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ニューズ&コメンタリー

オリンパス「告白」舞台裏 「つい先日知って驚いている」と社長にウソ

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 大手精密機器メーカー「オリンパス」と同社の元役員3人が起訴された事件の公判では、同社が2011年11月8日に長年の損失隠しを公表する直前の舞台裏が明らかになっている。会長兼社長を辞任して無役の取締役だった菊川剛被告(72)は11月5日に帝国ホテルで「もう隠し通すことは無理です」と部下に説得され、迷った末に告白を決意。翌6日の日曜日に三井住友銀行の国部毅頭取に初めて損失隠しを打ち明けた。しかし、オリンパスの後任社長だった高山修一氏に事実を知らせたのはその翌日。しかもその際、「つい先日、報告を受けて初めて知り、自分も驚いているんだ」とウソをついて部下に責任をなすりつけていた。

  ▽筆者:奥山俊宏

  ▽この記事は 2013年7月3日の朝日新聞夕刊に掲載された原稿に加筆したものです。

  ▽関連記事:オリンパス粉飾決算事件で元社長らに執行猶予判決

  ▽関連資料:オリンパスや菊川剛元社長らを有罪とした東京地裁判決の要旨

  ▽関連資料:オリンパス弁護人の弁論の要旨

  ▽関連資料:検察官の論告の要旨

  ▽関連資料:検察官の冒頭陳述の要旨

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東京地裁に入るオリンパス元社長の菊川剛被告=3日午後1時19分、東京・霞が関、関田航撮影拡大東京地裁に入るオリンパス元社長の菊川剛被告=3日午後1時19分、東京・霞が関、関田航撮影
 実態不明の相手にオリンパスから1千億円超が支払われた問題は2011年7月、月刊誌「ファクタ」の報道で明るみに出た。損失隠しのための不正な支払いだったが、当初はそこまでは公になっておらず、オリンパスは「不正はない」と強弁した。同年10月14日、異を唱えた英国人社長を解任して、菊川被告が社長に復帰したが、疑惑報道が相次ぎ、株価が急落した。

 専務だった高山修一氏の公判証言によれば、取締役たちの議論の中で「混乱を収拾するためには菊川さんに辞任していただかざるを得ない」という結論となり、同月26日、高山氏が後任社長に就いた。その際に損失隠しについて引き継ぎはなく、高山社長は記者会見で「不正はない」と述べた。11月1日に第三者委員会を設置し、疑惑に関する「徹底的な調査」を依頼したが、その時点で高山社長は「調べれば、おそらく『問題ない』という結論が出るだろう」と思っていたという。

 社長は辞任したものの取締役として会社に残った菊川被告は週末の11月5日、財務担当の副社長だった森久志被告(56)、元副社長で常勤監査役だった山田秀雄被告(68)と東京都千代田区内幸町の帝国ホテルで落ち合った。3人は長年にわたって損失隠しを主導し、秘密を共有する間柄だった。世間や同僚を欺くことに苦しみ、山田被告は、オートバイに乗って民家の壁に突っ込み、自殺を図ったこともあった。

 山田被告の法廷での供述によれば、山田被告は帝国ホテルで「もうこれ以上は隠し通すことは無理です」と菊川被告を説得したという。

 菊川被告 「このまま開示しないでもうしばらく行けることはないだろうか。何とかならないだろうか?」

 山田被告 「もうそれはこの期に及んで絶対できません。ほっとけば、ますます会社が混乱します。社会も混乱します。もうここまで来たら、きちんと皆様に公表してその真実で審判をあおぐべきです」

 菊川被告はしばらく考え込

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奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 朝日新聞編集委員。
 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部などを経て特別報道部。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。
 著書に『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)。共著に『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)など。
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