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西村あさひのリーガル・アウトルック

法律職幹部公務員の採用試験と司法試験を一元化せよ

中央省庁幹部公務員の人事のあるべき方向への元財務事務次官の提案

真砂 靖(まなご・やすし)

 中央省庁の幹部公務員人事を内閣が一元的にとりしきる改正国家公務員法が成立し、今夏に行われる最初の幹部人事に注目が集まっている。政治主導で官僚立国ニッポンを建て直す、がうたい文句の新制度だが、人材確保に汲々とし、退職後の処遇にも決め手がない日本の公務員制度が抱える問題の解決にはほど遠い。官僚の中の官僚といわれた財務省の事務次官だった真砂靖弁護士が、欧米の公務員制度を紹介し、優秀な人材確保のため、現行の司法試験と国家公務員試験(法律職)を一元化する採用試験改革を提案する。

国家公務員法等の一部を改正する法律について

西村あさひ法律事務所
弁護士 真砂 靖

 □ はじめに

拡大真砂 靖(まなご やすし)
 1954年、和歌山県田辺市生まれ。1978年、東京大学法学部卒業、大蔵省入省。2013年、財務省退職。この間、山口県防府税務署長、在スペイン日本国大使館参事官、官房長、主計局長、財務事務次官などを歴任。2014年2月から弁護士(第一東京弁護士会)。
 国家公務員法等の一部を改正する法律が4月11日に成立した。その中味は、国の省庁の幹部職員人事の一元管理である。すなわち、まず、事務次官・局長・部長・審議官クラスの幹部職(約600ポスト)への候補者名簿が作成される(国家公務員法第61条の2第2項)。任命権者が各省大臣である点に変更はないので、各省大臣はあらかじめ内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議した上で、当該協議に基づいて、任命を行なう(同法第61条の4第1項)。一元管理の事務を行なうため内閣官房に内閣人事局を置く(内閣法第21条第1項)。内閣人事局長は内閣官房副長官の中から充てる(同第4項)。以上である。

 「政治主導を強化し」「縦割り行政の弊害を排除するため」(平成20年6月6日国家公務員制度改革基本法第5条)の幹部人事管理システムが構築されたことになる。本稿では、国家公務員制度全体の中で、なにゆえ、政と官の接点である幹部人事管理という局所的改正に終始するのか、これまでの経緯から振りかえってみたい。その後、主要国の公務員制度の比較等を踏まえ、今後の議論の出発点として、一つの提案を行なってみたい。

 □ これまでの経緯

 公務員制度改革については、平成9年行政改革会議最終報告をはじめ連年に亘り改革の方向性について議論がされてきたが、今回の改正に直接むすびつくのは、第1次安倍内閣渡辺喜美担当大臣の下で行われた閣議決定「公務員制度改革について」である。この閣議決定を受けて、平成19年6月には、新たな人事評価制度の導入と各府省による再就職あっせん禁止・官民人材交流センターへの一元化を柱とする「国家公務員法等の一部改正法(いわゆる19年法)」が、また、平成20年6月には、「政治主導の強化」「縦割り行政の弊害の排除」をうたい上げた「国家公務員制度改革基本法」が成立した。

 官僚排除の傾向が鮮明であった民主党政権と自公政権との間に断絶があったように思われている読者も多いかもしれないが、こと、この国家公務員法改正に関しては、唯一労働基本権の問題を除いては、両政権を通じ、極めて一貫しており、上記基本法に基づき、内閣による幹部人事の一元管理について、政府は3度(自公政権1回、民主党政権2回)、法案を提出したものの、いずれも廃棄となっている。

 国家公務員制度のその他の問題、例えば、公務員の質の問題については、上記基本法において、「多様かつ優秀な人材を登用するため」「政策の企画立案に係る高い能力を有するかどうか重視して(試験を)行う」とされている。優秀な人材が公務員試験に殺到する状態であればどのような試験で選別するかは極めて重要であるが、そうでないなら、試験の改良は無力である。基本法には、「優秀な人材の国の行政機関への確保を図るため、職員の初任給の引上げ、職員の能力及び実績に応じた処遇の徹底を目的とした給与及び退職手当の見直しその他の措置を講ずること」(10条第2号)とあるが、優秀な人材確保のための処遇の見直しというテーマは、国民に不人気故か、その後、その具体案が提示されることはなかった。筆者は、公務員時代、国会議員から、小選挙区選挙下における国会議員の大変さ(地元密着、浮沈のはげしさ等々)をよく耳にした。筆者自身もうがちすぎだとは思うが、そうした国会議員に比べれば国家公務員はまだましと映ったのかもしれない。それは、筋違いの話で、その場合、問題とされるべきは国会議員の待遇の問題なのである。

 □ 諸外国の公務員制度比較

 以下、1.幹部候補生の採用制度、2.人事管理、3.幹部人事・政治任用、4.退職管理の4つの視点から、アメリカ、イギリス、ドイツ及びフランスの公務員制度を簡単に紹介した上で、我が国制度との比較を行ってみたい。

 1. 幹部候補生の採用制度

 アメリカ、イギリス、ドイツ及びフランスでは、それぞれ違いはあるものの、いずれも幹部候補生の採用制度を有しており、幹部候補生は他職員より早く、概ね数年以内に課長補佐級以上に昇進することとされている。

 アメリカでは、「大統領研修員プログラム」により、幹部候補生を採用・育成している。本プログラムへの応募対象者は大学院修了者で学長の推薦を受けた者であり、人事管理庁が試験(書類選考、多肢選択式試験等)により最終候補者を選抜する。採用を予定している省庁は、人事管理庁が選抜した最終候補者の中から、就職説明会での面接などを通じて採用を決定する。このプログラムにより採用された者は、2年間の実務研修後、課長補佐級の官職につくことができる。

 イギリスでは、「大卒ファーストストリーム試験」により、幹部候補生を採用している。本試験は、一定以上の成績を修めた大卒者が対象であり、筆記試験、集団討論、個別面接等により合格者を決定する。試験の合格者は、最終的に各省の面接を経て採用される。採用後は、各省が人事配置等を行い、採用後4~5年は幹部候補生として必要な能力・知識等を身に着けるべく様々な経験を積み、他職員に比べ早く課長補佐級に昇進する。

 ドイツにおける官吏の採用・昇進は、ラウフバーン制度の下で行われている。ラウフバーンとは、「平均以上の昇進の道筋」を意味する。ラウフバーンは同じ専門を必要とする官職の集団であり、学歴等の必要条件に応じて、垂直方向に高級職(大学卒)、上級職(大学入学資格)、中級職(実科学校卒)、単純業務職(基幹学校卒)の4階層のラウフバーン群に分かれ、さらに、専門分野によって水平方向に区分されており、ラウフバーンごとに採用試験が行われる。幹部候補生は、高級職ラウフバーン試験により採用される。高級職試験(法律専攻)は司法試験を兼ねており、法律専攻者については、大学を卒業し、準備勤務(司法・行政修習)を終えた後に受ける法曹資格試験の第2次国家試験が高級職ラウフバーン試験に該当する。採用後は、3年以上の見習勤務を経た後、課長補佐級として任官される。

 フランスでは「コール」と呼ばれる機能的職員群ごとに採用試験、人事管理が行われる。事務系の幹部候補生は、国立行政学院(ENA)の卒業生を柱としており、ENA卒業生はすべて特定の上位のコールに入る。ENAにおける2年3か月の教育課程を修了した後、卒業生は、卒業試験時の成績順にコールを選ぶことができ、上位20%程度がグラン・コールと称される「財務監察官(財務省)」、「国務院」、「会計検査院」に入る。ENA卒業生は、ENAでの研修期間が見習期間とみなされ、採用時より課長補佐級として任官される。

 2. 人事管理

 上記4か国の職業公務員は、いずれも基本的に省庁別に人事管理が行われ、業績主義に基づき、採用時の省内で幹部まで昇進していく。

 アメリカでは、後述する政治任用職を除き、各行政機関の長が任命権者として各省ごとに人事管理を行うこととされている。昇進は、上位の空席ポストへの応募による方法と勤務成績等を通じて昇進する方法の2つがある。日本におけるアメリカの公務員のイメージとは異なるかもしれないが、非政治任用の上級管理職については、平均52.4歳、在職25.2年(2004年度)となっており、幹部の職業公務員は公務における勤務経験が長い。

 イギリスにおける上級公務員の人事管理は、各省共通の「国家公務員管理規範」に基づき、所属省、エージェンシーが行う。昇進は、上位の空席ポストへの応募による方法によって行われる。

 ドイツでは、上述のラウフバーン制度を踏まえ、各省ごとに人事管理が行われる。同一ラウフバーン内の昇格は、上位の空席ポストへの応募(原則、部内公募)により行われ、専門的業績や能力等に基づき選考される。上位のラウフバーンへの乗換えを伴う昇任には、当該ラウフバーン試験への合格等が必要となるが、極めて少ないのが実態となっている。

 フランスでは、上述の「コール」が人事管理の基本単位となっており、その中で昇進しキャリアを重ねていく。コール内での昇進は、各省の長が勤務評定等を参考にして作成する昇進候補者名簿からの選考等による。

 3. 幹部人事・政治任用

 政治任用職の規模、あり方については、各国の政治体制、歴史的経緯により、大きく異なっている。

 アメリカでは、高級管理職(各省局長級以上)は、上院の承認に基づいて大統領が任命する政治任用であり、政権交代とともに異動する(「回転ドア」)。一方、上級管理職(各省部課長級)については、公務における経験と政府としての継続性を担保する観点から、原則として職業公務員が就くこととされており、政治任用は政府全体で10%以内を超えてはならないこととされている。

 イギリスでは、事務次官以下は職業公務員が務め、専門性と政治的中立性に基づいて時々の政権を忠実に補佐する役割に立つ。また、首相や大臣が政治的な助言を得るための政治任用の仕組として、特別顧問の制度があるが、特別顧問は職業公務員の指揮は行わないこととされている。

 ドイツでは、本省の局長級以上は「政治的官吏」として政治任用されるが、大半は職業公務員であり、高級職ラウフバーンにおいて業績主義による基準を満たす者から大臣が任用する。なお「政治的官吏」は、大臣が政権の政策方針との一致を確保する観点から、一時退職に付すことができることとされている(ただし、アメリカとは異なり、政権交代により当然に一時退職に付されるということではない)。

 フランスでは、高級職(本省の局長級等)、大臣キャビネのスタッフが政治任用の対象とされている。一方、高級職のほぼ全て、大臣キャビネの7~8割が職業公務員(ENA出身)であり、政権交代により入れ替わった後も職業公務員としての身分が保障される。

 4. 退職管理

 公務員が退職後に受け取る退職給付(年金、退職一時金)の退職前の最終年収に対する割合を示す最終給与代替率をみると、アメリカ、イギリス、ドイツ及びフランスは約6~7割という比較的高い水準となっている(我が国の公務員の場合は、幹部職員級で3割台、一般職員で4割台と低い現状にある)。

 5. まとめ(我が国との比較)

 (1) 幹部候補生の採用制度

 我が国の国家公務員は、採用試験時に総合職(旧Ⅰ種)、一般職大卒(旧Ⅱ種)、一般職高卒等(旧Ⅲ種)の職位に分かれており、各職位で昇進スピードが異なる。幹部候補生である総合職事務系採用者は年間300人程度と、国家公務員全体の採用者数の約5%程度であり、エリート性が高い。初任官職は係員だが、3年程度で係長、数年~10年弱で課長補佐級に昇進する。

 このような我が国の制度は、ドイツに類似していると言われるが、ドイツの高級職試験(法律専攻)が上述のとおり司法試験を兼ねていることはあまり知られていない。当該試験の合格者は裁判官、弁護士、そして高級職官吏になることができる。ここでは、後述する私の提案の参考として、当該試験について少し詳細に紹介したい。

 ドイツの高級職官吏の大半は、法曹資格者が占めている(連邦内務省職員では約9割)。4~5年間の大学における法学専門教育終了後、第1次国家試験を受験し、これに合格した者が2年以上各州において法律・行政について準備勤務(司法・行政修習)を行う。準備勤務の終了時に行われる第2次国家試験が、法曹資格試験であると同時に高級職ラウフバーン試験を兼ねている。合格者は法曹になることもできるが、公務を志望する場合には、行政庁の募集に応募し、選抜されれば見習官吏に採用される。例えば、連邦内務省では、毎年10人程度の募集に対し、1,000人以上の法曹資格者からの応募があり、書類選考(国家試験の成績等)、討論、発表、ロールプレイ、語学試験、面接等により、行政官として求められる資質を評価し選抜を行っている。

 (2) 人事管理

 我が国も、ここで挙げた諸外国と同様、各省大臣が任命権者となり、省庁別の人事管理を行っている。また、平成24年度より経験者採用試験が正式導入(平成18年度より「経験者採用システム」として先行実施)され、我が国の国家公務員にも中途採用の途が開かれた。昇進その他の異動について、ドイツ、フランスは省内に限った公募や選考等によるため中途採用は少ない一方、アメリカやイギリスでは省内外公募により異動を行うため一定数の中途採用者が存在する。一方、アメリカの省内外公募でさえ、実態としては内部昇進を優先しているケースが少なくなく、上述のとおり、幹部の職業公務員の在職年数は長い。

 (3) 幹部人事・政治任用

 非職業公務員の政治任用(アメリカ)は、労働市場の流動性がその前提である。その前提がない政治任用は縁故採用、情実任用に堕する。この点は政治史上例に事欠かない。諸外国の公務員制度は各国固有の歴史や文化の中で構築されてきたものであり、それぞれ異なる点を持つが、いずれの国も、情実任用の弊害を如何に排し、政治的に中立なメリトクラシー(業績主義)に基づく仕組を如何に構築するかといった点について試行錯誤を繰り返してきた歴史を有する点を忘れてはならない。

 (4) 退職管理

 退職後の生活を見ると、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスでは再就職はあまり見られないが、これは上述のとおり充分な年金保障がなされている点が一つの背景と考えられる。一方、我が国は、最終給与代替率が諸外国の半分程度と低い現状にあるが、再就職については如何なる公的なあっせんも禁止されるなど抑制的である。諸外国と比べ、退職給付と再就職規制の考え方に整合性がなく、このような制度が永続するとは思われない。公務員の持つ高い志にいつまで頼っていられるか、公務員がいつまで清廉潔白でいられるか、自信がもてないのは筆者だけであろうか。

 □ 一つの提案

 国家にとって、ベストの官僚組織を持つためには、常に公務員制度についてトータルに検討を行い、改革を進めていく必要がある。

  1. 幹部候補生の採用制度
     どのレベルの学生に公務員になってもらうか。そのためには、公務員の魅力(処遇も含め)をどう訴えていくか。どのような試験で選抜するか。
  2. 人事管理
     選択肢提示能力、政策立案能力、構想力等を高めるために、どのようにして専門性を高め、視野を広げるか。研修をどうするか。どのように切磋琢磨させるか。霞が関内外(民間も含め)の人事交流をどうするのか。
  3. 幹部人事
     幹部職員の人事管理をどうするか。職業公務員と政治職(政治任用)の関係をどう考えるか。
  4. 退職管理
     再就職を前提とした退職管理を考えるのか。そうでないなら、今の処遇をどう引上げるか。なにもしないなら、1に戻って、幹部候補生の質の低下を甘受するか。

 大きくわけると、公務員制度は以上の4つの要素からなっている。今般の改正は、冒頭から縷々述べているとおり、「3」の幹部職員の人事管理にのみ焦点をあてたものである。何度も言うが、制度はトータルに検討しなければならない。ただ、すべての論点を網羅するのは到底筆者の能力では不可能であり、以下、「1」の一部、採用試験について、一つの提案をしてみたい。

 提案とは、既に詳述したドイツの高級ラウフバーン試験に倣い、司法試験と国家公務員試験(法律職)の一元化である (注1) 。筆者の眼目は、試験に合格した行政官に弁護士になる道を拓く点にある (注2) 。公務員に満足できない場合は弁護士への転身が可能となる一方、弁護士は、希望すれば、例えば、TPP交渉の第一線に立つことができる。法律の分野で、アメリカとは異なる意味での「回転ドア」とも言える労働の流動化を進めるきっかけとなるのではないだろうか。それぞれの人生観によって、公務と民間のバランスをとることもできるし、能力によってではあるが、所得調整によって、その人にとってベストの所得総額を稼ぎ出すことも可能となるかもしれない。再就職ニーズをへらすには、縷々述べてきたように、諸外国のように最終給与代替率の引き上げが望ましいことはいうまでもないが、弁護士という道を準備することで、その分、再就職ニーズの減少が期待できるという面もあろう(もっとも、どの程度再就職へのニーズが減少するかは、個々人の能力におうところが大きいとは思うが)。また、このような卒業後の世界が準備できれば、近年人気低落傾向の法学部・法科大学院の復権にもつながるかもしれない(副次的な効果ではあるが)。

 具体的には、司法試験合格者数の適正化(例えば、2000人→1,500人)にあわせて、国家公務員試験(法律職)の採用数200人を加えた数を新試験の合格者数とする。具体案を考えるに当たって、以下の3点が重要である。①法科大学院をどうするか。②司法修習をどうするか。③一元化後の試験内容をどうするか。

 ①まず法科大学院の問題である。筆者は、公務員在職中、人事に関する事務に従事したことがある。IMFの人事担当者が来日し、面談したが、その時の発言が今も忘れられない。「日本の公務員はほぼ全員が学士(学部卒)なのは、なぜか。」「なぜこんなに低学歴なのか。」

 国家公務員(法律職)になる人間はすべて法科大学院を卒業させて、世界的に指摘されている日本の公務員の低学歴を是正したらいいと考えるがどうであろうか。国際機関への就職もやりやすくなる。そうすると、学部での教育内容の吟味が必要で、学部4年-法科大学院2年を通じて、世界に通用するタフな法律家を育てていかなければならない。家庭の経済的事情によって、国家公務員になれなくなるという批判は当然あろう。ただ、現在でも、公務員試験は、総合職・一般職大卒・一般職高卒の職位に分かれており、総合職の部分について、法律職は、法科大学院卒となるだけの話である。もちろん奨学金の充実等の対策は必要となろう。

 ②司法修習をどうするか。ドイツの高級ラウフバーン試験でみると、試験合格前2年以上の準備勤務(司法・行政)を行うことになっている。将来の行政官と司法官が同じ釜の飯を食うことの意味は大きいのかもしれない。この段階での司法修習は行わず、公務員→弁護士になる際の、現行の弁護士法5条研修のようなものでもいいのかも知れない。

 ③試験の中味をどうするか。国家公務員としての政策の企画立案能力と法曹人としての法適用運用能力をどう調和させるかという問題であるが、法科大学院等での法律の実践的研修を通じて、社会に在る問題をどう捉え、どう適切に解決していくか、その際、現行法をどう活用し、そこから次のステップとして新たな政策の企画立案、新規立法がでてくるのであるから、その調和は可能であるし、現にドイツで行われているのである。ドイツの事例の詳細な調査を含め、専門家の検討が待たれるところである。

 以上、採用試験のあり方について、一つの提案を行ったが、筆者の申し上げたい点は、公務員制度については、幹部職員の一元管理以外にも検討・改革していかなければならい点は多岐に亘り多々ある、ということである。

 □ おわりに

 ともかくも、幹部人事管理のシステムが法律上出来た。望むらくは、適切な運用である。民主国家においては、民主主義に優る正統性はなく、民主的正統性をもった政治勢力が国家の進路を決定する。官僚組織は、その

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真砂 靖(まなご・やすし)

 1954年、和歌山県田辺市生まれ。1978年、東京大学法学部卒業、大蔵省入省。2013年、財務省退職。この間、山口県防府税務署長、在スペイン日本国大使館参事官、官房長、主計局長、財務事務次官などを歴任。2014年2月から弁護士(第一東京弁護士会)。

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