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西村あさひのリーガル・アウトルック

外国企業相手の米国証券訴訟を抑える? 米最高裁判決

日本への影響は?

宇野 伸太郎(うの・しんたろう)

 東京証券取引所で日本企業の株式を買った日本人が、その企業の情報開示に問題があったとして、米国の証券取引法を矛に米国の連邦裁判所で集団訴訟を起こし、巨額の賠償金をその企業に請求することはできるか。そうした提訴を抑制する判決が米国の連邦最高裁判所で言い渡された(米連邦最高裁のウェブサイトへのリンク)。日本企業にとっては、米国で提訴されるリスクが減り、朗報のようにも聞こえるが、ことは単純ではない。西村あさひ法律事務所の宇野伸太郎弁護士が米国証券訴訟のこれまでと今後を分析・考察した。(ここまでの文責はAJ編集部)

 

外国企業に対する米国証券訴訟
-Morrison判決とその影響-

西村あさひ法律事務所弁護士
Shearman & Sterling法律事務所客員弁護士
宇野 伸太郎

拡大宇野 伸太郎(うの・しんたろう)
 2002年、東京大学法学部卒業。2003年、弁護士登録(司法修習56期)。2010年、カリフォルニア大学バークレー校ロースクール修了(LL.M.)。2011年ニューヨーク州弁護士登録。現在、清水建設国際支店(シンガポール)に出向中。
 ■はじめに

 2010年6月24日、米国連邦最高裁は、米国で証券訴訟を提起できる原告の範囲について、極めて重要な判決を下した(Morrison v. National Australia Bank)。米国証券取引法による不実表示規制に基づき、米国連邦裁判所で訴えを提起できるのは、米国の証券取引所に上場している証券を売買した者、又は、米国内で証券を売買した者に限られるという内容の判決である。

 証券訴訟が盛んな米国では、外国企業に対しても多くの証券訴訟が提起されており、そのクラスアクション制度とあいまって、巨額の損害賠償が認容されたりするなど、米国証券訴訟は外国企業にとっても非常にリスクの高いものである。しかし、本判決によって、外国企業に対する米国証券訴訟について、その危険性が多少なりとも弱まることが予想される。

 以下では、外国企業に対する米国証券訴訟の概要及びMorrison判決の内容を簡潔に紹介したい。

 ■外国企業に対する証券訴訟 ―Morrison判決以前の状況―

 □米国証券取引法における不実表示規制

 米国証券訴訟では、不実表示により損害を被った

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宇野 伸太郎(うの・しんたろう)

 2002年東京大学法学部卒業、2003年弁護士登録、2010年カリフォルニア大学バークレー校ロースクール卒業(LL.M.)、2011年ニューヨーク州弁護士登録、2014年英国仲裁人協会フェロー(FCIArb)、シンガポール仲裁人協会フェロー(FSIArb)、2015年クアラルンプール仲裁センター(KLRCA)仲裁人、インドネシア仲裁委員会(BANI)仲裁人。現在西村あさひ法律事務所シンガポールオフィス共同代表・パートナー。
 著作に「米国連邦証券取引所法の域外適用- Morrison判決とADR発行企業への影響」旬刊商事法務1934号・1935号(共著、2011)、「米国クラスアクションの概要」太田洋ら編『消費者集団訴訟特例法の概要と企業の実務対応』(商事法務、2015)204頁-281頁などがある。

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