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ニューズ&コメンタリー

ユニバーサル創業者・岡田和生氏が記者会見「クーデターが起きた」

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 東証ジャスダック上場の大手遊技機メーカー、ユニバーサルエンターテインメント(UE社、東京都江東区)の創業者、岡田和生氏(74)とその訴訟代理人、中山達樹弁護士(中山国際法律事務所、第一東京弁護士会)が14日午後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した。岡田氏はこの6月29日、UE社の取締役会長でありながら同社の株主総会の会場への入場を拒まれ、取締役の座を追われたが、その経緯について、岡田氏は記者会見で「クーデターが起こった」と述べた。岡田氏は、UE社の親会社のOkada Holdings Limited(オカダホールディングスリミテッド、香港)の代表は自分であると主張し、その権限でUE社に臨時株主総会の招集をすでに請求し、富士本淳社長(59)ら現経営陣全員を解任して自分が社長に復帰したいとの意向を明らかにした。UE社は8月30日、「岡田氏が自己の個人的な利益を図ってUE社の子会社や孫会社に経済的損失を与えた」との評価を盛り込んだ調査報告書を公表したが、これについて記者会見で岡田氏は自分の責任を全面的に否定し、逆に富士本社長らの責任を追及したいとの考えを明らかにした。これに対して、UE社は朝日新聞の取材に、「岡田氏がOkada Holdings Limitedの代表に復帰したという事実はない」「株主総会の秩序を乱す可能性が高いと判断し、岡田氏の(総会への)出席をお控えいただくこととした」などと反論。さらにUE社は15日深夜に「当社は、現在までのところ、法律上、有効な臨時株主総会の招集請求を受けた事実もありません」と発表した。

 ■息子と娘、そして父

拡大記者会見場に現れた岡田和生氏(右)と中山達樹弁護士(左)=14日午後零時55分、東京・霞が関で
 UE社が公開している資料によると、岡田氏はOkada Holdings Limitedの株式の46%を所有する筆頭株主で、そのOkada Holdings LimitedはUE社の株式の67.9%を所有する支配株主となっている。関係者によると、岡田氏はその立場で、今年5月まで長年にわたってUE社内で「強大な権力」をふるい、ワンマン経営者として君臨してきた。UE社の調査報告書によれば、岡田氏は「自己の意に沿わない役員及び従業員については、役員としての地位をはく奪したり、解雇したりするなど、事実上人事権を独占していた」。

 このように岡田氏の支配は盤石であるように見えたが、香港政府の登記部門に提出された通知書によれば、ことし5月12日、岡田氏はOkada Holdings Limitedの役員ではなくなり、その代わりに、別の2人の日本人、高田誠氏と石田敦信氏がその役員に就任した。そして、6月29日に開かれたUE社の株主総会で、Okada Holdings Limitedは、岡田氏を外した取締役選任議案に賛成した。その日、岡田氏は株主総会の会場の受付に出向いて入場を求めたが、中山弁護士の説明によると、「現行犯逮捕」を脅されて、会場に入場できず、欠席裁判で取締役を解任された、という。

拡大記者会見する岡田和生氏(右)と中山達樹弁護士(左)=14日午後1時20分、東京・霞が関で
 そのようになってしまった理由は、富士本社長ら会社側が岡田氏の息子と娘を味方につけて岡田氏から離反したためだった。Okada Holdings Limitedの筆頭株主は岡田氏だが、その持ち株だけでは過半数とはならない。一方、岡田氏の息子の知裕(ともひろ)氏の43%の持ち株と娘の裕実(ひろみ)氏の9.78%の持ち株を合わせると、父親の岡田和生氏の持ち株を上回り、過半数の53%になる。息子と娘が父親に反旗を翻し、ぎりぎりの差でOkada Holdings Limitedの支配権を獲得し、ひいては、UE社の株主総会を制した格好となった。

 岡田氏はこれへの反撃に出ている。記者会見での中山弁護士の説明によると、9月7日、娘の裕実氏が香港の法律事務所で次のように証言したという。

 5、6月には、内容も分からず、兄に頼まれて(書面に)署名させられてしまった。父、岡田和生の会長復帰を望んでいるので、それらの書面は撤回する。兄も被害者です。

 中山弁護士によると、翌8日、Okada Holdings Limitedの臨時株主総会が開かれ、岡田和生氏が同社の代表であることを確認したという。

拡大香港政府の登記部門で公開されているOkada Holdings Limitedの登記情報。8月中旬以降の役員交代については「保留」となっている=14日時点
 もしこれが事実ならば、岡田氏はOkada Holdings Limitedの支配を復活させたことになる。ひいては、UE社の支配も獲得することになる。

 ただし、16日昼の時点で、香港政府の登記部門のデータを検索しても、岡田氏がOkada Holdings Limitedの役員に復帰したとの登記情報は公開されていない。8月11、18、30日にそれぞれ役員変更の申請が相次ぎ出されているが、それらはいずれも「保留中」となっており、正式な登記情報としては公開されていない。

 ■岡田氏「なぜ息子は…」

拡大記者会見する岡田和生氏=14日午後1時44分、東京・霞が関で
 岡田和生氏は14日、紺色のブレザーの下にボタンダウンの縦じまシャツを着込み、水色の柄のネクタイを締めた姿で司法記者クラブに現れた。中山弁護士の冒頭説明を横で聞いた後、「それでは。私が岡田和生でございます」と切り出した。「お集まりいただきまして誠にありがとうございます」と続けた。

 今回、家族紛争、家族のクーデターという意味ではとても興味本位でとられやすい内容かというふうに思います。たしかに私の息子と娘、ここが協調して、私に対して、排除するという考え方をとったんですが、娘については、全く内容を聞かされないで振り回されてた。ということは、息子のほうがいろいろな話をしてきたんですが、ま、私としては、今、息子がまだ洗脳されて、理解ができていない(と思っている)。

 5月から私は必死になって、息子との会話を復活したい、娘との会話を復活したいと、探し回ったけど、つかまらない。つかまらないように、いないようにと、常にコントロールされているのが実態で。絶対会わせない。会わせると元の木阿弥に戻る可能性がある。これを恐れて……

 岡田氏によると、最終的に娘には会うことができ、その理解を得ることができた、という。しかし、息子とは連絡がとれていないという。昔、オートバイに興味を持つようになった息子の交通事故を恐れてそのオートバイを取り上げた話など息子の思い出を岡田氏は過去にさかのぼって振り返った。

 ふつうの親子としてそんなに異常性があるとは私は思いません。

 なんで(息子は)ここまで思い込んでしまったのか。この1、2年間、まったく私と会わせない。

 私が息子に対して何を感じているかといったら、とにかく、わからして、もう一回戻ってこい、と。

 (息子の)経験不足が起こしていることだと思います。

 ■特別背任疑惑

 岡田氏の追放と並行して、UE社は、岡

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奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 朝日新聞編集委員。
 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部などを経て特別報道部。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。
 著書に『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)。共著に『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)など。
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