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ニューズ&コメンタリー

小沢議員第5回公判 大久保元秘書「事件の広がる止めるために事実でない話を認めた」

 資金管理団体「陸山会」をめぐる土地取引事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で強制起訴された民主党元代表・小沢一郎被告の第5回公判が11月30日、東京地裁(大善文男裁判長)で開かれた。会計責任者だった大久保隆規元秘書=同罪で有罪判決を受けて控訴中=の証人尋問が始まり、政治資金収支報告書の作成への自らの関与を否定した。

  ▽注:法廷でのやりとりは記者のメモから起こしたものですので、正確に聞き取れなかった部分があります。聞き取れなかった部分は「〓」「…」と表示してあります。

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拡大証言席に座り、かつての「師」である小沢一郎・民主党元代表の方に目線を向けた大久保隆規元秘書(右)=東京地裁、絵と構成・小柳景義

 大久保元秘書は、事務担当秘書として収支報告書を作成した石川知裕衆院議員や池田光智元秘書を統括する立場だった。検察官役の指定弁護士は、虚偽記載について小沢氏と同様に報告を受け、了承していたと主張。大久保元秘書は捜査段階の供述調書では「報告・了承」を認めていたが、自らの公判でも供述を翻していた。

 大久保元秘書はこの日は、指定弁護士から質問を受けた。

 2000年に陸山会の会計責任者になった経緯について「先輩秘書が総選挙に立候補して退職し、残った秘書で年長の私がまとめ役となり、慣例として会計責任者になった」と説明。一方で「私は会計責任者だったが、議員会館の勤務だった。会計や収支報告書の作成は個人事務所にいる石川氏や池田氏が担当しており、きちんと処理していると信じていた」と述べた。

 指定弁護士は、会計責任者としての大久保元秘書の署名と押印がある収支報告書の「宣誓書」を示して迫った。しかし、大久保元秘書は「石川氏らの代筆。当時は、宣誓書という書類があることも知らなかった。会計責任者が収支報告書を作成して提出するという認識もなかった」と答えた。

 問題となった土地を購入した経緯については「中堅どころの秘書が結婚した時に住む場所が必要だと思った。土地は、チラシや新聞広告で知った」と説明した。必要経費は4億円で、石川議員が「陸山会などの資金を集めれば何とかなるが、運転資金が足りなくなる」と言ったため、2人で小沢氏に相談。小沢氏は「分かった」と応じたという。

 指定弁護士は、小沢氏の4億円を隠す偽装資金として同額の銀行融資を用意し、登記も先送りした工作を、大久保元秘書も了解したとみている。しかし、大久保元秘書は「小沢先生から土地購入のゴーサインを受けて自分の用事は済んだ。その後の銀行融資や登記は石川氏の担当で、私は分からない」と答えた。

 東京地検特捜部による捜査段階で、大久保元秘書から虚偽記載への関与を認める「自白」調書を取ったのは、その後に大阪地検特捜部の証拠改ざん事件で実刑判決を受けた前田恒彦元検事だった。

 大久保元秘書は、前田元検事から小沢氏の自宅の捜索を示唆されたと証言。「私が強く真実を主張し続けると小沢先生の逮捕にまでつながりかねないと思った。うその供述をすることが先生の逮捕を回避し、日本の政治をまともに戻す道だと考え、供述を変えた。自分が犠牲になるのは日本のためには仕方ないと思った」と語った。

 さらに、「前田元検事から『石川が話している。大久保さんも認めないと』と言われ、石川氏がより悪い立場にならないように(供述を)合わせる必要があると思った」とも強調した。

 大久保元秘書の公判を担当した東京地裁の別の裁判官は、こうした問題のある取調べ手法があったと認定し、「前田元検事が虚偽の事実を告げて自白させた」と指摘した。

 指定弁護士はこの日、こうした取調べはなく、接見した弁護士に相談したうえで大久保元秘書が自らの意思で調書の作成に応じていたとみて質問を重ねた。これに対して大久保元秘書は「弁護士には相談していない。途中からあてにならなくなり、自分で判断するしかなかった」と述べた。

 また、自白に転じた際の調書には「潮目を変えたい」という文言があり、指定弁護士は「港町に住む人の言葉で、岩手県釜石市出身のあなたが使ったのでは」と質問。大久保元秘書は「前田元検事の言葉」と反論した。

 大久保元秘書は土地取引事件に加え、西松建設からの違法献金事件でも起訴され、東京地裁から今年9月に禁錮3年執行猶予5年の有罪判決を受けた。この判決では、02年ごろから東北地方の公共工事談合で、本命の受注業者を決める「天の声」を大久保元秘書が出していたと認定している。

 大久保元秘書の証人尋問は12月1日にも行われ、弁護側が質問する。

 指定弁護士の大久保元秘書に対する証人尋問の一問一答のポイントを記者のメモで再現する。

 ■秘書業務

 ーー平成16、17、18年当時、小沢さんの秘書を。

 はい。

 ーー書生になったのはいつ?

 11年11月1日です。

 ーー秘書になったのはいつ?

 その日が秘書になった日でもある。

 ーー取り調べやあなたの裁判では、書生と秘書を区別していなかった?

 私ではなく、他に秘書になった人について、書生から始めてやがて秘書になったという話はした。私は、大学時代から書生をやっている他の秘書とは違って、38歳と年齢がいってから途中で入門したので、入門と同時に書生兼秘書になった形。

 ーー秘書と書生。仕事に違いは?

 秘書になると外に出て事務所の仕事をする。書生は、先生の自宅で、身の回りのことや、掃除とか、もっぱら自宅で作業をする。

 ーー秘書の業務とは。

 議員会館では、陳情などのお客様の対応、様々な会合に小沢先生の代理で出席、国会見学にいらっしゃる皆さまのご案内。

 ーーあなたの担当はそれがすべて?

 日常的にはそういうことが多かった。

 ーー秘書一般としては他に何を?

 小沢先生の運転、随行、地元岩手の選挙や後援会活動、赤坂の個人事務所では先生の政治資金を担当する。

 ■会計責任者になったのは東京の秘書のまとめ役だったから

 ーー12年7月から21年1月まで陸山会の会計責任者を。

 はい。

 ーーなぜあなたが?

 東京の秘書がなるのが慣例だったので、東京全体の秘書のまとめ役というか責任者だったので。

 ーー東京の秘書のまとめ役になったのはなぜ?

 ちょうどその時、総選挙に大先輩秘書が立候補して退職したので、残った秘書で私が年長ということもありまとめ役になった。

 ーー誰かから「お前がやれ」と言われたのでは?

 小沢先生から言われてそのような立場になった。

 ーー12年当時は東京勤務だが、その後、勤務場所が移動していないか。

 17年に盛岡に移動した。

 ーーあなたの公判では17年11月にと。

 はい。

 ーーこの時点で、主たる勤務先は盛岡に。

 はい。

 ーー先ほど、「陸山会の会計責任者は東京の秘書がなるのが慣例」とのことだったが、東京を離れてもなぜ継続した?

 東京の秘書が、というのは、厳密なほどではなかったので。盛岡に移った後も打ち合わせなどで東京に戻ることはあったので。

 ーー盛岡ではどこに勤務?

 民主党岩手県連の事務所が拠点。

 ーー陸山会は盛岡市内にも不動産を持っている。

 はい。そこは主に私の住居として使っていた。

 ーー東北では、陸山会は仙台にもマンションを。

 はい。仙台には宮城一政会という団体があって、支援団体の中心だった。一政会の事務所として使っていた。

 ーー一政会も政治団体?

 途中から政治団体になったと思う。

 ■会計責任者の職務、深く考えたことはない

 ーー陸山会の会計責任者。会計責任者とはどういう仕事をする立場だと理解していた?

 深く考えないで、全体のまとめ役をしていたので、合わせて会計責任者になっているというくらいの認識だった。

 ーー政治資金規正法の法律上の職務は知っていた?

 真剣に深く考えたことはない。法律で定められた立場とは分かっていた。

 ーー法律上の権限や義務があると思ったりはしなかったのか。

 そこまでは深く考えていない。

 ーー陸山会の収支報告書を会計責任者が作成して提出するという認識は。

 そういう認識はありませんでした。

 ーー政治資金は政治団体にとって重要な事項。学ぼうとか調べようとかということはなかったのか。

 ありませんでした。

 ーー政治資金規正法で会計責任者は、寄付を受ける際の明細書や領収書に関する仕事もある。

 分かりませんでした。

 ーーそういう仕事もまったくなかった?

 ありませんでした。

 ーー会計責任者の選任・監督責任は代表者にあるというのも認識していなかった?

 分かりませんでした。

 ーー会計責任者の職務に反することをすれば他の秘書に迷惑がかかるのでは。

 そういうことは想像もしていなかった。私の仕事は、会計責任者だったが、会館勤務だったので、会計は個人事務所で担当秘書がやっていたので、その担当がきちんとやっているとずっと思っていた。

 ーー収支報告書の提出は陸山会ではどう処理していた?

 実務を担当する秘書がその時期になると提出すると。

 ■署名・押印ある宣誓書、見たことがない

 ーー会計責任者の署名・押印がある宣誓書がある。そういう書類があることも知らなかった?

 はい。

 ーー16年分の収支報告書の宣誓書を示す。「17年3月31日」の日付で「大久保隆規」という署名と判子が押されているが、見たことは。

 ありません。

 ーー書類の存在は。

 具体的にこういうものが存在するとは分かっていなかったが、署名して捺印するということはうっすら分かっていた。

 ーー17年分の収支報告書の宣誓書を示す。「18年3月28日」の日付で署名・押印があるが、当時は見たことがなかった?

 はい。

 ーー宣誓書という題名は分からないが、あなたの名前で署名・押印するという認識はあったと。

 はい。

 ーー誰が署名・押印を?

 当時の担当秘書が代わりに書いて出していると思っていた。

 ーー石川さんや池田さんということ?

 はい。

 ーー石川さんや池田さんが代筆することを認めていた?

 確認のやり取りが毎年あったわけではない。一番最初の頃、石川氏が「大久保さんの名前を書いて判子押して出しておきますから」と言っていたので、そういうものがあるんだなぁと思っていたくらい。

 ーー署名・押印というのは、責任を負うことになるとは思わなかった?

 そういう責任はあるのだろうとは思った。

 ーー監督しようとは?

 当時の担当者がきちんと処理していると信じていた。

 ーーあなたは東京事務所のまとめ役。下にいる秘書の仕事をチェックする必要はないのか。

 そもそも私は会計の仕事をしたこともなかったし、慣例として会計責任者になったと思っていた。担当秘書がきちんとやると思っていた。

 ーー担当者がきちんとやっているので署名・押印してもらっていいと考えていたということか。

 はい。

 ーー陸山会では、実際に経理を担当秘書が会計責任者になることはないのか。

 私の知る限りはない。

 ーーあなたから提案したこともなかった?

 なかった。

 ーーあなたが会計業務を担わない事は誰が決めた?

 議員会館の仕事に集中するので精いっぱいだった。経理の仕事までやるというのは、小沢先生からもなかった。担当がやることだと思っていた。私は、自分に与えられた任務に集中するのに精いっぱいだった。

 ーー途中から公設秘書になったが、これはどういうものですか。

 国会公務員になり、給料をもらう。私設秘書は事務所からもらうが、公設だと公務員給料になる。

 ーー業務は変わらない?

 特に変わらない

 ーー公務員になるとさらに法律を守らないといけないとは思わなかった。

 きちんとした仕事をしているとばかり思ってた。

 ーー公務員として秘書になったのだから、法律で何を定められているか調べなかった?

 会計責任者になっていることについて強く意識することはなかったので考えなかった。

 ーー政治資金、事務所費問題が取り上げられているのは知らなかった?

 知っていた。

 ーーあなたが会計責任者についているなら、会計責任者の職務や会計事務を確認しようとは。

 優秀な秘書がやっていると思っていたので、こんなことはおころうはずがないと思っていた。

 ■土地はチラシか新聞広告で見つけた

 ーー深沢の土地を探したのはあなた?

 はい。

 ーーどういう経緯で見つけたのか。

 だいぶ前な

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