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事件記者の目

特ダネ記者が今語る特捜検察「栄光」の裏側

ネズミを捕らない猫になってしまったのか特捜検察

(1)猪瀬直樹・前東京都知事と徳洲会の事件の処理

村山 治(むらやま・おさむ)

 ロッキード事件、リクルート事件など戦後日本を画する大事件を摘発し、「検察のレジェンド」と呼ばれた吉永祐介元検事総長が亡くなって1年が経つ。それを機に、吉永さんを長く取材してきた元NHK記者の小俣一平さん(62)と元朝日新聞記者の松本正さん(68)に、吉永さんと特捜検察、さらに検察報道の今と昔、それらの裏の裏を語ってもらった。記者たちにとって最も重要な取材先でありながらも最も取材しにくい検事といわれた吉永さんが、小俣さんだからこそ、松本さんだからこそ、その2人の記者にだけ語ったであろう生の言葉は、今となっては、その一つひとつが貴重な記録である。同時に、2人の証言は、特捜検察が最も輝いた時代に、沈滞する今の検察が抱える問題の萌芽があったことも明らかにするであろう。連載を通じ、検察が抱える問題が一層、明確になり、検察再構築への道筋が見えてくることを期待する。

 

 ●がっかりした徳洲会事件での政界捜査不発

拡大朝日新聞、毎日新聞、NHKでかつて「検察のレジェンド」を取材した記者たちが集まり、特捜検察とその報道、それらの裏の裏を今だから語り尽くす。左から小俣一平(NHKから東京都市大学)、村山治(毎日新聞から朝日新聞)、松本正(朝日新聞から中央大学)の各氏。東京・霞が関の検察庁舎前で。
 村山:吉永祐介さんが亡くなって1年がたちます。この機会に、戦後の検察に大きな足跡を残した吉永さんを偲ぶとともに、低迷している検察と、検察報道について話し合いたいと思います。

 初回は、まだ記憶に新しい、直近の特捜事件である「徳洲会事件」についてご意見を伺いたいと思います。

 まず、事件の概要を簡単に説明します。

 日本最大の医療法人グループ、徳洲会は、2012年秋に経営権をめぐる内紛が起き、創業家にクビを切られた前事務総長の能宗克行さんが特捜部にグループの不正経理を告発しました。それが、捜査のきっかけでした。

 徳洲会グループは、医療で上げた利益の中から、創業者の徳田虎雄さんが代表を務める政党「自由連合」に巨額の

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村山 治(むらやま・おさむ)

 徳島県出身。1973年早稲田大学政経学部卒業後、毎日新聞社入社。大阪、東京社会部を経て91年、朝日新聞社入社。金丸脱税事件(93年)、ゼネコン事件(93,94年)、大蔵汚職事件(98年)、日本歯科医師連盟の政治献金事件(2004年)などバブル崩壊以降の政界事件、大型経済事件の報道にかかわった。
 著書に「特捜検察vs.金融権力」(朝日新聞社)、「市場検察」(文藝春秋)、「小沢一郎vs.特捜検察、20年戦争」(朝日新聞出版)、「検察: 破綻した捜査モデル」(新潮新書) 。共著に「ルポ 内部告発」(朝日新書)。

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