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ニューズ&コメンタリー

《東京地裁決定要旨》「小沢氏との共謀」認めた石川議員の調書を証拠却下

池田元秘書の一部調書は採用

 資金管理団体「陸山会」をめぐる土地取引事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で強制起訴された民主党元代表・小沢一郎被告(69)の第14回公判が2月17日、東京地裁で開かれた。大善文男裁判長は、元経理担当秘書・石川知裕衆院議員(38)が捜査段階で「政治資金収支報告書への虚偽記載を小沢氏に報告し、了承を得た」と認めたとされる供述調書について、すべて証拠として採用しない決定をした。

  ▽筆者:久木良太、其山史晃、長谷文、小松隆次郎、田村剛

  ▽この記事は2012年2月17日の朝日新聞夕刊と2月18日の朝日新聞朝刊に掲載された原稿を再構成したものです。

  ▽関連資料:   東京地裁の決定の理由の要旨

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拡大公判を終え、東京地裁を出る小沢一郎・民主党元代表=17日午後2時40分、東京・霞が関、金子淳撮影

 東京地検特捜部で調書を作成した田代政弘検事(45)の取り調べに「虚偽供述に導く危険性の高い違法不当な方法があった」と述べ、証拠としての能力はないと判断した。小沢氏が虚偽記載に関与したことを示す直接的な証拠は元秘書らの調書のみ。後任の経理担当・池田光智元秘書(34)が共謀を認めた調書の一部は採用されたものの、4月の判決に向けて、検察官役の指定弁護士は有罪立証の大きな柱を失った。

 検察官役の指定弁護士が証拠請求していた検事作成の調書は計42通で、石川議員の13通▽池田元秘書の20通▽元会計責任者・大久保隆規元秘書(50)の9通。このうち「小沢氏への報告・了承」が含まれる調書は、石川議員の8通と池田元秘書の3通だった。

 地裁は、田代検事が作成した石川議員の調書8通はすべて却下した。2010年5月の保釈後の取り調べを石川議員が「隠し録音」した内容を「動かない証拠」と重視。小沢氏の関与を認めた逮捕中の供述を覆すと、小沢氏の起訴や石川議員の再逮捕があり得ると示唆していたことなどから、「強力な利益誘導と圧力だ」と批判した。さらに「録音によると、調書は石川議員の供述に基づいていない。可視化されていれば行えない取り調べだったことは、田代検事が自ら認めている」とも述べた。

 地裁は、隠し録音された取り調べを田代検事がまとめた捜査報告書に、実際にはないやり取りが記載されていた点にも言及。「この報告書の存在は、(不当な調べを否定した)田代検事の説明に深刻な疑いを生じさせる」と指摘した。

 池田元秘書の3通のうち、1人目の取調官だった蜂須賀三紀雄検事(39)が作成した2通は「記憶がある点とない点が区別されている」として証拠採用。しかし、2人目の花崎政之検事(48)の1通は「取り調べメモを廃棄しており、適正な調べを行った裏付けを自ら失わせた」などとして却下した。

 石川議員と池田元秘書は小沢氏の公判に証人として出廷し、「小沢氏には報告していない」と調書の内容を否定した。指定弁護士は「目の前にいる小沢氏が強い圧力になって真実を曲げた」と主張。弁護側は、石川議員が任意での取り調べの様子を「隠し録音」していた記録などをもとに、「調書は、検事が密室での威迫と利益誘導によって作文したものだ」と反論していた。特捜部の取り調べに問題があったかが、調書採否の焦点になっていた。

 ■証拠改ざんの前田元検事が作成した調書は採用

 東京地裁はこの日の決定で、前田恒彦元検事(44)=証拠改ざん事件で実刑が確定=が作成した供述調書の主要部分を、証拠として採用した。調書を作成した2010年1月は、ちょうど証拠改ざんが大阪地検内部で発覚したとされる時期に重なる。決定は「証拠隠滅事件は一事情として、ある程度影響するが、供述の任意性を否定することには結びつかない」と述べた。

 前田元検事は、大阪地検特捜部から東京地検特捜部に応援として派遣され、陸山会の会計責任者だった大久保元秘書の取り調べを担当。石川、池田の両元秘書と共謀して、虚偽記載したことを認める内容の供述調書を作成した。

 小沢氏の公判に証人出廷した大久保元秘書は、調書内容を否定。前田元検事から「あなたが認めないと、議員会館への捜索に広がる」などと迫られて署名に応じたと説明した。一方、証人として出廷した前田元検事は「大久保さんの証言はでたらめ。実際には調書を何度も読んだ上で署名していた」と反論していた。

 ■東京地裁 検事を厳しく批判 「虚偽供述に導く危険」

 「主文を読み上げます」。午前10時すぎ、大善文男裁判長が決定文を読み始めると、検察官役の指定弁護士と弁護団は一斉に緊張気味にペンを手に取った。小沢氏は背筋を伸ば

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