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アンダーソン・毛利・友常法律事務所 企業法務の窓辺

スイーツとアレルギー ~食品原材料表示の大切さ~

中村 貴子(なかむら・たかこ)

スイーツとの付き合い

アンダーソン・毛利・友常法律事務所
中村 貴子

 1.はじめに

拡大エクストラスーパーあまおうショートケーキ。かわいらしい見た目と裏腹なボリューム感。
 小さい頃から甘いものが好きで、大人になった今でも変わらず好きである。和菓子も洋菓子も好きである。スイーツは味だけではなく、見た目もかわいらしくて鮮やかなものが多く、見て食べて幸せな気分になれる。また同じ種類のスイーツでも、お店や作り手によって全く違う味や個性があって、いつも何かしら新しい発見があり、とても興味深い。

 2.近場のスイーツ

 好きなスイーツはその時々で変わるのだが、このところ注目しているのは、ホテルニューオータニのパティスリーSATSUKIで提供されている「スーパーシリーズ」のケーキである。スーパーメロンショート、スーパーあまおう、スーパーチョコレートショート、スーパーチーズケーキ……。「スーパー」を名に冠しているとおり、もちろんサイズも少し大きめなのだが、何より高級な材料が使用されているプレミアム感満載のケーキである(その上を行く「エクストラスーパー」ケーキも、種類・個数限定で売られている)。

拡大スーパーモンブラン。堂々とした出で立ち。
 現在の事務所の所在地がホテルニューオータニに近いこともあり、通勤途中の駅の壁面の広告に時折パティスリーSATSUKIを見かける。ある時に見た「スーパーモンブラン」の広告は、かなり衝撃的だった。ポスターの中に、小さめの土台に繊細ながらも濃厚そうなマロンペーストがこんもりとのったモンブランが鎮座していたのである。おそらく多くのスイーツ好きの心をわしづかみにしたのではないかと思う。その時から、そのビジュアルに心踊らされ、同期の女性弁護士と「スーパーモンブラン」を食べに行く日を楽しみに職務に励んでいた。実際はなかなか日程が合わず、そのシーズンはスーパーモンブランの時期を逃してしまい、エクストラスーパーあまおうで代替された。もちろんエクストラスーパーあまおうもエクストラなだけあり、サイズも大きく、真っ赤な大粒のきれいなイチゴとしっとりしたスポンジで、本当に美味しかった。待望のスーパーモンブランを食べることができたのは翌シーズンであったが、重めで濃厚なクリームはまさにそのビジュアルどおりで、フォークで切っても断面が崩れない程であった。中の和栗も大きく甘くしっとりしていて、まさしく秋を感じるとても美味しい和モンブランだった。ちなみに、マロンペーストは、その時期に最も美味しい和栗を使用しているそうで、期間を通じてその時々の味が楽しめるようである。

 3.アメリカとスイーツ

 アメリカ留学時にはカップケーキとブラウニーにはまった。スイーツの面ではアメリカは人気が高い国とは言えない。想像していたとおり奇抜な色や、サイズが桁違いなものが目立つ。当初は手が伸びないことも多かった。だが、ビジュアルに慣れて色々と試すようになると、色鮮やかで大きさも種類も豊富なカップケーキ(見た目重視)と、見た目も味もわりと安定感のあるブラウニー(味重視)へと興味が収束していった。実際、その2つについては、日本よりずっと目にすることが多かったと思う。アメリカのスイーツらしいとにかく派手で大きいものもある一方で、健康志向で素朴なものやビーガン対応しているものも少なくなかった。田舎町だったのであまりレパートリーは多くなかったが、何件か店を回った。カップケーキであれば、アイシングの量とスポンジの割合やその両方の味や色のバランスを見て食べ比べてみた。ブラウニーであれば、ナッツ・チョコの割合や生地がファッジなものや軽いものを食べ比べた。利き酒ならぬ利きブラウニーや利きカップケーキをしたこともあった。アメリカ国内の旅行をするときは、その土地で有名なカップケーキ屋を探して並んでみたり、カフェでは必ずブラウニーを買ってみたり、その後で体に悪そうな吹き出物ができたりしたのもいい思い出である。

 カップケーキやブラウニー以外でも、リンゴが「これでもか」というほどゴロゴロ入っている生地がとても薄いアップルパイや、牛がぽつんぽつんと見える果てしない牧草地の目の前にあるお店のジェラートなど、アメリカの大自然が育んだ新鮮で素朴なスイーツはとても美味しかった。今でも時々、あの大胆でガツンとくるスイーツが恋しくなることがある。

 4.アレルギーと食品表示

 そんなスイーツ好きな生活を送っていたのだが、大人になってから困ったことがある。それまで何の問題もなく食べられた果物の中で、アレルギー症状が出る果物がでてきてしまったのである。それもスイーツに添えられることが多いサクランボ、桃などのバラ科の果物である。少量だったり調理されたりしているものは特に問題はない。だが、生で食べていると、ある量を過ぎるときまって喉がかゆくなる。シラカバ花粉症があると出やすい口腔アレルギーのようである。体調や季節によって症状に違いはあるものの、大好きだったそれらの果物を、今までのように何も気にせずに食べることができなくなってしまった。アレルギーは、子どもの頃からだけではなく、私のように大人になってから発症することも少なくないと思う。アレルギーがある人にとっては、食品にどのような物質が含まれているかを知ることは非常に重要である。

 食物アレルギーとは、食物を摂取等した際、食物に含まれる原因物質(アレルゲン:主としてタンパク質)を異物として認識し、身体が過敏な反応を起こすこととされている(消費者庁の「アレルギー表示について」より抜粋)。特定のアレルギー体質をもつ消費者の健康危害の発生を防止する観点から、食品表示法・食品表示基準の規定により、容器包装された加工食品にはアレルゲンに関する情報を表示する必要がある。特に発症数、重篤度から勘案して表示する必要性の高いものとして、「卵、乳、小麦、落花生、えび、そば、かに」(「特定原材料」という。)を含む場合には、そのような特定原材料を含む旨の表示が義務付けられている。また、症例数や重篤な症状を呈する者の数が継続して相当数みられるが、特定原材料に比べると少ないとされる「いくら、キウイフルーツ、くるみ、大豆、カシューナッツ、バナナ、やまいも、もも、りんご、さば、ごま、さけ、いか、鶏肉、ゼラチン、豚肉、オレンジ、牛肉、あわび、まつたけ」についても、食品表示基準に関する通知により、特定原材料に準ずるものとして、任意での表示が奨励されている。

 具体的な表示方法としては、原材料の場合は、全て「(~を含む)。」と表示し、添加物の場合は、原則「(~由来)」と表示されることになっている。これらの表示については、可能性表示(「入っているかもしれない」等の表示)は禁止されている(なお、食品表示法によるアレルギー表示に関しての詳細は、消費者庁のHPにおいて、パンフレットやQA、ガイドライン等に記載されている)。また、今後も引き続き疫学調査が定期的に実施され、健康危害等の程度・頻度を考慮し、特定原材料等の見直しが行われていく予定とされている。

 5.終わりに

 弁護士生活も10年が過ぎ、スイーツとの付き合い方も段々と変わってきた。気合を入れて話題のスイーツを食べに行くことは残念ながら減ってきてしまったが、ちょっと疲れた時のコーヒーとチョコレート、時間があるときに点てる抹茶と和菓子、寝る前のアイス等、スイーツとの時間は至福の時である。ふとした時に、少し力を抜いて優しい気持ちにさせてくれる甘いものと、これからも仲良く付き合っていきたい。

中村 貴子(なかむら・たかこ)

 2004年3月、東京大学法学部卒。2006年3月、東京大学法科大学院 (法務博士 (専門職))修了。2007年12月、司法修習(60期)を経て弁護士登録(第一東京弁護士会)。2008年1月、当事務所入所。2013年5月、米国Duke University School of Law (LL.M.)修了。2013年8月~2014年5月、米国Duke University School of Law客員研究員。2014年8月、ニューヨーク州弁護士登録。2018年1月、当事務所スペシャル・カウンセル就任。
 論考に"Investment Funds" (Japan Chapter) (Thomson Reuters 2016年)(共著)がある。

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