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深掘り

クロスボーダー法務の今 by Baker & McKenzie

パリ協定とCOP21の歴史的意義 温室効果ガス削減への約束草案

板橋 加奈(いたばし・かな)

Paris Agreement(パリ協定)とCOP21
 -その歴史的意義

ベーカー&マッケンジー法律事務所
板橋 加奈

 1.はじめに

拡大板橋 加奈(いたばし・かな)
 弁護士。ベーカー&マッケンジー法律事務所東京オフィスで、環境グループリーダーを務め、コーポレートM&A、労働グループに所属するパートナー。東京大学卒業、ジョージタウン大学ロースクール(LL.M.)卒業。
 2015年12月12日、先進国・途上国を含む196か国・地域が、産業革命前に比べ気温上昇2度未満に抑えることを目標とする歴史的な内容を含むParis Agreement (以下、「パリ協定」という)が成立した。パリ協定は、1992年気候変動枠組条約のもとで交渉が行われ、先進国のみが温室効果ガス削減目標を課されていた京都議定書に代わる枠組みとして、2020年に発効が予定されている。

 パリ協定は、すべての参加国に目標達成のための報告及び排出量削減に向けての説明責任の法的義務を課すものである。パリ協定の発効までにまだ時間はあるものの、パリで行われた締約国会議(COP)は、国、及び州・都市など様々な政府レベル、又は非政府組織を含む市民組織により、気候変動に関するイニシアティブが既に多岐にわたって存在すること、これらのイニシアティブが経済社会に多大な示唆を与えるものであることも明らかにしたといえる。

 この協定は、Paris Decision(以下、「パリ決定」という。)の中に位置づけられる。パリ決定とは、パリ協定発効までのプロセスを示すとともに、締約国会議がパリ協定の採用を正式に決定する文章である。パリ協定は、京都議定書終了後の枠組みを提供し、すべての参加国に温室効果ガス削減目標を課すというさらに高い目標を掲げ、これまでの国際的な気候変動に関する枠組みを新たな段階に進めることになる。このように、温室効果ガス削減の取組みの歴史において非常に重要な意義を持つパリ協定について本稿で解説する。

 2.気温上昇2度未満(well below 2℃)の達成目標及びINDC(約束草案)

 (1)目標及びプロセス

 パリ協定の中で期待以上といえる成果の一つは、その目標設定の高さである。パリ協定は、産業革命前のレベルと比較して気温上昇を2度未満に抑え、かつ1.5度に抑える努力を継続するという明確な目標を設定した。この目標を達成するには、各国は2050年以降可能な限り早い時点での「ネット・ゼロ・エミッション」(人為的なCO2排出量を人為的吸収量で相殺する)の達成を求められる。

 パリ協定は、気温上昇2度未満という目標達成の「プロセス」に焦点を当てている。このプロセスの鍵は、参加各国がボトムアップ方式によりNDC(Nationally Determined Contribution、約束草案)を提出することにある。NDCとは、参加各国によるハイレベルのポリシープランであり、各国が温室効果ガス排出量を削減し、気温上昇2度未満というゴールに貢献するためにどのようなアプローチを採用するかを記載するものである。COP21に先立ち、排出量削減がどのように実現可能かを具体的に示すことによりパリ協定のモメンタムを作出するべく、参加各国はINDC(Intended Nationally Determined Contribution、各国が自主的に決定する約束草案)の提出を要請された。その結果、189のINDCがUNFCCC(United Nations Framework Convention on Climate Change、国連気候変動枠組条約)事務局に提出されたが、そのアプローチは様々で、パリ協定においては長期的INDCに何を盛り込むか(気温上昇を比較する基準年、目標達成のスケジュール、排出量削減計画のスコープ、NDCにおいて用いた仮定及び方法論的アプローチ等)につきガイドラインを示すことが期待されている。

 このNDCを用いて削減を達成するボトムアップ形式は、京都議定書が採用したトップダウン方式とは異なるものである。京都議定書が国際的なレベルで参加各国が採用可能なアプローチを示し、付属書締約国に記載された先進国に排出量削減目標達成を義務付けるものであったのに対し、パリ協定は、すべての参加国に対し、世界的な温室効果ガス排出量削減にどのように貢献するか提案することを要求するものである。

 但し、このボトムアップ方式の潜在的に困難な点は、参加国が目標達成に必要な国内法制を整備しないという選択肢をとることが可能な点にある。そこで、パリ協定は参加各国が長期的NDCを提出する際に「達成可能である範囲で最も高い目標」を反映し、さらに高い目標を達成すべく5年毎の見直しをすることを要求している。また、NDCは一般に公開されることにより、市民団体によるレビュー・分析・説明責任要求にさらされることになる。また、2023年以降5年ごとに、気温上昇2度未満目標の達成度合いについての監査が予定されている。

 (2)日本のINDC

 日本が2015年7月に決定、UNFCCCに提出したINDC(自主的に決定した約束草案)の内容は、温室効果ガスを2030年度に2013年度比26%減、2005年度比25.4%減の水準とするものである。これは、主要セクターの具体的な対策・施策の積み上げに基づいて作成されており、産業部門、運輸部門、家庭部門、業務部門、LULUCF(土地利用、土地利用変化及び林業)、エネルギー部門における取組の積み上げとされている。二国間オフセット・クレジット制度(JCM)については、温室効果ガス削減目標積み上げの基礎としていないが、日本として獲得した排出削減・吸収量を日本の削減量として適切にカウントする、としている。

 (3)NDC実績評価手法の透明性確保

 締約国会議において議論された重要な課題が、統一的かつ透明性を持ってNDCの達成度を比較する手法であるが、この点は今後の検討課題として残されている。

 3.先進国と途上国

 パリ協定は、先進国及び途上国双方に、温室効果ガス排出量削減目標の設定とそれを達成する透明性のあるフレームワークを義務付けてはいるものの、その約束の達成に関するそれぞれの義務には差異を設けている。すなわち、先進国は経済全体としての目標を掲げることを要求されるのに対し、途上国には時間をかけて経済全体としての削減目標を掲げられるよう前進すべきと定められる。但し、パリ協定は、気候変動枠組条約及び京都議定書の締結時からの参加各国の経済状況の変化を鑑み、先進国・途上国の分類については柔軟なアプローチを採用している。すなわち、パリ協定においては、先進国・途上国の定義はおかれていない。気候変動枠組条約及び京都議定書ではその付属書において先進国・途上国が列挙されていたが、それらとは異なり、参加各国は、京都議定書での位置づけに縛られることなく、自ら先進国・途上国のいずれに分類されるか決定することができる。

 また、各国は地域連合体又はパートナーシップを通じてNDCの作成に関し協力することを許容されており、この試みも先進国・途上国の枠組みを超えた温室効果ガス削減協力に資することになると考えられる。

 4.排出権取引の位置づけ

 特筆すべきは、パリ協定における国際的排出権取引市場の復活である。排出権取引は、京都議定書の重要な要素ではあったものの、この10年間厳しい道のりを歩み、パリ協定において言及されるか否かも定かでなかった。実際に、交渉の経過においては、如何なる市場枠組みも取り入れるべきでないとの声もあった。しかし、NDCの採用は、参加各国に国内における削減目標の達成方法について自主性を認めるもので、国内排出権市場又はその他の市場メカニズムの利用を認めるものである。そして、パリ協定の交渉中に最も議論となったのは、各国が国際的に排出量削減に向けて協力する中で市場メカニズムが果たす役割、及びプロジェクトベースの排出量削減に関し市場メカニズムが果たす役割についてであった。交渉経過では大多数の参加各国において、市場メカニズムの果たす重要性について認識は一致していたものの、市場メカニズムが排出量削減の障害となると考える国も存在し、その結論については最後まで懸念された。

 結局、パリ協定の文言には市場メカニズムという言葉自体は盛り込まれなかったものの、パリ協定は市場メカニズムの利用を明確に認めた。すなわち、その第6条2項において、各国は、ITMOs(Internationally Transferred Mitigation Outcomes)の利用を通じて、各国のNDC達成のために自主的に協力することを認めている。すなわち、ホスト国が自らの削減排出量としてダブルカウントしないことを条件に、NDC達成のために、ある国の削減排出量を他国がそのNDC達成のために利用することを認めるものである。今後、CMA(Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties to this Agreement、パリ協定の締約国会議の役割を果たす締約国の会合)がいかなる排出源がITMOsに使用可能か、どのようにダブルカウントを回避するかにつき、更なるガイダンスを示す予定である。

 このメカニズムは、京都議定書におけるCDM(Clean Development Mechanism、クリーン開発メカニズム)を連想させる。しかし、パリ協定におけるメカニズムとCDMとの違いは、プロジェクトあるいはプログラムに関し、途上国において実施されるべきことが明記されていない点にある。但し、プロジェクトの成果の一部が途上国の支援に使われることは要件とされている。

 このように、パリ協定は、市場をベースとするメカニズムを容認するものの、詳細はCMAの協議を待つものである。パリ決定は、CMAが下記原則に留意して新しいメカニズムを構築することとしている。

  • 各参加当事国による自主的な参加
  • 気候変動改善に関連して、真の、測定可能な、長期的利益となるものであること
  • 対象となるアクティビティを特定すること
  • 追加的な排出量の削減となること
  • 指定機関による削減に関する検証・証明
  • 現存するメカニズムとアプローチから得た知見と経験

 5.気候変動ファイナンス

 気候変動ファイナンスについては、COP21以前から先進国と途上国間の対立が激しい分野であり、パリ協定はこの参加各国の様々な交渉ポジションを反映したものとなった。すなわち、パリ協定最終案は、先進国に対しては「以前の努力を超える前進を見せる」ことを、途上国に対しては「自主的に」資金援助を行うことを求めるものとなった。

 現実的には、ダーバンで気候変動枠組条約締約国が約束した、年間1,000億ドルの資金援助の約束が2025年まで継続することを意味する。また、パリ決定は2025年以降、年間1,000億ドルの資金援助という最低基準を規定する。しかし、後述するように、法的拘束力のあるパリ協定自体は、何ら新しいあるいは特定の数値を含むものではなく(この結果は、主に米国において、明確な数値目標を規定する場合に必要となる上院での批准手続きを避けるためと理解されている)、この結果は、「金額」と「資金の出し手」という大きな二つの論争を反映したものといえる。とはいうものの、気候変動ファイナンスに関するコミットメントを確実にするためのメカニズムとして、5年ごとの実績評価において行う資金援助約束額の報告に加え、先進諸国は2年ごとに将来的な資金援助可能額について開示を要求される。

 6.損失と損害(Loss and Damage)の概念

 途上国各国にとって重要な論点は、これまでの先進国の経済活動により途上国が被った気候変動による損失と損害に対する先進諸国の責任問題であり、パリにおいても重要な課題として認識されていた。先進諸国は責任の範囲が明確にならない限り損失と損害の概念を入れることに反対し、途上諸国は、気候変動により生じた結果に対処するためのプロセスを導入することを主張した。

 両者の妥協点として、パリ決定において、損失と損害の概念の導入により法的責任または損害賠償請求権をもたらすものではない、との明確な規定を入れることを条件に、パリ協定第8条において、損失と損害の概念が言及されることとなった。特に、損失と損害に関する議論は、2013年締約国会議において合意された「損害に関するワルシャワ国際メカニズム」に基づき議論されるべきとする。具体的には、CMAがこの損失と損害に関するプロセスを取り仕切り、早期警告システム、緊急時準備態勢等に関し協力するものとされている。

 7.技術移転と知的財産権保護

 気候変動枠組条約とパリ協定の目的を達成するためには、究極的には、現存する又は今後開発される低炭素技術を迅速に世界に広めることが肝要である。この展開において挑戦となるのは、知的財産権を尊重すべきとの要請と、知的財産保護の法的フレームワークが存在しない国々への技術移転の展開の必要性とのバランスをどのようにとるかである。パリ協定は、この点を解決するものではないが、キャパシティ・ビルディングとともに技術移転を推進するために当事者各国がどのように対処すべきかの指針を示すものとなった。

 8.効力発生

 パリ協定は、2016年4月22日から2017年4月21日までが署名期間とされ、全世界における温室効果ガス排出量の少なくとも55%を排出する少なくとも55以上の国が署名した後30日後に発効することとされている。よって、最も早い発効時期は、2016年5月末と考えられるが、その場合も温室効果ガス排出量削減義務の開始は2020年であることに留意が必要である。

 9.パリ協定の法的位置づけ

 パリ協定が発効した場合、パリ協定は、条約法に関するウィーン条約のもと条約として取り扱われることとなる。すなわち、署名各国は、その内容に法的に拘束されることとなる。
この点に関しては、パリ協定には法的拘束力がない、とする発言も多くみられ混乱が生じている。この混乱の原因は、気温上昇2度未満を達成するための実質的な計画であるNDC(約束草案)がパリ協定を構成する一部分でないことにある(NDCはUNFCCCに提出される)と考えられる。実際、パリ協定の中で、参加各国に何らかの行動を義務付ける条項は、公開登録簿に記載するNDCを5年ごとに開示すること、先進各国による途上国支援のための気候変動ファイナンスの提供及び2年ごとの当該ファイナンスの状況報告の義務付けのみである。言い換えると、これらの手続き的ポイント以外には明確な法的義務は存在しない。

 よって、参加各国が仮に排出量削減目標を達成できなかったとしても、5年ごとにNDCを提出し、その他の手続き的義務を順守する限り、罰則等が課されることはない。とはいってもこれは、パリ協定が参加各国に対して法的拘束力を持たないことを意味するのではなく、パリ協定の持つ法的拘束力の実効性をどのように捉えるかにつき様々な解釈がある可能性を示唆するに過ぎない。この意味で、パリ協定の価値は、市民組織に、参加各国に対し、そのNDCに関する説明責任を求めることを可能とする根拠を与えたことにあるとも言われる。

 10.パリ協定発効までの国際的コミットメント

 パリ協定が発効する2020年までの間においても、参加各国は引き続き気候変動に対処する義務を負う。京都議定書締約国は、2012年に議定書の修正に合意し(ドーハ修正)、2012年から2020年までの第2約束期間において批准した参加先進国を拘束する。ドーハ修正はまだ発効していないものの、発効は時間の問題であり、参加各国は京都議定書のもと開発されたメカニズムを現在も利用している。たとえば、CDMは現時点でも利用可能であるし、ポスト京都CER(Certified Emission Reductions、認証排出削減量)を購入する当事者も多く存在する。

拡大パリ協定発効から目標達成に至るスケジュール

 また、コペンハーゲン協定において、多くの先進国及び途上国が2010年から2020年までの間に排出量削減に向けて自主的取組みを実施することを約束し、COP10決定に盛り込まれた。これらの排出量削減目標を達成するために、多くの国が新しい市場ベースのメカニズムの利用を検討している。これらのメカニズムは、パリ協定発効後のITMOsを後押しするものになるであろう。

 11.国家的・サブ国家的取組、市民社会の参画

パリ協定は、温室効果ガス削減に向けてのグローバルフレームワークを設定したものの、既に国家レベルまたはサブ国家レベルで起きている取り組みを阻害するものでないことは当然である。実際、国家レベルまたはサブ国家レベルでの活動は、各国がどのようにNDCにおける目標を達成するかにおいて重要な役割を果たしている。例えば、世界銀行による「炭素市場の現状と傾向2015」によると、炭素価格スキームは2012年に比べ倍増しており、40か国、23都市が何等かの炭素価格スキームを持つとする。

 12.注目すべき分野

 (1)Carbon Market(カーボン・マーケット)

 パリ協定は、国内、地域、国際的レベルにおいて、カーボンマーケットを促進するために必要とされるポリシーのインフラを整備したといえる。各国は、そのNDC(約束草案)達成のためにカーボンマーケットを利用することができ、国内カーボンマーケットをサポートすることになる。また、各国が共同してNDCを作成し、地域が共同でカーボンマーケットを設立するフレームワークを創設することもできる。

 このようなハイレベルのフレームワークは設定されたものの、詳細はCMAにより決定される予定である。その意味でまだ未解決のカーボンマーケットに関する重要課題は下記のとおりである。

  • CDMと既に産出されたCERがこのメカニズムとどのように関連するのか。CERがパリ協定のフレームワークで利用可能か否か明らかでない。
  • トレーディングメカニズムで利用できるプロジェクトとプログラムの性質
  • ITMOsがどのような排出量緩和形態を考えるのか。そこで検討される結果形態は他の国と協力的に利用可能なのか。
  • 新メカニズムは、必ずしも途上国において実施されることを要求していないが、先進国が信用取引に基づくプロジェクトを行うことを容認するのか。

 (2)化石燃料

 温室効果ガスの主要な排出源が主に化石燃料に依存する工業またはエネルギー部門であることを考えると、その活動に伴う排出量削減手段を実現しない限り、化石燃料の将来的な利用または開発が縮小することは免れない。化石燃料由来エネルギー資源関連企業にとって重要な点は、いかに排出量の少ない資源に多様化するかということであろう。但し、パリ締約国会議は、化石燃料への依存を減らすことを警告したものの、ゼロ・エミッションを要求するのでなく、2050年以降可及的速やかにネット・ゼロ・エミッションの達成を要求するものであることは留意すべきである。

 なお、2016年2月9日、環境省は、それまで反対してきた石炭火力発電所建設を、経済産業省と電力会社が排出量削減策を強化することを確認する条件付きで容認する姿勢に転じた。一方、経産省は、2015年6月、次世代火力発電の早期実現に向けた協議会を設置・開催し、石炭火力の温室効果ガス排出削減に向け、火力発電の高効率化など次世代の火力発電技術の早期確立・実用化を目指している。具体的には、電力会社に対しては、発電効率が省エネ法の基準を満たさない設備は建設を認めないようにし、発電効率の高い設備への切り替えを進める方針である。また、小売り電力事業者に対しては、販売する電力のうち再生可能エネルギーなど化石燃料ではない電源の割合が一定以上になるよう定めるほか、温室効果ガスの排出量を開示するよう求める方針である。

 (3)再生可能エネルギー

 パリ協定は明示的に再生可能エネルギーに言及してはいないものの、再生可能エネルギーは引き続き国際的に支持を受ける主要な排出量削減手段である。そして、80%のNDCが再生可能エネルギーの供給増加を計画する。

 13.最後に

 パリ協定を単体で考えた場合、気温上昇を2度未満に抑えるという目標達成のため、各国に経済形態の変化を求め、気候変動に適応するための計画の作成と説明責任を求めるというフレームワークを創設したという意味で、重要な協定である。パリ締約国会議(COP21)もまた、温室効果ガス排出量削減という共通目標に向けて民間、市民組織、政府といった多様な当事者・レベルでの協力が既に広く行われていることを広く知らしめる貴重な機会となったことは間違いない。パリ締結国会議では、経済社会に対し、政府・投資家・消費者といった多様な当事者が温室効果ガス排出産業に対し徐々に寛容さを失いつつあるとの明確なシグナルを発したといえる。

 とはいうものの、重要な点に関するポリシーの合意が未完であることも事実である。特に、市場メカニズム及び損失と損害に関するアプローチを含む重要課題については、締約国会議及びCMAによる詰めの協議が不可欠であり、その行方が注目される。

板橋 加奈(いたばし・かな)

 弁護士。ベーカー&マッケンジー法律事務所東京オフィスで、環境グループリーダーを務め、コーポレートM&A、労働グループに所属するパートナー。東京大学卒業、ジョージタウン大学ロースクール(LL.M.)卒業。
 国内・クロスボーダーM&A案件を中心として、プライベート・エクイティ投資案件、国内大手ファンドによる各種MBO案件、各種組織再編等に関わる案件を取扱う。また、M&A案件及び組織再編に伴い問題となることの多い、労働問題・環境問題を始めとして、労働法・環境法コンプライアンスの側面からの各種アドバイス等を手がける。
 著作に『汚染リスク不動産取引の法務・会計・税務』(共編者、中央経済社、2012年)、『業務フロー図から読み解く ビジネス環境法』(共著、「第2部 ビジネス環境法法規集」、レクシスネクシス・ジャパン、2012年)などがある。

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