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深掘り

コンプライアンス春秋  日本経営倫理士協会から

トヨタ、大阪地検特捜部、J&J……、2010年コンプライアンス重要ニュース

初の経営倫理士100人アンケート

 日本経営倫理士協会(ACBEE)では昨年暮れから年明けにかけて初めてとなる「経営倫理士100人アンケート」を行い、2010年の「コンプライアンス重要ニュース」をまとめた。トヨタ自動車のリコール問題、大阪地検特捜部の証拠データ改ざん事件、ジョンソン・エンド・ジョンソンの独禁法違反などに強い関心が集まった。

日本経営倫理士協会専務理事
千賀 瑛一

 ■トヨタのリコール問題などに注目

 アンケートは、昨年末から今年1月10日にかけて、経営倫理士(415人)の中から無作為に抽出した100人を対象に行った。経営倫理関係の重要ニュースについて、企業だけでなく行政も含め、関心度の高い順に3つの事例を挙げてもらった。回答は無記名で、電子メールまたはファクスで回収した。78人から回答が得られた。

 経営倫理、コンプライアンスをめぐる諸動向について、専門家である経営倫理士の関心、注目度をさぐるのが目的。次年度の経営倫理士取得講座の編成の参考にする狙いもある。

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 回答のあった事例を単純に集計したところ、1位はトヨタ自動車、2位は大阪地検特捜部で、いずれも78人の回答者のうち20人以上によって関心事として挙げられた。

 ■ジョンソン・エンド・ジョンソンの独禁法違反に驚き

 アンケートでは事例ごとに、それを選んだ理由、その防止策のあり方についても尋ねている。

 トヨタ自動車のリコール問題については「日本の代表的企業だけに、その影響は大変大きい」「トヨタに品質問題はないととられるような企業文化を改めるべきだろう」(製造業、一般職、男性、40歳代)という指摘があった。

 大阪地検特捜部のデータ改ざん事件では「絶対あってならない所で発生した改ざんで重大」「絶対というのはあり得ないので、必ずチェックする自制が必要。古い体質は改めるべきだ」(金融保険業、管理職、男性、30歳代)という回答があった。

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 医薬品・健康関連用品の世界最大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の日本法人が、使い捨てコンタクトレンズ「ワンデー・アキュビュー」の価格を広告に表示しないよう販売各社を不当に拘束したとして、独占禁止法違反(拘束条件付き取引)で公正取引委員会の排除措置命令を受けた問題については、同社が経営倫理士の間でもともと評価が高かった企業だっただけに、「経営倫理面で模範企業として通っていたが、理念の継承はなされていないのか」(建設業、管理職、男性、50歳代)というように驚きと疑問の声が出ている。「Our Credo(我が信条)で有名な高い倫理体質の企業なのに・・・」「管理体制の強化と組織文化の再教育が必要」(情報通信、一般職、女性、40歳代)という指摘もあった。

 電線5社による談合問題では、回答者の多くが「変わらぬ談合体質」を選定理由にあげ、防止策として「古い体質を変えなければダメだ」と指摘している。

 ■経営倫理士としての活動に積極性を

 経営倫理やコンプライアンスに反する動きが後を絶たない状況下で、経営倫理士たちは、どのような受け止め方をし、今後の活動の基軸をどこに置くべきかについても回答してもらった。

 「コンプライアンスや企業倫理の最下限を認識しなければならない。善悪の判断がぶれないようにニュートラルな状況に身を置く」(製造業、管理職、男性、60歳代)。

「継続することを基本に、CSR(企業の社会的責任)やコンプライアンス部署に積極的に関与すること。経営理念、行動基準を浸透させる推進となる」(製造業、管理職、男性、40歳代)

 管理面の重要性を強調する声があった。

 一方で、個人の倫理を重要視する意見もあった。

 「個人としての倫理感も大切。経営倫理士としての自分の発言、あるべき姿を考えて行動する」

 ■アンケート結果についての有識者コメント

 日本経営倫理士協会の理事を務める小山嚴也・関東学院大学経済学部教授はアンケートの結果を見て、「多くの企業人にとって、やはりトヨタのリコール問題は衝撃的であったことがうかがえる。この問題については、メディアの取り上げ方についての関心も高かったのではないかと思われる。さすがに経営倫理士という専門的な立場にある人達だけあって、リコール、談合、粉飾決算、データ改ざんなど、注目する問題の範囲が広範だといえよう」とコメントした。

 

 ◆ シンポジウム「企業不正と社会責任」
 NPO法人 日本経営倫理士協会(ACBEE)創立15周年を記念して、「企業不正と社会責任 ―― 経営リスクのビフォー&アフター」と題したシンポジウムが2011年3月1日午後に開かれる。現在、参加受け付け中。
 企業の不正事件・不祥事が跡を絶たず、いま企業倫理、コンプライアンスの強化が強く求められている。不正事件の発生原因とCSR(企業の社会責任)のあり方を探りつつ、不正発生の防止と事後対応を考える。
 ◎ 開催日時  2011年3月1日(火)13:00~16:40
 ◎ 会  場  こどもの城 9階(東京・渋谷)
 ◎ 参 加 費  一般:10,000円 経営倫理士:8,000円 ACBEE会員:5,000円
 ◎ 定  員  200人(定員になり次第締め切り)
 ◎ 基調講演とパネリスト
 ・基調講演
 若狭  勝(弁護士、前東京地検公安部長、元東京地検特捜部副部長、ACBEE講師)
 ・パネルディスカッション
 司会
 若狭  勝
 パネリスト
 池田 耕一(立教大学大学院ビジネスデザイン研究科教授、元パナソニック企業倫理室長、ACBEE講師)
 三浦 佳子(消費生活コンサルタント、ACBEE講師)
 森  一夫(日本経済新聞 特別編集委員)
 ◎ 申し込み  日本経営倫理士協会 事務局 03-5212-4133

 〈経営倫理士とは〉
 NPO法人日本経営倫理士協会が主催する資格講座(年間コース)を受講し、所定の試験、論文審査、面接を経ると、経営倫理士の資格を取得することができる。現在、経営倫理士協会で受講受け付け中

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