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ニューズ&コメンタリー

小沢議員第4回公判 石川知裕議員が供述調書を否定《一問一答詳録》

 資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で起訴された民主党元代表・小沢一郎被告の第4回公判が11月1日、東京地裁(大善文男裁判長)で開かれた。前回に続いて元秘書・石川知裕衆院議員の証人尋問があり、自らの虚偽記載や小沢氏への「報告・了承」を認めた捜査段階の供述調書の内容を改めて否定した。

  ▽注:法廷でのやりとりは記者のメモから起こしたものですので、正確に聞き取れなかった部分があります。聞き取れなかった部分は「〓」「…」と表示してあります。

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 検察官役の指定弁護士の主張では、石川議員は2004年10月29日に小沢氏から借りた4億円で土地を購入したが、4億円は「表に出せない簿外資金」と考え、偽装資金として定期預金を担保に小沢氏名義で同額の銀行融資を用意。04年分の政治資金収支報告書の収入(借入金欄)には銀行融資だけを記載して小沢氏の4億円を隠した。偽装資金を準備する期間を十分確保するために土地の本登記も05年1月7日に先送りし、05年分の収支報告書に代金支出と資産を虚偽記載したという。

 そのうえで指定弁護士は小沢氏との共謀成立について、(1)土地購入時の04年10月(2)04年分の収支報告書を提出する前の05年3月の2段階で考える。

 (1)では、石川議員は04年10月24日ごろに小沢氏に4億円の不記載と登記の先送りを報告。銀行融資については「先生の4億円が表に出ないように銀行借り入れで決済した外形を整えたい」と説明し、小沢氏は必要書類に「おう」と言って署名して了承したという。

 (2)では、石川議員は「収支報告書の提出前に報告したいんですが」と言って、陸山会を含む関連5団体の各総収支・繰越金を報告。4億円の不記載と登記先送りについての説明はなかったが、小沢氏は①の段階で十分理解していたため、「分かった。きっちりやっておいてくれ」と了承した――とみている。

 こうした主張は、東京地検特捜部が作成した石川議員の調書が最大の支えになっているため、指定弁護士は「調書は信用できる」と強調しようと質問を重ねたが、いずれの場面も石川議員はその内容を否定した。

 まず、09年12月に初めて任意で調べを受けた際の調書で「(小沢氏から土地購入費として借りた)4億円を政治資金収支報告書に書き忘れた」となっている点を問われた石川議員は「そのような趣旨のことを言った。調書を作らないと帰してもらえない」と話した。

 逮捕前日の10年1月14日の任意の調べでは「小沢氏からの4億円の借り入れを収入として記載すべきだった」と虚偽記載を初めて認める調書が作成されたが、石川議員は「私としては小沢さんから預かった4億円を書いたと説明した。自分の思いと違う調書が作られた」と語った。

 指定弁護士は、調書の文言の一部は石川議員が手書きで訂正している点や、弁護士の助言を受けていた点を指摘し、「自分の意思で署名したのでは」と質問。石川議員は自分の字で訂正したことは認めたうえで、「ある程度、検察官と折り合いをつけないと、大変なことになると考えた」と証言した。

 小沢氏への「報告・了承」調書が初めて作成されたのは、石川議員が逮捕されて4日後の1月19日だった。指定弁護士は、中堅ゼネコン「水谷建設」からの裏金受領は一貫して否定してきたことを引き合いに出し、「小沢氏の関与は4日の間に認めている。なぜか」と質問した。

 石川議員は「自分の弱さ、我が身かわいさだと思う。自分の支援者や秘書も呼ばれていて、自分を守るためだった」と振り返り、「検事から『ここまで書いても小沢さんの起訴はない』と言われてサインしてしまった。判断の甘さがあった」とも語った。

 石川議員はこの後、弁護側の反対尋問に答え、最後に裁判官から厳しい質問を受けた。

 「事実と違うことに署名すれば、秘書として仕えた方に不利になるという認識はなかったのか」。閉廷間際に大善裁判長が質問すると、石川議員は「もちろんあった。しかし、検事から『ここまで書いても小沢さんの起訴はない』と説得され、署名してしまった」と改めて答えた。

 裁判官が「小沢氏の4億円と銀行融資の4億円で、計8億円分になったことは間違いないのでは」と問いただすと、石川議員は「小沢先生から借りたのは1回だけなので、4億円というのが自分の認識です」と主張した。

 さらに裁判官が「小沢氏も8億円が動いたと認識できたはず。小沢氏に説明しないといけなかったのでは」と迫ると、石川議員は「(小沢氏)本人の認識はわからない」としつつ、「これまでも不動産の手続きは任されていた。政治家と秘書の信頼をいただいていたと思う」と語った。

 特捜部は、石川議員の調書では有罪を得られないとみて小沢氏を不起訴にした。また、石川議員の公判では、「検事の威迫と利益誘導で作成された」として、多くの調書の証拠能力が否定されている。

 小沢氏の裁判では、来年2月にその採否が判断される。客観証拠の評価と合わせ、判決を占う大きな注目点となる。

 石川知裕議員に対する証人尋問の一問一答のポイントを記者のメモで再現する。

■指定弁護士と石川知裕証人のやりとり

ーー平成22年1月15日に逮捕され、2月4日起訴、2月5日に釈放された。取り調べについて聞いていく。水谷建設について聞かれたと思うが、4億円の出どころ、原資は、どのような追及を受けた?

検察は、16年10月15日に水谷建設から5千万円を全日空ホテルで受け取ったのではないかという疑いを持っていた。

ーーそういう事実はある?

ございません。

ーーないと答えた?

はい。

ーー検察官の疑念は晴れた?

いいえ。

ーー1月15日の逮捕後、裁判官の前での勾留質問で水谷建設のことを述べた?

はい。「水谷建設からの5千万円はもらっておりません」と述べた。

ーー逮捕された被疑事実は水谷建設ではないが、なぜ勾留質問で被疑事実と違うことを述べた?

逮捕され、諦めや絶望があったが、水谷建設のことは降ってわいたように出てきたことなので、言わなきゃいけないと思ったんだろうと思う。

ーー5月17日に、検察審査会の議決を受けて、田代検事の取り調べを受けているが、その時も話した?

はい。

ーー何度も?

はっきり記憶していない。

ーー勾留中は最後まで受領していないと供述?

はい。

ーー吉田検事の調べでも認めていない?

はい。

ーー受領したという調書が作成されたことは。

ない。

ーー最後まで受領していないと供述し、間違った調書も取られていないと。

はい。

ーー21年12月27日に、田代検事から最初の調べを受けた。

はい。

ーー弁護士のアドバイスを受けていた?

相談はした。

ーーこの日の調書の内容は覚えている?

何となくは。

ーー小沢被告の個人資産については「相続して引き継いだ資産だ」と。

はい。

ーー調書に載っている?

はい。

ーー登記の翌年送りについては「忙しかったので池田にやらせた」と。

はい。

ーー調書に載っている?

はい。

ーーりそな4億円については「慣例だった」と。

はい。

ーー調書に載っている?

はい。

ーー本件4億円の収支報告書への記載についてはどう供述?

「書き忘れただけ」と。

ーー調書に載った?

はい。

ーーあなたは何と?

そのような趣旨のことを言った。自分としてはそのような主張をしたが、どちらを書いたかと言われたので、そのような類いの「書き忘れた」という話をした。

ーー言ったことを調書にしてもらったと。

全部が全部ではないが、今言われた部分については。

ーー書いていないと認めたのでは。

調書を作らないと帰してもらえないので。

ーーこの日の取り調べの後、本件捜査はどうなると思った?

刻々と変わっていったが、正月には在宅起訴という報道がされたので、そういう方向で進むのかと不安に思った。

ーー逮捕の覚悟は。

13日、14日くらいに強制捜査、そして田代検事から「特捜部は何でもできる」と聞き、心の中ではまさか逮捕はされないだろうという願望を持ちながら、少しずつそういう思いも持ち始めた。

ーー著書の中では、「その日の調べが終わり、いよいよ逮捕かと思った」と。

はい。

ーー特捜部の捜査について、どなたかから話を聞いたことは。

鈴木宗男先生と佐藤優さんから。「何でもやってくるぞ」と。

ーーだからしっかり対応しないといけないと。

頭で考えるのと、実際行動に移すというのは、どうしたらいいかなかなかできなかったが、頑張らなければいけないなと思った。

ーー1月13日に強制捜索差し押さえ。その時に弁護団はできていた?

まだ。

ーー南弁護士や木下弁護士に相談は?

いいえ。

ーー南弁護士には相談したのでは?

しました。

ーー14日に任意の調べで調書は作成した?

はい。

ーー何を述べた?

記載ミスを認めた調書が作成された。

ーー「小沢被告からの4億の借り入れを収入として記載すべきだった」という内容では。

はい。

ーー「池田には通帳の分散記入は気にしないでいいと言った」と。

そういう調書だったかもしれない。

ーー「池田に、購入代金の支払いは17年1月7日にしてくれと指示した」と。

そういう調書が作成されたかも。

ーー「池田が平成17年分の収支報告書の収支が合わないと言ってきた」と。

作成されたかも。

ーー「書き忘れ、違った事実を記載したが、理由は言いたくない」と。

検事からそういう内容にした方がいいと言われ、そうした。

ーー池田とのやりとりは、実際と合っている?

合っていない。

ーーどこが?

私としては本登記の日を支出日とするように記載してくれ、と指示した。

ーー分散入金は気にしないでいい、と?

分散とは言っていない。気にしなくていいとは言った。

ーー17年分の収支が合わない、というのは。

相談を受け、しっかりやっておいてくれとは言った。

ーー趣旨が違う?

はい。

ーーその他違うところは?

その他とは?

ーー「小沢氏からの4億円を収入として記載すべきだった」というのは。

私としては記載をしていたので。

ーー田代検事には記載したと言った?

はい。

ーー根拠は説明した?

した。

ーーどう説明?

小沢さんから預かった4億を書きました、と。

ーーどこを見ればそう分かると説明した?

収支報告書に書いてある。

ーーん?

収支報告書に書いてある。「小澤一郎 4億円」と書いてあるので。

ーー問題は小沢氏からの4億と別の4億。

小沢氏からの4億を収支報告書に記載していると申し上げた。

ーー小沢氏からという語句から。

その通りです。

ーー田代検事から、備考の日にちが違うじゃないかという質問は。

なかった。

ーー4億は2億円ずつ返済されたという質問は。

やりとりの詳細まで覚えていない。

ーーそうですか。田代検事の5月の取り調べは録音している。

はい。

ーーその時、4億円は記載したと言っている?

言っていたと思いますが。隠すつもりなら「小澤一郎 4億円」と書いてあるのはおかしいから、隠すというのはおかしい、と。

ーー1月14日の調書は一部違うと?

自分の思いと違う調書が作られたと思っている。

ーーその時点ではまだ逮捕されておらず、弁護士のアドバイスも受けていた。

選挙区、東京の支援者が特捜部から呼び出しを受け、報道が過熱し、毎日どんだけ酒を飲んでも2時、3時に目が覚める生活で、相談する気力がなかった。

ーー署名、押印する義務はないという説明は。

聞いていた。

ーーなぜ内容が違うのに署名、押印した?

ある程度検察官と折り合いをつけないと大変なことになると考えていたからです。

ーー甲215号証を示す。【「記載するつもりはありませんでしたので」の「するつもりはありませんでしたので」の部分が二重線で消され、手書きで「しないことにしていたので」と訂正されている】これはあなたの字?

私の字です。

ーーこの後に作成された調書では、4億円は一貫して記載していないという内容に。

はっきりと全部は覚えていない。

ーー1月15日に逮捕されたが、容疑は?

政治資金規正法違反。4億円のことがあるので、収支報告書の収入と支出が違ったと。

ーー検察官の弁解録取書ではどう答えた?

今思うときちんと自分の考えを述べておけばよかったが、弁解録取書がどういう力を持つのかよく分からず、検察官から「このように書いておけばいいよ」と言われてその通りに書いた。

ーー翌日の1月16日に裁判官の勾留質問を受けた際も被疑事実を認めた。

確か認めている。

ーー毎日、2人の弁護士と接見を?

はい。

ーー逮捕後、次に調書を作成されたのが1月19日。検事は、17日にも調書を作ろうと言わなかった?

毎日言っていた。

ーー嫌だと言った?

はい。

ーーなぜ?

嫌だったから。

ーー弁護士から、署名、押印したらダメと言われたからでは?

意に沿わないことはサインしちゃダメだとは言われていた。

ーー1月18日も調書を作りたいと言われた?

先にいった通り。

ーー1月18日に弁護士と2回接見。

そのときも署名する必要はないと言われた。意に沿わないことにはしなくていいと。

ーー19日に調書作成された。この時も弁護人に2回接見した。

はい。

ーーこの時の調書の内容は覚えてる?

なんとなく。

ーー本件土地の売買の経緯とか、5団体の資金繰りとか、争いのない事実経過のついての調書が作成された。

調書が作成されたのは覚えてる。

ーー小沢さんが「本件4億円を戻せよ」と言ったのはいつか?

元赤坂タワーズで受け取った時。

ーー調書では大久保秘書と説明に言った時。供述がかわったのか。

検事からこのあたりこのあたりと示されて、私はそうですかねという調書になった。

ーーあなたは何と供述した。

私は元赤坂タワーズに取りに行ったときだと言ったと思う。

ーー本件4億円の原資については何と説明した。

小沢さんから預かった金ですと。

ーーどう小沢さんが形成した金だと?

長い人生の中で蓄えた金だと思う。

ーー田代検事が「政党の離合集散するなかで蓄えられた表に出せない資金」と。あなたはそのようなことは述べてないと証言している。

はい。

ーーあなたは、1月16日の時点でそう述べていたのでは。

いいえ。

ーー「政治活動の中で何らかの形で蓄えた簿外の資金であり、表に出せない資金」となったのでは。

そうではない。

ーー田代検事は、水谷建設からの金だと追及したのでは。

一部は。

ーー田代検事はそういう状況で作文して書きますか。

あと3億5千万円が必要だから、書きたかったのでは。

ーーあなたはこの記載を理解して署名押印したのでは。

目は通した。

ーー登記の翌年送りにした理由。樋高議員から代表選がいつある

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