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事件記者の目

事件記者の目

検事総長歴代5人が不祥事で叙勲を辞退、笠間氏で復活

村山 治(むらやま・おさむ)

検事総長の叙勲

 元検事総長の笠間治雄氏が5月8日に瑞宝大綬章を受章することになった。検察はこの10数年で2度の大きな不祥事を起こしており、その責任をとって歴代の検事総長の叙勲辞退が相次いできた。検事総長経験者が生前に叙勲を受けるのは2007年5月の北島敬介氏以来11年ぶりのことになる。

 ●勲章とは

拡大元検事総長の笠間治雄さん=2013年12月26日
 内閣府のウェブサイトによると、日本の勲章制度は、明治8(1875)年に創設され、140年余に及ぶ歴史を持つ。戦後、勲章その他栄典の授与は、憲法で内閣の助言と承認によって行われる天皇の国事行為と位置づけられ、国家・公共に対して功労のあった国民らに幅広く授与されてきた。

 勲章には、顕著な功績を挙げた人に授けられる旭日章と長年公務に従事し成績を挙げた公務員に授けられる瑞宝章がある。受章者は、各省庁が内閣総理大臣に推薦し、内閣府賞勲局の審査を経て閣議で決定される。元公務員は70歳を過ぎると対象になり、反則金に処せられる交通違反や罪を犯した人は対象外となる。

 勲章は、総理大臣や衆参の議長、最高裁長官らが対象になる大勲位菊花章(頸飾、大綬章)、桐花大綬章のほか、旭日章と瑞宝章で、それぞれ大綬章、重光章、中綬章、小綬章、双光章、単光章の順にランク付けされている。

 公務員の場合、勲章のランクは、公務員の最終ポストによって決まり、歴代の検事総長は公務員のランクでは4番目にあたる瑞宝大綬章を受けてきた。検事長や大地検の検事正は5番目の瑞宝重光章を受章してきた。大綬章受章者は、宮中で天皇から勲章を手渡される。

 ●辞退の理由はいずれも検察不祥事がらみ

拡大大綬章を受章して写真撮影に応じる元検事総長の北島敬介さん(右端)ら=2007年5月8日午前11時18分、皇居前で、遠藤真梨撮影
 検察では、北島氏の受章後、北島氏の次の検事総長である原田明夫氏(2001年7月~04年6月)から、松尾邦弘氏(04年6月~06年6月)、但木敬一氏(06年6月~08年6月)、樋渡利秋氏(08年7月~10年6月)、大林宏氏(10年6月~10年12月)まで5代の検事総長が叙勲を辞退してきた。

 原田氏は、02年に大阪地検が詐欺や収賄の容疑で逮捕し、その後有罪が確定し服役した三井環・大阪高検公安部長(当時)の事件で監督責任を問われ、戦後初めて検事総長として戒告処分を受けた。

 この事件の背景には、検察の調査活動費(調活費)の乱用問題があった。三井氏はテレビに出演し、実名で調活費の乱用を内部告発しようとした直前に逮捕された。検察が捜査権力を使って三井氏の口を封じようとした、と多くの国民が受け取った。

 検察が調活費を乱用していたのは、検察関係者の間では周知の事実だったが、原田氏ら検察首脳は表向きには乱用の事実を否定していた。三井氏逮捕当時、調活費の乱用をすでにやめていた。しかし、自ら進んで過去の不正を明らかにしようとはせず、謝罪もしなかった。

拡大元大阪高検公安部長の逮捕について記者会見する原田明夫・検事総長=2002年4月22日午後、東京都千代田区で
 原田氏は「叙勲を受けた先輩検事らに今更、勲章を返せとはいえない」と周辺関係者に語っていたとされ、法務省の「勲章をもらってくれ」との要請を固辞した。

 三井事件当時、次長検事として検事総長の原田氏を支える立場だった松尾氏も「原田さんが辞退するなら自分も」と固辞した。原田氏は17年4月6日、病気で死去。遺族の希望で死後叙勲が行われ、同日付で瑞宝大綬章を授けられ、5月16日の官報に

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村山 治(むらやま・おさむ)

 徳島県出身。1973年、早稲田大学政経学部卒業後、毎日新聞社入社。大阪、東京社会部を経て91年、朝日新聞社入社。2017年11月、フリーランスに。この間、一貫して記者。
 金丸脱税事件(93年)、ゼネコン事件(93,94年)、大蔵汚職事件(98年)、日本歯科医師連盟の政治献金事件(2004年)などバブル崩壊以降の政界事件、大型経済事件の報道にかかわった。
 著書に「特捜検察vs.金融権力」(朝日新聞社)、「市場検察」(文藝春秋)、「小沢一郎vs.特捜検察、20年戦争」(朝日新聞出版)、「検察: 破綻した捜査モデル」(新潮新書) 。共著に「ルポ 内部告発」(朝日新書)、「田中角栄を逮捕した男 吉永祐介と 特捜検察『栄光』の裏側」(朝日新聞出版)。

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