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ニューズ&コメンタリー

管理区域外に大量の汚染水発見、処理は無理?

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 東京電力福島第一原子力発電所は、建屋を破壊され、外界に放射性物質を放出する異常な事態に陥っている。3月28日、2号機タービン建屋の海側にあるトレンチの中に高い放射線量の水が大量に詰まっている事実が明らかにされた。東京電力は3月28日、事態にどう対処したのか。東京都千代田区内幸町の東京電力本店から報告する。


 ■28日未明

 28日午前零時52分、原子力設備管理部の3人の課長らの記者会見が始まる。各プラントの最新状況を説明するための定例の記者会見だ。

 前日の27日からこの日の未明にかけて、タービン建屋地下で見つかった「たまり水」の放射能の測定結果に関する発表が一転二転し、武藤栄副社長の記者会見が3回も開かれ、その最後の会見が直前まで続いていた。そのあおりで、3人の課長の会見の開始が遅くなった。

 まず取り上げられるのは、「たまり水」をどこに移すか、という問題。

 すでに1号機ではタービン建屋内にある復水器に移しつつあるが、2号機、3号機ではいまだ検討が続いている。1号機と同様にする方向で検討していたが、小林照明課長によると、2、3号機の復水器はすでに水でほぼいっぱいになっている。そこで、復水器の中にある放射能の比較的少ない水を復水貯蔵タンクなどに移し、その後に「たまり水」を入れる方策を検討している。

 燃料プールの状況について、黒田光課長が説明を始める。2号機の燃料プールについて、満水であることを確認し、さらに、27日午後5時50分時点で水温が56度だったとの計測数値を得られたという。4号機の燃料プールについても、午後4時55分からコンクリートポンプ車で注水を始めたが、満水に達したことを示す形跡があり、午後7時25分に予定より早く終了させた。

 燃料プールはとりあえず良い方向が見えてきたとして、それでは原子炉はどうなのか。原子炉建屋の外部であるタービン建屋の中にまで、炉内から漏れ出したとしか考えられないような高レベルの汚染水があるのが見つかっている。これはすなわち、炉に水を入れれば入れるほど、その水が外部に抜けていることを意味するのではないか。そして、それが、いくら水を入れても炉の水位が上がってこない原因となっているのではないか。

 黒田課長を相手に複数の記者が考え得る可能性を詰めていく。

 ――原子炉内に入れた水はどうなっているのか?


 圧力容器(の容積)は300立米くらいです。今、毎分280リットルくらいの水を入れていると、1日で300立米くらい以上になってしまいます。(その水がどうなっているか)まず一つは蒸発分があります。入れている部分の半分くらいは蒸発していると見込んでいます。なら、あと半分だと、2日で一杯になってしまうんじゃないかということになります。(蒸発しなかった水は)やはり格納容器側に少なからず行っていると思います。ですから、格納容器と一緒に水位を上げていくイメージです。格納容器(2、3、4号機の格納容器のてっぺんまでの容量)は3700立米くらいあります。ですので、半分と見込んでも、1900立米くらいあるわけです。あとは、サンプリングの結果から、いくらか外に(水が)出ている部分があって、そこらへんをもう少し見極めなければならないと思っています。きょう、ポンプを変えて、いくらか流量の調節ができるようになっています。流量を絞ったりしてどの程度で水位が平衡するかを調べれば、どのくらい気化していて、どのくらい入っていなければならないのに出ていってるのか、もしかしたらイメージがわいてくるかもしれないということで、数日かけて、なるべく流量を絞りたいですし、何か分かってきたらお知らせしたい。


 ――それは何号機の話?


 これは1、2、3、同じだと思います。だいたい同じ量の水を入れて水位が上がってきていないので、同じような状況だと。


 ――水を入れれば入れるほど、炉内の圧力が上がるはず。


 一時的には圧力が上がるけども、冷えれば、そのあと(圧力も)下がってくるわけですね。そこの頃合いだと思います。流量を上げたり下げたりしながら、崩壊する(元素崩壊が進んで崩壊熱が少なくなる)のを待つのもありますし。


 ――圧力抑制プールの中の水は抜く方法がないじゃないですか。最後はドライ(格納容器内のガスを外界に放出するガス抜き)でも何でも抜く腹を決めてるわけですよね?


 なるべくドライは開けないようにして、冷える効果で圧力が下がる状態に早く持っていきたい。


 ――1号機では最悪の場合を考えて「ドライベントも仕方ない」と決めてないと、その方法は採れないと思うんですが


 そうですね。最悪は(ガス抜きのための弁を)開く可能性はあると。


 ――格納容器に水が出ている?


 そういう想定をしています。


 ――要するに、圧力容器は穴があいているんですね?


 穴というか、どっか配管なり何なりで、気層ではなく、液層の部分で、格納容器と(の間に)パス(通り道)があるんじゃないかなと想定しています。


 ――つまり、下のほうにある?


 そういうイメージですね。


 ――なんであいた?


 分からないです。水位が上がってこないところを見ると、そういうふうなことを想像するのが普通かなと思います。


 ――それで「健全性を保てている」と言える?


 気層側は圧力がたっています(気圧より高い圧力の数値が計測されている)ので、気層側で外にどんどん抜けていってるというのはないと思っていますので、そういった意味では、大きく壊れていないと。


 ――この状態で「健全性を保てている」と言えるんですか?


 「健全性が保てている」という言葉がどうか分かりませんけども、少なくとも水がタービン側に出ているんだろうということが分析結果から予想できるわけで、それをもって……


 ――燃料から溶けた水が圧力容器から漏れ出して、さらに、原子炉建屋の外にまで出ている状態という認識は間違ってますか?


 タービンで発見されてますので、そうですね。


 ――これをもって「健全性が保てている」と言うのは欺瞞のように聞こえる。


 「大きく壊れていない」という言い方ですね。まだ圧力を保っている状態ですので、完全に大気と一緒になってしまっている状態ではないということです。度合いですよね。チェルノブイリ(1986年に事故を起こした旧ソ連の原発)のように完全に破裂して外に全部出てしまう状態にはならないという意味合いですね。


 ――「完全に」ではない。


 まだある程度の障壁になっている。


 黒田課長は、声音を下げて、記者と一緒に考えるように質問への答えを出していく。「この人は本当のことを言っているんだな」という納得感が会見場に広がるが、それは、話の内容の深刻さと裏腹である。

 ■28日夕

 午後5時29分、「福島第一原子力発電所プラント状況等のお知らせ」と題する、いつもの資料の「3月28日午後2時現在」版が配布される。その4枚目、最後から2番目の段落に新たな事実が書き込まれている。

 「3月27日午後3時30分頃、1~3号機タービン建屋外のトレンチの立坑に水が溜まっていることを確認しました。水表面の線量は、1号機が毎時0.4ミリシーベルト、2号機が毎時1000ミリシーベルト以上でした。なお、3号機については、がれきが障害となり線量を測定することができませんでした。引き続き、立坑内の水を監視してまいります」

拡大新たに立坑から見つかった汚染水の状況を説明するために東電側が書き出した立坑やトレンチの寸法や断面の図

 タービン建屋の地下ではすでに高いレベルの放射能汚染水が見つかっていたが、それと同程度に放射性物質で汚染された水が、建屋の外、つまり、放射線管理区域の外部から見つかったということを意味する。

 ――管理区域外ですね、これは?


 そうです。外です。トレンチというのは、タービン建屋からポンプ室まで配管や電線などを通す通路で、人が行き来できる。配管が通っていますので、見やすいように巡視できるような状態になっています。


 ――トレンチが水を保持する能力は?


 構造はコンクリートの構造になっていますので、それなりの機能を有していると思うが、確認がとれていない。


 ――もともと水が通る場所ではないですよね?


 部分的に継ぎ目がある。ゴム製の止水板が入れているので、防水はかろうじてあるが、完全ではないだろう。


 ――トレンチのつなぎ目から地下に漏れてそれが海に回る可能性は?


 ないとは言えないと思います。トレンチ自体、完全な防水とは言い切れないと思いますので。


 ――トレンチと海を直結する配管はない?


 ない。

 

 東電の説明によれば、立坑の出口に近いところ(1号機は10センチ、2号機は1メートル、3号機は1.5メートル)まで水が詰まっているが、外に流れ出した形跡はないという。とはいえ、トレンチの内部はもともと水が入るようなことを想定して作られているのではない。一応の防水加工はあるというが、それが完全ではないことは東電も認める。

 東電側関係者の説明によると、立坑の海側の出口は小屋で囲われているが、その戸は機能していなかったという。3月11日に津波に襲われた際に破られたとみられ、立坑もトレンチもその際に水没したとみられる。そして、2号機の場合、その津波の水の勢いで、タービン建屋との間の仕切りの配管貫通部に水の通り道ができてしまった可能性がある。2号機については、タービン建屋地下の汚水と立坑の中の水はいわばツーツーとなっており、その結果、汚染が広がったとみられる。

 大きな問題となりそうなのはその汚水の量の多さだ。立坑とトレンチを合わせた体積は1号機が3100立米、2号機が6000立米、3号機が4200立米。そこを通る配管の容積の分は差し引かなければならないが、たとえば、2号機の6000立米のかなりの部分の水はタービン建屋地下の「たまり水」と同程度に汚染されている可能性がある。

 一方で、タービン建屋地下の汚水の排水先として検討されている復水器は容量が限られている。その復水器の水の排出先である復水貯蔵タンク(CST)の残容量は、1号機が700立米(容量全体では1900立米)、2号機が900立米(同2500立米)、3号機が1500立米(同)、4号機が2000立米(同)。これとは別に、定期検査中に原子炉の圧力抑制プールの水を貯めておく共用の大型タンク(SPT)が2つあり、3400立米ずつ計6800立米の容量がある。これらを合わせても、すべての水を入れることは難しそうだ。

 ■副社長の夜の定例会見

 午後6時42分、武藤栄副社長の記者会見が3階で始まる。

 □圧力容器の「健全性」


 ――きょうの未明の会見でお話があったんですが、圧力容器に関して、「下のほうに穴があいている可能性が高い、下のほうの穴から放射性物質を含んだ水が出ていると考えるのがふつうである」というお話がありました。


 私、そういうこと申し上げたことはございません。


 ――副社長から伺ったのではなく、きょうの未明の会見で(原子力設備管理部の課長が言った話で)す。


 いろいろな可能性が考えられるということは申し上げているかもしれませんが、それを断定的に判断したということではないと思います。


 ――「そう考えるのが普通である」というお話がございました。で、そういう状況で、今のところ東電さんとしては圧力容器の状態について健全性が保てているというお考えを示してこられていますが、そういう認識が正しいのか。


 原子炉の中の状況について、非常に限られたデータで状態を判断してきておりまして、したがいまして、明確に申し上げるのは困難を伴う状況ですが、全体としてみると、これまでのいろいろなパラメーター(水位や圧力の計測数値)の変化を見ますと、大きな変化が起きたということはない、と思っております。原子炉の中の水が格納容器の中に出てきている可能性は考えなければなりませんが、いまおっしゃったような、ある特定の部位で破損しているということを我々として判断しているということはございません。


 ――原子炉を経由した水が外に流れ出ている可能性がきわめて高い状況の中で、圧力容器の健全性が保てているというお考えなんでしょうか?


 「健全性」というのをどのように定義するかということになると思いますけども、原子炉圧力容器にはさまざまな配管も接続されておりますし、そこにはポンプがあったり、バルブがあったりするわけでありまして、その全体で原子炉一次系という系統を構成しております。その中のどこからか水が出ている可能性は否定できないと思いますが、圧力容器そのものの健全性について何か問題があるということを決めるような手立てはないと思います。


 ――この状態が「健全性が保てている」とお考えなのか?


 「健全性」というものをどういうふうに定義されるかということによるわけで、一次系からさまざまなルートを通って原子炉の中の水が表に出ている可能性は否定はできませんけれども、原子炉圧力容器そのものが大きな損傷を受けているというふうに我々が判断しているというわけでは決してございません。


 ――それでは、副社長の「健全性」の定義はいかがですか?


 一次系の中から放射性物質が表に出てきているという可能性はさまざまなルートについて考える必要がありますが、「健全性」という漠然とした概念について議論するのは今の状態ではあんまり……、出てくる放射能の量と関係はな……、明確に関係づけて原子炉の健全性を議論するということではないと思います。


 ――「健全性」という言葉が使われてきたわけですが、これからその言葉にこだわらないということでいいですか?


 原子炉からどのくらい放射性物質が表に出てくるかというのが重要なわけでして、今後、さまざまな検証していく中で、さまざまな検討がされると思いますが、現時点でどこを通って放射性物質が格納容器の中に出てきているのか判断する材料は持ち合わせていないということでございます。


 ――官邸(総理大臣官邸)から「あなたの考える健全性とは何か」と問われても同じ回答ですか?


 格納容器から出る放射能をいかに最小化するかということが重要なことでありまして、それに向けてさまざまな努力をしているということであります。

 原子炉圧力容器が健全であったのかどうかということにつきましては、現時点では我々はそれを明確に確認する手立てはございません。これは、この事故に関して検証する中で明らかになっていくべき性格のものだと思います。

 検証というのは、当然、この事故については、多くの国内の機関、海外の機関も含めて、どういうことが起きたのかということが検証されていくことだと思います。


 ――炉の穴の話について「私は承知していない」という話がありましたが


 原子炉の底部については、明確にその場所だと決定づけて判断したことではないと申し上げたということです。


 ――皆さん(原子力設備管理部の課長たちは)いろいろな可能性について我々(記者)に説明してくれているので、武藤さんのほうから「変な発言がないように」とかプレッシャーがかからないように私からお願いします。


 いっさいそういうプレッシャーをかけるというようなことはございませんし、起きていることについてきちんと説明するのが我々の基本的な考え方でございます。

 

 □トレンチの高線量水の報告遅れ


 ――きのうの午後3時半ごろ、1~3号機のタービン建屋外のトレンチの立坑に水がたまっているということなんですが、副社長はこれについて、いつ、ご存じになったか?


 きのう午後発見された水の件だと思いますが、私は本日、これについて報告を受けております。


 ――きょうの何時ですか?


 放射線の量も含めて内容につきまして報告を受けましたのはきょうの午後になります。


 ――陣頭指揮をとっている立場の方が24時間たって知るというのはどういうことなんでしょうか?


 事実関係については確認をしたいと思いますが、内容につきまして線量率を含めて報告を受けたのはきょうの午後です。


 ――感想は?


 内容については、きちんとプレスするように社内で指導したということです。


 ――担当者にはどういう指導を?


 事実関係をしっかり確認する必要があると思いますし、水をどういうふうに処理するのか、速やかに対策を講じるようにと指示をしております。


 ――報告が来るのが遅いと思いませんでしたか?


 できるだけ迅速にいろいろな情報を共有するというのは、こうした事態をスピーディーに対処していくのに重要なことだと思いますので、ご指摘のような点を踏まえて、さらに社内でしっかりをやっていきたい。


 ――世間から「隠した」と思われるような恐れはないか?


 まったくそういう意図はないと思っておりますが、ご指摘のようなことのないように社内でしっかり確認したいと思います。


 ――世間から見ると「隠蔽」と言われて仕方ないんじゃないですか?


 そういう誤解を招くことがないように、情報の流れについて再度確認して徹底したいと思います。我々としては、日々、できるだけ透明性高くしたいと思っています。ただ、さまざまなことが起きますので、重要度の高いものについては、できるだけ速やかにご報告できるようにしたいと思います。

 

 □トレンチの水をどうするか?


 ――これが海に流れ出てしまうとすると、たいへん心配なんですが、ここはどういう構造になっているのか、海に流れた形跡はあるのかないのか?


 トレンチというのは、タービン建屋からさらに地下をずうっと通った通路になっているわけで、その通路が立ち上がって立坑になっているわけで、その立坑の中に水があると確認されたということであります。その水の深さの立坑の深さを比較しますと、水の高さのほうが低いということが確認をされております。


 ――今回、見つかった水なんですけど、放射線管理区域外でこれだけ高いのが観測されたのはどうでしょうか?


 通常はそういうことのないところでありますので、通常の事象ではないと思っております。


 ――事故が起きているので、「通常の事象ではない」のは当たり前で、その程度のご認識ということなんでしょうか?


 特に2号機につきましては、線量がたいへん高いので、外に出ることのないような方策を考える必要があると思っておりまして、その点について現在、検討しているところです。


 ――きのうの午後3時に分かったことがきょうの午後にならないと私どものところに届かない。しかも、特段の対応策が現時点でとられていない、と。情報収集が遅いと。改善の必要性はお感じになっているのでしょうか? 対応について、迅速性について、改善されていないようにお見受けするんですが、その…はどう思われているんでしょうか?


 ご指摘のような点につきましては、これに限らず、さまざまなことが起きていますので、特に重要度の高いものについては、迅速に情報を共有して対処策をスピーディーに考えられるようにしたいと思います。


 ――遅いと思っておられるのかどうか?


 経緯も含めて再度よく確認をして、しっかりと対策をとりたいと思います。


 ――この水に関して措置は?


 できるだけ早く対処を考えたいと思います。


 ――きのうまでの段階ではタービン建屋の地下の高濃度の水の排水をしましょうということでした。きょうになると、外にも見つかった、と状況が変わったわけです。今後、排水作業はどういうふうに行われるんでしょうか?


 きょうのトレンチの水につきましては、屋外だということもありますので、まず、これ以上、状態を悪化させないようにするということが大事だと思います。その処置につきましては、できるだけ早く考える必要があると思います。屋内につきましては、1号機はホットウェル(復水器)の中に戻すことを考えたわけです。ほかの号機につきましては、ホットウェル(復水器)の中に水がありますので、これを他のタンクに移すということで準備を進めてきておりまして、これが空けば、タービン建屋地下の水を移せるということで、今、準備を進めています。


 ――地下の排水作業をストップして屋外の対策をしなければならないのか?


 屋外の水について処理する方策が決まれば、それについて当然、全力を挙げて対策をとっていくことになる。外の環境に対する影響を最小化するということで優先度を決めていくことになると思います。


 □現場作業員の置かれた環境


 ――現場作業員に支給されている食事が過酷という話が出ていんですが。


 現場の状況は、現場の環境から厳しい状況にあるとよく認識しているつもりです。非常にスペース的にも限られている中で、どうやって工夫をするかということについては、きょうも社内で議論したことですが、できるだけ現場で作業をしてもらう方々が困ることのないように、生活支援をしっかりサポートして、現場で少しでも働きやすい環境を作っていくことは大事だと思います。どうしても生ものは持ち込めないので、制約がありますが、できるだけ充実していきたいと思っています。


 ――交代要員を送ることはできないのか?


 たいへんに多くの方が被災をされる中で、発電所で仕事をされている方も、厳しい環境の中で発電所で使命感をもって仕事をしていただいている。そういう中で仕事をしていただける方々には本当に深く感謝しなければならないと思っています。そういった厳しい環境の中で仕事をしていただているので、我々としても、できるだけの支援をして、環境を少しでも良くすることが重要だと思っております。新しい人を東京あるいは柏崎(新潟県にある東京電力の柏崎刈羽原子力発電所)を含めて投入をしまして、現場でもローテーションを回して、休みが取れるような、そういう作業環境、勤務環境を作っていくということで、すでに実施することといたしております。


 午後7時32分、武藤副社長の会見が終わる。

 ■微量のプルトニウムを検出

 午後11時39分、記者たちへの資料の配布が始まる。

 「福島第一原子力発電所の敷地内(5地点)において、3月21日および22日に採取した土壌中に含まれるプルトニウムの分析を行った結果、この度、プルトニウム238、239、240が検出されましたので、お知らせいたします」

 そう書かれている。

 予測はしていたが、ついに来たか、と

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奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 朝日新聞編集委員。
 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部などを経て特別報道部。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。
 著書に『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、 『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)。共著に『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)など。
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