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深掘り

コンプライアンス春秋  日本経営倫理士協会から

コンプライアンス浸透は「手づくり新聞」で

大阪ガスと横河電機の事例

 ミニ新聞を発行して社内のコンプライアンス浸透に効果をあげているケースがある。コンプライアンス担当者による手づくり、ていねいな紙面が好評で、着実に職場に根付きつつあるようだ。経営倫理士が在籍する大阪ガス、横河電機のケースをレポートする。

日本経営倫理士協会専務理事
千賀 瑛一

 ■大阪ガスの「コンプライアンス通信」

 大阪ガスでは、コンプライアンス部の河野浩明マネージャーが中心となって、「コンプライアンス通信」を発行している。社員6千人と関連会社1万3千人が読者で、原則A4判、2ないし4ページで発行している。2003年にスタートし、今年4月で75号になる。発刊当時は年2回だったが、2005年から月刊になっている。プリント配布のほかに、PDFファイルにしてメールで送信している。大阪ガスのグループには、コンプライアンス推進責任者が約120人おり、啓発材料などにも使われている。(1)業務に関する主な法令改正の解説,、(2)最近、マスコミ報道された法令違反等の事例、(3)最近のコンプライアンス部の活動が主な紙面の内容で、最後に「デスクだより」をつけることもある。

 ■毎号、主要項目として三本の柱で編集

拡大コンプライアンス通信2011年1月号と同2月号

 「コンプライアンス通信」2011年1月号を見てみよう。

 「短時間労働者実態調査」について概要を説明している。そのほか、「職場のメンタルヘルス対策実態調査結果」や「優越的地位の乱用に関する独占禁止法上の考え方」に関して紹介している。

 続いて、新聞で報道された不祥事事例を解説し、「自らの部署で起こるおそれはないか、防止策はできているか等の確認・チェックや研修等の啓発活動にご活用ください」と呼びかけている。ここで紹介されているのは、大手ゼネコンが高層ビルの施工ミスを隠したまま工事を続行したケースや、地方自治体が白紙伝票を使う等の不正経理で700人余を処分した事例など計5件が記載されている。いずれも日刊新聞から引用。それぞれの事例について関係法令、大阪ガスグループ企業行動基準等に照合しながら解説している。

拡大大阪ガスのコンプライアンス部の河野浩明マネージャー

 さらに、「第8回コンプライアンスに関するアンケート調査」や「第4回コンプライアンス推進担当者パワーアップ講座のお知らせ」を掲載している。

 「デスクだより」では、前年末に経営倫理士14期生として資格取得をした同社社員の話題を載せている。

 河野浩明マネージャーは、「数人のスタッフで担当している、手づくり型の新聞です。記事化にあたっては、日刊新聞を日頃からチェックしています。新聞で掲載された判決も、判決原文をあたるようにしています。文章表現も極力客観的にして、原稿の書きなおしは3、4回やっています。月1回の発行なので、ネタ探しも大変ですが、受け取る側の反応も大きく、新聞づくりの喜びはあります」と話している。

 ■横河電機の「コンプライアンスニュース」

 横河電機の「コンプライアンスニュース」は、企業倫理本部の佐野廣二本部長が2008年4月に着任したときにスタートした。原則2カ月に1回、発行し、PDFファイルにして、本社と国内子会社9600人を対象にメール送信している。

拡大コンプライアンスニュース1号(左が国内版、右が台湾発行版)

 毎号ひとつのテーマを設定して編集しており、たとえば、第3号(08年8月28日号)のテーマは、「早い情報開示の徹底について」。「一人ひとり、まずは早い情報開示を実行してください」「悪いニュースは早く報告を」などの見出しで社員らに呼びかけ、浸透を図っている。

 第5号(09年1月5日号)のテーマは、「コンプライアンスを再認識しよう」。「企業不祥事による被害や損失は、一度起きてしまうと企業にとって致命的な事態になりかねず、それを防ぐための基盤として、コンプライアンスの確立は必須です」と呼び掛けている。

 第7号(09年5月26日号)は、「パワーハラスメント防止について」。同号では、パワハラの具体的なケースを紹介、特に「ささいな言葉や気持ちの行き違いから始まり、徐々に職場の信頼関係が悪化しパワハラ状態にエスカレートしてゆくことが多いようです」と指摘、注意を喚起している。

 ■「社会の目線」で信頼を得よう

拡大横河電機企業倫理本部の佐野廣二本部長

 第11号(10年1月26日号)は、ユニークなテーマだ。「『誠実な行動』と『社会の目線』で信頼を得よう」。「セクハラ、パワハラ、インサイダー取引などが身近な問題として扱われるようになり、『社会の目線』は大きく変化してきています。このような変化を常に意識して、どのようにあるべきかを考える習慣が大切です」。さらに「『社会の目線』は決して普遍的なものではありません。経済状況や人々の認識の変化とともに、法や制度も整備、改訂され、新たな流れも生まれています」と記述されている。同号について、佐野廣二本部長は「発刊1年半にあたり、CSRの基本である『社会の目線』で組織と人をリセットした。情報提供の節目をとらえ、改めてコンプライアンスの基本をしっかり根付かせるのが狙い」と話している。

 第17号(11年1月27日号)は、海外の動きに踏み込んで情報提供している。テーマは「米国・英国の汚職関連防止法に注意しましょう」。「YOKOGAWAグループとしても海外ビジネスを拡大している中、安心して海外との取引を推進できるよう、これまで構築してきた内部統制に加え、外国公務員に対する贈賄防止のための有効な統制とそれを保証するための『監査』の実施を強化する」と強調している。

 なお、同ニュースは、中国語にも翻訳され台湾版が発行されている。

 ■職場での、気づきが重要 

 「コンプライアンス通信」(大阪ガス)、「コンプライアンスニュース」(横河電機)、いずれも

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