻撃は、そう呼ばれている。負けているホームゲームを6回裏にひっくり返すのが、今年の得意パターンだ。…続きを読む

連載小説1回裏:震災下に「スポライは希望の灯り。営業できる店は開店せよ」

連載小説1回裏:震災下に「スポライは希望の灯り。営業できる店は開店せよ」滝沢 隆一郎 (2013/12/03) 

   3  中島光男は11階にある自分のデスクに戻ると、やりかけのカレンダー業務について、後輩にフォローするよう依頼した。部長には、会長室から、すでに急な出張…続きを読む

連載小説2回表:不思議と気になる社長秘書との出会いに

連載小説2回表:不思議と気になる社長秘書との出会いに滝沢 隆一郎 (2013/12/10) 

   1  太陽が西に傾いているというのに、新神戸駅のホームに立つと、熱風が体に貼りついてきた。中島光男は、ふーっと、息を一つ大きく吐き出した。  これから向…続きを読む

連載小説2回裏:第三者委員会設置の提案に社長は「よう、評論家」

連載小説2回裏:第三者委員会設置の提案に社長は「よう、評論家」滝沢 隆一郎 (2013/12/17) 

   2  直後、どんと大きな音をたててドアが開いたかと思うと、赤茶色の塊、いや、よく見ると、その色のスーツを着た小太りの男性が身体ごと勢いよく入室してきた。…続きを読む

連載小説3回表:顧問弁護士とともに監督・選手に事情聴取した結果は…

連載小説3回表:顧問弁護士とともに監督・選手に事情聴取した結果は…滝沢 隆一郎 (2013/12/24) 

   1  翌朝、中島は習慣どおり午前6時30分には目が覚めた。球団事務所に呼ばれているのは午前10時だったから、ずいぶんと時間があった。ホテル内で営業してい…続きを読む

連載小説3回裏:飛ぶボールを試合に使うことは可能なのか?

連載小説3回裏:飛ぶボールを試合に使うことは可能なのか?滝沢 隆一郎 (2013/12/31) 

    3  「お疲れ様でした」と明るくねぎらう声で、木村亜矢子社長室長が入ってきた。中島は簡単に面談の様子を報告した。この日の聞き取りは、岩丸弁護士がメモを…続きを読む

連載小説4回表:調査委員会初会合で議論の行方は…

連載小説4回表:調査委員会初会合で議論の行方は…滝沢 隆一郎 (2014/01/07) 

    1  球団事務所4階の会議室、今年のスローガン「主役をめざせ!」と大きく筆書きされたポスターが貼られている。昨夜の大敗から一夜明けて、午後1時から調査…続きを読む

連載小説4回裏:「この女性と一緒なら何かが変わるかも」と思ったとき

連載小説4回裏:「この女性と一緒なら何かが変わるかも」と思ったとき滝沢 隆一郎 (2014/01/15) 

    3  どれくらい時間がたったのだろうと、中島は思った。白い天井がぼんやり見える。身体を起こそうとして、背中に強い痛みを覚え、苦悶の言葉がもれた。  「…続きを読む

連載小説5回表:コンビニ店長の独白と自己責任

連載小説5回表:コンビニ店長の独白と自己責任滝沢 隆一郎 (2014/01/21) 

    1  中島光男は、昨夜のレターのことを考えていた。これ以上、飛ぶボール疑惑の真相探しをするなという警告文であることは疑いない。死人が出るというのは、中…続きを読む

連載小説5回裏:プレスリリースに記者から苦情

連載小説5回裏:プレスリリースに記者から苦情滝沢 隆一郎 (2014/01/28) 

    3  中島がスポライ本社に戻ると、1階入口のロビーが騒々しい。近づいてみると、4、5人の男たちに囲まれて、短躯の久松優球団社長が何やら興奮気味に応答し…続きを読む

連載小説6回表:若きIT長者の提案と恫喝

連載小説6回表:若きIT長者の提案と恫喝滝沢 隆一郎 (2014/02/04) 

    1  「ファンと乱闘する球団職員と書かれたとは愉快だな」  「申し訳ございません」  「まあ、笑ってばかりもおられんな」  にこやかに笑っていた植田力…続きを読む

連載小説6回裏:調査委員会の結論の方向性は

連載小説6回裏:調査委員会の結論の方向性は滝沢 隆一郎 (2014/02/11) 

    3  「おい、中島、生意気な連中だったな」  専用車に戻ると、植田はそう言って相好を崩した。  「そうですね。うちが球団を売却して、当然買えるものと決…続きを読む

連載小説7回表:エース投手との対話、白球の衝撃

連載小説7回表:エース投手との対話、白球の衝撃滝沢 隆一郎 (2014/02/18) 

    1  世界は破滅に向かっている。  巨大地震、人智を超える津波の破壊力、制御不能の原発事故、空気と大地と海洋にまき散らされた永久的な放射能汚染。地球温…続きを読む

連載小説7回裏:「ぼくは口が堅いのだけが取り柄なんだ」

連載小説7回裏:「ぼくは口が堅いのだけが取り柄なんだ」滝沢 隆一郎 (2014/02/25) 

    3  2日後の江口は最高だった。中島はバックネット下、1塁ベンチ脇の半地下にある球団関係者席、通称金魚鉢を出て、1塁側内野スタンドで観戦した。露骨に嫌…続きを読む

連載小説8回表:コンビニ本部直営の最新大型店で

連載小説8回表:コンビニ本部直営の最新大型店で滝沢 隆一郎 (2014/03/04) 

    1  「ベイライツ、調子を取り戻しましたね」  「そうだといいですわ。でもうまくつづくかしら」  「あまり嬉しそうじゃないみたいですね」  「いえ、そ…続きを読む

連載小説8回裏:ゲームの世界の架空通貨と景品表示法

連載小説8回裏:ゲームの世界の架空通貨と景品表示法滝沢 隆一郎 (2014/03/11) 

     3  東京本社に戻った日、中島は植田オーナーの秘書にアポイントを求めた。すぐに植田の方も急用があるからと呼び出しが来た。閑職とはいえ、この1ヶ月以上…続きを読む

連載小説9回表:飛ぶボール疑惑の真相

連載小説9回表:飛ぶボール疑惑の真相滝沢 隆一郎 (2014/03/18) 

     1  10月8日、晴れ。  首位東京ジーニアス、143試合、74勝59敗10分、勝率5割5分6厘。  2位のベイライツ、143試合、72勝59敗12…続きを読む

連載小説9回裏:最終試合の結末、企業トップの態度

連載小説9回裏:最終試合の結末、企業トップの態度滝沢 隆一郎 (2014/03/25) 

     3  1人残された室内で、中島はテレビをつけ試合経過を確認した。ベイライツは3対4と追い上げている。固さが取れ、平常心を取り戻したようだ。逆転までも…続きを読む

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