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ニューズ&コメンタリー

《詳録》横峯参院議員が検察審査会の「恐喝関与」指摘を否定

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 横峯良郎参院議員(民主党)が恐喝事件に関与したと東京第四検察審査会に指摘された問題で、横峯議員が、記者の取材に応じ、指摘の内容を全面否定した。同議員は「何のために私が脅しをやる意味があるの? 何もない」と述べた。鹿児島県志布志市で育った横峯議員は、事実に反する自白調書が無理な捜査で作成されたとされる志布志事件を例に引き、「取り調べの可視化が必要だ」とも述べた。

 ▽筆者:奥山俊宏

 東京第四検察審査会は7月7日、東京都渋谷区の飲食店の経営をめぐって売上金31万円余が脅し取られたとされる事件で、東京地検が起訴猶予とした男性T氏について、「不起訴不当」「起訴相当」と議決し、21日に議決要旨を公表した。その要旨は、「国会議員のX」という表現で横峯議員に触れ、「恐喝事件を企画し、寿司屋で『もっとバンバンやれ』などと叱咤激励して指揮、監督し……」などと指摘した。

 議決要旨によると、被疑者T氏は、渋谷区の料理店「黒豚しゃぶしゃぶくろ黒亭」の経営からY氏(当時66歳)を排除し、売上金を奪い取ろうとくわだて、2009年6月13日夜、くろ黒亭の経営者であるY氏に対し、「売上金を渡してください」と要求し、もし要求に応じなければ、Y氏の身体や店の営業などに危害を加えかねない気勢を示してY氏を怖がらせ、その日と翌14日に、2日分の売上31万6562円を喝取した、とされる。

 恐喝の実行行為を行ったとされるA氏ら5人のうち2人はプロレスラーで、このうちB氏は身長183センチ、体重130キログラム。入れ墨を見せつけ、怒鳴るなどしたため、Y氏らは「やくざだ」と思い、手足が震え、冷や汗が止まらなかったという。売上金要求の際には次のような言葉もあったという。

 「明日は10人連れて来ますよ。もっと凄い奴を連れて来ますよ。今、これだけの人数がいても邪魔になるんじゃないですか。10人来たら、どうなるか分かるでしょう。どうしますか。いいんですかね」

 検察審査会の議決要旨によると、横峯議員は、T氏から相談を受け、恐喝事件を企画し、プロレスラーのB氏らの共犯者を手配した、とされている。横峯議員は、1回目の恐喝行為が失敗に終わったと報告を受けると、A氏らを寿司屋に集め、「お前らやり方が生ぬるい。もっとバンバンやれ」などと叱咤激励して指揮、監督し、T氏には逐一結果を報告した――、議決要旨にはそう記載されている。

 警察は被疑者6人を逮捕したが、東京地検は12月7日、不起訴とした。Y氏はこれを不服として、T氏について検察審査会に審査を申し立てた。その結果、この7月21日に審査の結果が「議決要旨」という形で公表され、そこに横峯氏が「国会議員のX」という表現で登場していた。

 横峯氏は取材の申し入れに応じ、8月6日午後、東京・永田町のまだ真新しい参院議員会館の事務所で記者のインタビューを受けた。

 「TさんもYさんも両方古くから知っている。内輪もめ。小さな店の営業権争い。私もずいぶん相談を受けたが、どうしようもない。2人で憎しみあっている」

横峯良郎参院議員拡大横峯良郎参院議員=6日午後、東京都千代田区永田町の参議院議員会館で

 「私が(事件を)指揮してるとか、そんなことはない。私に何のメリットがある? 私は『仲良くやって』と言った。『お金を取ってこい』とか、『あいつをぶん殴ってこい』とか、そうする意味がない。片方に借金があるとか、献金をもらっているとか、そんなことないもん」

 「私はもうかかわりたくありません。(Y氏、T氏とは)この1年間、電話一つもない。2人で民事訴訟でやるしかないでしょ。私はTさんの味方でもYさんの味方でもない。Yさんは『横峯は何もしてくれない』と怒ってると思うよ。Tさんからも一言もない」

 横峯議員は、寿司店で「もっとバンバンやれ」などと叱咤激励して恐喝をあおったという指摘を否定した。

 「銀座のなんとかいう寿司屋でメシ食ったけど、何もない。なんで私が『バンバンやれ』と言うのか。脅して私に何の利益もない。何のために私が脅しをやる意味があるの? (取り調べでそういうふうに)言わせるわけだよ。都合のいいように調書を作るから、やっぱり可視化しなきゃいけない。警察の取り調べはあまりにひどい」

 「銀座の寿司屋には30分もいなかった。密室じゃない。カウンターで『お客さん第一で、店の仕組みを勉強すればいいじゃないか』と言っただけ。YさんもBについて『身体は大きいけど、心はやさしい』と言っていた」

 横峯議員は鹿児島県出身で、志布志市で育った。その志布志では2003年、県議選の選挙違反の疑いで何人もの住民が逮捕されたが、2007年に被告12人全員の無罪が確定した。捜査の過程で自白調書が作成されたが、裁判所はその信用性を否定した。取り調べにあたった警察官の一人は、任意で事情聴取した男性に対し、男性の父や孫らの名と「お前をこんな人間に育てた覚えはない」などと書いた紙3枚を足元に置いて踏ませたとして特別公務員暴行陵虐の罪に問われ、有罪判決を受けた。その被害男性は横峯議員にとって

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奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 朝日新聞編集委員。
 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部などを経て特別報道部。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。
 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。近刊の共著書に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)。
 そのほかの著書として『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に 『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。
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