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調査・検証

検証・ロッキード事件

米政府は田中角栄をどう見たか「腐敗のオーラをまとったウソつき」

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 日本の総理大臣だった田中角栄について、米政府は、「腐敗のオーラ」をまとった「信じられないウソつき」であると評価し、「何でもかんでも秘密を漏らす」と嫌っていた。米政府にとって、田中は、長期的視点に立った戦略的な抽象論を避けて、短期的で戦術的な具体論を好む無教養な虚飾の人物であり、コミュニケーションしづらい交渉相手であるとみなされた。そして、田中政権は「予期せぬ結末」を迎える可能性があると分析された。国務長官となったヘンリー・キッシンジャーは閣議で、日本を「蟻塚」、田中を「蟻」になぞらえて、田中を相手に交渉することの無意味さを大統領に説明した。田中は、その政策によって米政府に敵視されたというよりも、その誠実さを疑われ、疑惑の一端を見透かされて、「成り金」ぶりを軽蔑され、軽く扱われた――。

 そんな事実が、秘密指定を解除された米政府の内部文書の数々に浮かび上がる。

 米国の大手航空機メーカーから総理大臣・田中角栄ら日本の政治家に裏金が渡ったとされるロッキード事件。この連載『秘密解除・ロッキード事件』では新たな資料をもとに新たな視点からこの事件を見直していく。この第4部では、アメリカ政府が田中角栄をどう見ていたのか、田中に対する米政府の見方・評価に焦点をあてる。

  ▽筆者:奥山俊宏

  ▽敬称は略しました。

  ▽この記事は岩波書店の月刊誌『世界』2011年4月号に掲載された原稿に加筆したものです。

  ▽この連載の第1部:   ホワイトハウスに届いたメッセージ「MOMIKESU」

  ▽この連載の第2部:   「ハイレベルの米政府の圧力」で圧力

  ▽この連載の第3部:   CIAから「日本の政党」への資金提供で日米が口裏合わせ

   

 ■「ほのかな腐敗のオーラ」

 汚職への懸念は早くから米政府に伝わっていた。

 「契約業者とのつながりに由来するほのかな腐敗のオーラ(a faint aura of corruption)」

 田中が日本の総理大臣に就任するより1年余り前、米国の駐日大使館は本国への報告の中で田中の弱点の一つをそん

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奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 朝日新聞編集委員。
 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部などを経て特別報道部。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。
 著書に『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)。共著に『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)など。
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