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事件記者の目

特ダネ記者が今語る特捜検察「栄光」の裏側

法相が指揮権を発動するのは「悪」なのか

(3)昭電疑獄、造船疑獄から小沢事件、尖閣沖衝突まで

村山 治(むらやま・おさむ)

 ロッキード事件、リクルート事件など戦後日本を画する大事件を摘発し、「検察のレジェンド」と呼ばれた吉永祐介元検事総長が亡くなって1年が経つ。それを機に、吉永さんを長く取材してきた元NHK記者の小俣一平さん(62)と元朝日新聞記者の松本正さん(68)に、吉永さんと特捜検察、さらに検察報道の今と昔、それらの裏の裏を語ってもらった。猪瀬直樹・前東京都知事の5千万円受け取り史上最悪の検察不祥事を明るみに出した調査報道から一転、話は、政治による検察コントロール、「指揮権発動」をめぐる議論に進んだ。

 ●昭電疑獄摘発で「庶民の味方」となった検察

拡大朝日新聞、毎日新聞、NHKでかつて「検察のレジェンド」を取材した記者たちが集まり、特捜検察とその報道、それらの裏の裏を今だから語り尽くす。左から松本正(朝日新聞から中央大学)、小俣一平(NHKから東京都市大学)、村山治(毎日新聞から朝日新聞)の各氏。東京・霞が関の検察庁舎前で。
 村山:この国で検察が産声を上げてから約140年。戦後の民主検察になってから70年がたとうとしています。検察は市民の身体・財産を制限する強力な権限を与えられたむき出しの国家権力であり、かつ、選挙の洗礼を受けていない官僚権力でもあります。
 陳腐な表現ですが、批判されない権力は腐る、といわれます。検察は、適切にチェックを受けてきたといえるでしょうか。
 検察に対する制度上の最大のチェック役は裁判所です。しかし、刑事裁判の有罪率99%が示すように、実態は、検察の起訴を追認する機関化し、全体としてチェック機能を果たしてきたとはいえませんでした。
 一方、検察が独自に摘発した政財界の事件では、裁判所は、戦後間もないころには、職務権限がないなどの理由で結構、無罪判決を言い渡していました。しかし、こちらの方も、ロッキード事件以降、つい最近まで、概ね、検察が作成した被告、参考人の供述調書を証拠採用し、検察に軍配を上げ続けてきました。
 それが、検察を「史上最強の捜査機関」たりえさせてきた大きな要因でした。

 小俣:検察は政府(法務省)の特別の機関ですから、制度上は、国民に選ばれた政治の側(法務大臣)が、検察の捜査・公判について、検察トップの検事総長を指揮できることになっている、いわゆる検察庁法14条ですね。しかし、

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村山 治(むらやま・おさむ)

 徳島県出身。1973年早稲田大学政経学部卒業後、毎日新聞社入社。大阪、東京社会部を経て91年、朝日新聞社入社。金丸脱税事件(93年)、ゼネコン事件(93,94年)、大蔵汚職事件(98年)、日本歯科医師連盟の政治献金事件(2004年)などバブル崩壊以降の政界事件、大型経済事件の報道にかかわった。
 著書に「特捜検察vs.金融権力」(朝日新聞社)、「市場検察」(文藝春秋)、「小沢一郎vs.特捜検察、20年戦争」(朝日新聞出版)、「検察: 破綻した捜査モデル」(新潮新書) 。共著に「ルポ 内部告発」(朝日新書)、「田中角栄を逮捕した男 吉永祐介と 特捜検察『栄光』の裏側」(朝日新聞出版)。

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