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ニューズ&コメンタリー

米国の原発 全電源喪失対策 保安院、日本に生かさず持ち腐れ

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 経済産業省原子力安全・保安院が、テロによる原発の全電源喪失に備えて米国で義務化された対策の内容を2008年までに把握していたにもかかわらず、電力会社などに伝えず、活用していなかったことが分かった。現実的な危機と考えず、「想定外」としていたためだ。この対策がとられていれば、東京電力福島第一原発事故の被害の拡大を防げた可能性があると、東電や政府関係者は指摘する。

  ▽筆者:砂押博雄、奥山俊宏、上地兼太郎

  ▽この記事は2012年1月27日の朝日新聞に掲載された原稿に加筆したものです。

  ▽関連記事: 原発全電源喪失:米国では備えがあるのに、日本では「想定外」

  ▽関連記事: 福島第一原発事故は米国のテロ対策「B5b」で防げたか?

  ▽関連記事: 東京電力本店からの報告

 

 政府の事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)はこの経緯について、保安院担当者らから聞き取り調査を行った。事故調は7月の最終報告に向けて、災害対策の不備の背景要因についても調べを進めている。

 このテロ対策は、米原子力規制委員会(NRC)が同時多発テロが起きた後の2002年2月、原発に航空機が激突しても事故を拡大させないことを目指して義務化した。義務づけの根拠となる行政命令の条項から「B5b」と呼ばれる。

 B5bに基づいて2006年にまとめられた指導文書によると、米国内の原発(104基)を対象に全電源喪失事故に対応するため、▽持ち運びできるバッテリーや圧縮空気のボトルなどの配備▽ベント弁や炉心冷却装置を手動で操作する手法の準備▽これらの手順書の整備や運転員の訓練--などを義務づけている。

 保安院元幹部らによると、保安院は2006年と2008年に米国に

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奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 朝日新聞編集委員。
 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部などを経て特別報道部。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。
 著書に『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)。共著に『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)など。
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