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深掘り

コンプライアンス春秋  日本経営倫理士協会から

経営倫理士はどんな活動をしているのか

 「コンプライアンス春秋」が昨年の夏スタートして1年が経った。経営倫理、コンプライアンス、CSR(企業の社会的責任)などに関する企業のさまざまな動きをレポートしてきた。最近、読者の中から「日本経営倫理士協会はどのような活動をしている組織ですか」「経営倫理士の役割、資格取得によるメリットは何ですか」といった質問を受ける。今回は、これらの質問に答える。

日本経営倫理士協会専務理事
千賀 瑛一

日本経営倫理士協会・千賀瑛一専務理事拡大千賀 瑛一(せんが・えいいち)
日本経営倫理士協会専務理事。東京都出身。1959年神奈川新聞入社。社会部、川崎支局長、論説委員、取締役(総務、労務、広報など担当)。1992年退社。1993年より東海大学(情報と世論、比較メディア論)、神奈川県立看護大学校(医療情報論)で講師。元神奈川労働審議会会長、神奈川労働局公共調達監視委員長、「経営倫理フォーラム」編集長。日本記者クラブ会員。

 ■発足して15年目 415人(1~14期)の経営倫理士が誕生

 NPO法人日本経営倫理士協会(ACBEE=Association of Certified Business Ethics Expert)の前身である任意団体「経営倫理実践普及協議会」は1997年に発足した。通算すると来年、創立15周年を迎える。

 当協会は、経営倫理士の育成と資格認定という活動を行っている。組織は、理事会、総合企画委員会が管理・運営に当たっている。経営倫理士は資格取得後、「日本経営倫理士協会」に5000円の年会費で加入することができる。2011年9月までの加入は約100名。会員には、各種セミナー、イベント参加の料金割引や、特別資料の無料提供などのサービスがある。

 受講者は企業のトップ、役員はじめ人事、企画、広報やコンプライアンス、CSR担当セクションの社員ら。また、大学生や大学院生、調査研究機関や、各種団体の役員・職員等だ。

 時には、不祥事が発生したばかりの企業からの受講や、急激に成長した企業の社員がトップの指示で受講するケースも。九州・宮崎県や山陰、四国などからの参加者もいる。講座内容は「経営倫理」「CSR」「法務」などの基礎理論をはじめ、「企業不正に対する検察の動き」や「企業不祥事報道の視点」、「監査の新しい動き」や「女性と労働と人権」。また、「社会貢献活動」や「消費者と企業の在り方」や「経営倫理の教育・研修」に至るまで、幅広く専門的な講座で編成されている。全部で13回19テーマを5月から11月にかけての7カ月間で学ぶ。資格取得は、筆記テスト、論文提出、面接試験の結果の総合判断による。

 ■新任担当者に最適、貴重なネットワーク

 資格取得者からは次のような声が寄せられている(同協会発行の「15年の歩み」から)。

 「経営倫理士という肩書の一般的な認知度は、まだそれほど高くないのが実情です。しかし、我が社ではコンプライアンス室に配属されたメンバーに対して資格取得を奨励しています。第一に、コンプライアンス或いは企業倫理について一通りの概論を学ぶのに、今のところ最も適当。(中略)特に企業の担当者に求められる実践の部分を先進各社の実務経験者から聞く機会は、他の類似講座にない魅力。二番目の理由は、『業界』の人脈を作れること。数カ月にわたって机を並べて学んだ同期生を含め、経営倫理士同士のネットワークこそがこの業界で仕事をしていくうえでの大きな財産」(サントリーホールディングス・コンプライアンス室長、富田真人さん=第11期経営倫理士)。

拡大第15期経営倫理士資格取得講座の講義を受ける受講生ら

 「経営倫理士とは会社を守る、社員を守るスペシャリストであり、優れたバランスを兼ね備えた人物であると捉え、日々研鑽に励みたいと思います。経営倫理士講座で、創設者の故・水谷雅一さんからいただいた言葉『企業人としてこれでいいのかと考える時間を一日5分必ず持つこと』が頭をよぎります。社員の意見を聞き工夫を重ねながら、地道に継続していくことの大切さを実感しています」(NECソフトCSR推進部コンプライアンス推進室CSR推進マネージャー、御厨友美さん=第11期経営倫理士)。

 多くの経営倫理士の組織内の役割は、教育研修の企画・立案、コンプライアンス浸透のためのさまざまなツール、手法作り、また研修や職場ミーティングの司会、アドバイザーなどを務めている。また、コンプライアンス・マニュアル制作やガイドブック作成も担当するが、最近では、英語版、中国語版などの製作に参加している者もいる。

 ■シンポジウムや環境視察バスツアーなど

 日本経営倫理士協会ではこのほか、コンプライアンス・シンポジウムや環境視察バスツアーなども実施している。

 2009年7月に開催された第1回のコンプライアンス・シンポジウムのテーマは「パワーハラスメントで職場崩壊も……」。今年3月の第2回のテーマは「企業不正と社会責任」。それぞれ基調講演とこれを受けてのパネル討論型で、専門家、学識経験者、ジャーナリストなどが参加している。

 また、環境視察バスツアーは「現場に見るCSR」をテーマとして、先進的な取り組みをしている企業の環境対策、先端技術の現状等を見て知識を高め、情報を得ようとするもの。一般見学コースではなかなか見ることのできない施設にも入り、担当者から専門的な解説を受けている。

 2009年10月の第1回では、パナソニックの最先端技術によるサイバードーム、国民生活センターの商品検査施設などを視察した。2010年3月の第2回では東京電力の横浜火力発電所と味の素川崎工場。2010年9月の第3回では東京ガス環境エネルギー館とサントリーホールディングス武蔵野ビール工場。第4回バスツアーは10月5日に予定されており、三菱地所の丸の内パークビル、三菱1号館(美術館)の免震施設などを見学する。さらに東京地下鉄の保有する都内最大の綾瀬車両基地で、車輌工場の環境対策、安全管理を視察。また最新技術により省エネ、軽量化された新型車輌を見学する(詳細は下記)。

 日本経営倫理士協会は、関連組織の経営倫理実践研究センター(BERC、1997年発足)と日本経営倫理学会(JABES、1993年発足)と連携している。協会主催の経営倫理士資格取得講座等では、大学教授、准教授、コンサルタント、弁護士、ジャーナリスト等約30名が参加。毎期ごとに講座内容を改編・充実させている。第16期の募集期間は、2011年11月から2012年4月となっている。

 

 バスツアー参加申し込み受付中
 10月5日午前10:00丸の内集合、午後5時ごろ同地帰着。参加費は一般1万円、経営倫理士8千円、経営倫理士協会員7千円(大型貸し切りバス乗車料、昼食、配布資料代含む)。現在、参加申し込みを受け付け中(40人定員になり次第締め切る)。

 〈経営倫理士とは〉
 NPO法人日本経営倫理士協会が主催する資格講座(年間コース)を受講し、所定の試験、論文審査、面接の結果、取得できる。企業不祥事から会社を守るスペシャリストを目指し、経営倫理、コンプライアンス、CSRなど理論から実践研究など幅広く、専門的知識を身につける。問い合わせは03-5212-4133へ。

 千賀 瑛一(せんが・えいいち)
 東京都出身。1959年神奈川新聞入社。社会部、川崎支局長、論説委員、取締役(総務、労務、広報など担当)。1992年退社。1993年より東海大学(情報と世論、比較メディア論)、神奈川県立看護大学校(医療情報論)で講師。元神奈川労働審議会会長、神奈川労働局公共調達監視委員長、日本経営倫理学会常務理事、経営倫理実践研究センター先任研究員、日本経営倫理士協会専務理事。「経営倫理フォーラム」編集長。日本記者クラブ会員。

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