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ニューズ&コメンタリー

鈴木宗男氏、事件を語る 「私はおカネにきれいだった」

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 ロシアに支配された北方4島への人道支援への異常な関与の疑惑が8年前に問題となり、その渦中に、北海道の地元業者からワイロを受け取った容疑で逮捕・起訴された鈴木宗男氏(62)が8月24日、東京・永田町の衆議院議員会館の自室で朝日新聞記者のインタビューに応じた。鈴木氏は「私はおカネにきれいだったんです」と述べ、自身の無罪主張の正当性を強調した。インタビューの後の9月15日に、最高裁で有罪判決が確定し、鈴木氏は国会議員の職を失うことになった。以下、インタビューのうち事件に関する部分の一問一答を紹介する。


 ■4つの罪名で刑事責任を問われる

 鈴木氏は、

(1) 北海道帯広市の製材会社「やまりん」からの500万円(あっせん収賄)

(2) 北海道網走市の建設会社「島田建設」からの600万円(受託収賄)

(3) 政治資金収支報告書への虚偽記載(政治資金規正法違反)

(4) 国会の証人喚問での偽証

の4つの罪名について刑事責任を問われ、起訴されて有罪判決を受けた。


 このほかに、

(5) 秘書が、国後島の宿泊施設「友好の家」(通称ムネオハウス)の建設工事の受注業者を決める競争入札を妨害した罪に問われ、

(6) 側近の外務省職員だった佐藤優氏らが、同島のディーゼル発電施設工事の受注業者を決める競争入札を妨害した罪などに問われ、

いずれも有罪が確定したが、鈴木氏自身は、これらの事件への関与の疑惑を取りざたされながらも、起訴はされなかった。


 ■「ムネオハウス」事件

 「ムネオハウス」という呼称で有名になった宿泊施設「友好の家」は1999年10月に国後島に完成した。施主となったのは、日本政府とロシアなど旧ソ連各国が共同で設立した国際機関「支援委員会」(事務局=東京都千代田区、2003年4月18日廃止、2004年6月15日清算完了)。費用は、日本政府が「北方4島の住民への緊急人道支援」という名目で拠出した。

 問題となったのは、この施設の建設を請け負う業者を決めるために支援委員会が行った競争入札だった。1999年7月7日に札幌市内で行われ、参加したのは渡辺建設工業(北海道根室市)と犬飼工務店(北海道中標津町)の共同企業体1者だけ。同企業体は、支援委員会が決めていた予定価格を上回る金額で応札を繰り返し、入札は不調となった。その結果、支援委員会は同企業体と随意契約を結ばざるをえなくなった。実際の施工は、横浜市のエンジニアリング会社「日揮」に一括下請け(丸投げ)された。

 実は入札に先だつ6月3日午前、現地調査・設計、入札補助などコンサルタント業務を支援委員会から引き受けていた東京都千代田区のコンサルタント会社「日本工営」の担当者と日揮の営業担当者が北海道釧路市内にある鈴木氏の後援会事務所を訪れ、秘書と面会していた。その日の夕方には同じ場所で、渡辺建設工業の社長と犬飼工務店の社長が日揮の営業担当者に引き合わされた。これらの会合が2002年2月に支援委員会の内部文書の漏洩で発覚したとき、世の中の多くの人は、これらの場で、「渡辺建設工業と犬飼工務店が工事を受注し、日揮が下請負人になる旨を申し合わせ、これを確実にするため、秘密情報を漏洩し、鈴木議員の影響力を用いて他の入札参加者を排除するなどの裏工作を行い、入札業務を妨害する旨の共謀が成立した」というふうに受け止めた。のちに検察官も法廷でそういうふうに主張した。

 鈴木氏の秘書が、渡辺建設工業社長、犬飼工務店社長、日揮の営業担当者、日本工営の担当者とともに逮捕・起訴され、有罪判決を受けた。


 ■捕まるべきは外務省の職員

 ――北方領土に日本の人道支援で建設されたいわゆるムネオハウス(友好の家)、あるいは、ディーゼル発電施設、それらについて鈴木先生自身は起訴されていないというお話ですが、ただ、あそこに事件があったのは事実ではないんでしょうか? 要するにそれらの入札で談合があったのは事実では?

拡大鈴木宗男氏
 私はムネオハウスで捕まるべきは外務省だと思ってます。数字を漏らしたのも外務省です。日本工営、日揮といった業者は、外務省から言われて(鈴木事務所に)来たと、うちの秘書に言ってるんですよ。ということは外務省が漏らしてる話ですね。しかもあの実態は丸投げですよ。あってはならんことですよ。これも皆さん方が勉強不足だったんだけど、本来ならば「人道支援は地元業者が受注する」ということになってるんですよ。それを丸投げして、形だけ地元業者を使った。それが渡辺建設工業(北海道根室市)であり、犬飼工務店(北海道中標津町)だったんです。この人たち(地元業者)が元請けになってますけども,実際は日揮(横浜市)が仕事をやってるんですよ。日揮は、昔のアルジェリア大使が天下っておったりして、外務省とツーカーなんですよ。今でもそうですよ、本来この事件で捕まるべきだったのは外務省の職員であったのであって、渡辺建設とか犬飼工務店とかうちの秘書が捕まる話ではないですよ。あのとき検察は私がからんでると思ったからうちの秘書を捕まえた。うちの秘書だってかわいそうなんです。何もタッチしてないんですから。

 これはいってみれば「微罪」で、みんな執行猶予がついちゃうものだから、みんな検察にまるめられちゃうんですね。調子合わせられちゃうんです。うちの秘書だけ違うんですよ。調書が。うちの秘書は最後まで、タッチしてないから否認した。否認したら裁判所は「6対1で通りません」なんて馬鹿な話ですよ。真実よりも多数決の原理を採ってるんですから。一人でも真実を明らかにするのが法廷じゃないですか。このムネオハウスの事件はほんと腹立たしいですよ。私は外務省に怒ったんです。「丸投げしてる実態は何だ」と。

 ■ディーゼル発電施設事件

 北方領土の住民らに電気を供給するため、ディーゼル発電施設が1999年に択捉島と色丹島に、2000年に国後島にそれぞれ建設された。「ムネオハウス」と同様に、日本政府が建設資金を拠出し、支援委員会が施主となった。

 外務省国際情報局分析1課の主任分析官などを務めた佐藤優氏の著書『国家の罠』によれば、1998年11月にモスクワで日ロ首脳会談が開かれる直前、東京・赤坂の小料理屋で、内閣官房副長官だった鈴木氏との間で「三井物産を巡って少しやりとりがあり」(同書新潮文庫版250頁)、そのあと首脳会談の数日後に、新霞が関ビル地下の和食店で、同省欧亜局ロシア支援室の前島課長補佐をまじえて三井物産の飯野社員と昼食をともにした際、次のような話をしたという。

 「先日、鈴木大臣と話した際に私から『三井物産はロシアで頑張っていることはもとより、北方領土問題についても勉強しており、ディーゼル事業についても意欲的だ』という話をしたら、鈴木大臣は、『それなら三井物産に委せてもいいんじゃないか』とおっしゃっていましたよ」

 「ディーゼルはロシア支援室が主管していますから、何かありましたら前島が窓口になりますから聞いてください」

 これに対して、三井物産の飯野社員は「ありがたいことです。頑張ります」と答えたという(同書新潮文庫版252頁)。

 これは競争入札で業者が決まるより前の話であった。国際機関である支援委員会で、資金拠出元の日本政府を代表するのは外務省のロシア支援室長であり、前島氏はロシア支援室の総務班長として室長を補佐していた。つまり、前島氏は発注者側の人間であり、三井物産は受注を希望する業者の立場にあった。

 のちに裁判で認定された事実によれば、この3件の工事の受注業者を決めるための競争入札のすべてで、三井物産が主導して談合が試みられていた。3件の入札のすべてで三井物産から同業他社の兼松に応札価格が指示され、択捉と国後の入札では住友商事にも応札価格が指示されていた。丸紅を国後の入札に参加させないようにするため、三井物産は、丸紅に協力していた日揮に「三井物産が鈴木議員の理解を得ている」と圧力をかけ、さらに、参加取りやめへの見返りとして5千万円を支払うと丸紅に約束した。その結果、択捉と国後ではすべての入札参加業者の間で談合が成立。三井物産は99年2月5日の入札で色丹の工事を13億8031万円で落札。99年3月16日の入札で択捉の工事を5億6948万円で落札。2000年3月31日の入札で国後の工事を19億9227万円で落札。総計で39億4206万円の工事の元請けになるのに成功した。

 このうち、最後の国後の入札を妨害したとして、佐藤優氏と前島補佐、三井物産の飯野社員らが逮捕・起訴され、いずれも有罪判決が出ている。


 ■三井物産を薦めてきたのは外務省

 ――ディーゼル施設の入札については外務省の職員、キャリアの課長補佐と佐藤優さんが捕まってますよね。

 佐藤さんもディーゼルには関係してませんですよね。

 ――佐藤優さんの有名な著書『国家の罠』(新潮文庫、252ページ)をみると、鈴木大臣が「それなら三井物産に委してもいいんじゃないか」とおっしゃっていたというくだりがあるんですが、それは事実ですか?

 それは外務省が言ってきたのは「島です」と。「そこでしっかりした者が行かなければ、例えば、そこで女性と何かトラブルが起きたり事件になったりだとかすれば大変です」と。「労務管理が一番しっかりしてるのは三井物産です」と。「旧ソ連時代から含めて。一番そういった面で長けてるのは物産ですよ」という話を外務省が言ってきました。「そういった間違いないところを使ったほうがいいんじゃないか」という話をしました。私は「物産を使え」なんて言ってません。

 ――佐藤さんの本を見ると、「三井物産に委してもいいんじゃないか」とおっしゃったと出ている。

 外務省が言ってきた話です、それを佐藤さんが書いてるんです。私が言った話ではないと思いますよ。これは佐藤さんが飯野(三井物産社員)に情報提供したということでしょ。

 ――その前段で佐藤さんは鈴木先生とお話になったと本には出ている。

 鈴木宗男の話ではないんですよ。佐藤氏は私にそういう話をしてきた。それは「なんか(北方領土で)事件になったら困る、例えば、車を運転して交通事故起こしたら困る。婦女暴行事件でも起こしたらなお大変だ。それに一番厳しい会社は三井物産ですよ。労務管理に厳しい」。それならそれで確かな方が良いんじゃないかという話。

 ――入札に向けて三井物産を含め各業者が競争しているなかで、大臣がそうおっしゃってるという話が伝わると,ある意味「天の声」と受け止められるという心配はなかった?

 私に権限ありませんから。発注するのは支援委員会(外務省)。私の発注じゃないですから。私が外務大臣であったり、発注権限があれば、問題ですよ。そんなのは私、百も承知です。それは外務省が「そうしたい」という意向を私に持ってきているという話ですから。裏を返せば。私の意向じゃないんです、私は三井物産とは一円のつきあいも何もないですから。

 ■政治資金収支報告書に業者の寄付がずらり

 鈴木氏の政治団体の当時の政治資金収支報告書の寄付の欄には、北海道や沖縄などの建設会社の名前がずらりと並んでいる。

 その中に、北方4島支援事業の工事を受注した渡辺建設工業、犬飼工務店、島田建設などの業者が含まれていたため、世の中から疑念の目を向けられる一因となった。また、国有林の木を不正に伐採したとして問題となった製材会社「やまりん」(北海道帯広市)の関係者からの献金も政治資金収支報告書に記載されており、それについても早くから問題視されていた。

 やまりん側からの献金については、行政処分を骨抜きにするよう林野庁次長に働きかけてもらいたいと頼まれ、その報酬として受け取ったとして、鈴木氏が逮捕される最初の理由となった。島田建設とのかかわりについては、北海道開発庁長官として部下の北海道開発部港湾部長に対し、島田建設に工事を受注させるよう指示する見返りに裏で現金を受け取ったとして、鈴木氏が再逮捕される理由となった。


 ■オープンにしているからこそつつかれた

 ――鈴木先生の政治団体の収支報告書を拝見すると、その職務権限がある北海道開発庁長官、沖縄開発庁長官をしておられた当時に、受注業者から献金をたくさん受けておられます。そのうちの一つは島田建設です。そういうのはやはり、よくないのではないかと思うんですけど。

拡大鈴木宗男氏
 法律に「そういったところからもらってはいけません」と書いてあれば、もらってはいけませんね。しかし法律にはその規定はありません。

 朝日新聞さんは広告とりますね。いろんな事件起こしたところから広告代金をもらってました。それを(事件発覚後に)戻したかといったら戻してませんね。同じことじゃないですか。「結果的にこうだった」というのは私は自由主義・民主主義では成り立たないと思いますよね。

 しかも相手の善意ですから。「あなたは泥棒ですか」とか、「あなた、これ賄賂ですか」と聞いて献金もらう人いないと思いますよ。善意の浄財を出してくれるというのは、我々にとってはありがたい話ですよ。

 島田建設の社長の島田さんも言ってます。「検察に言わされた」と。

 「はじめから調書は作られている。『鈴木にカネやったと言わないと、おまえ、談合でやっつけるぞ』と検事に言われた。『談合でやったら会社つぶれる。我々の狙いは鈴木だ。おまえ、鈴木につくか、こっちにつくか』と検察に言われました。鈴木は捕まってるし、どうにもならない」

 島田さんはそう言っている。島田さんは今でも私の応援者ですよ。私が表に出てこうやって真実を言うと、みんな何が真実かって分かってるんですよ。

 私はお金にきれいだったんですよ。朝日の論評とは違うんですよ。

 私はオープンにしてるからこそ、つつかれたんですから。今の閣僚でも申告してないのが山ほどいると思いますよ。隠しているやつが良いやつで、正直に出して金額大きいから悪いやつだと受け取るのは私は公平でないと思います。

 ■国会の内外で検察批判を繰り返す

 鈴木氏は今、検察に対する敵意を隠さない。

 衆院議員に返り咲いて以降、衆院の予算委員会や決算行政監視委員会で、「検察は無理な調書を作る」と訴え、足利事件や自身の事件への対応などについて法務省を追及し、取り調べの可視化を求めてきた。

 8月4日、議員在職25年の表彰を受けた衆院本会議の議場でも、鈴木氏は次のように述べた。

 「私は、北方領土問題の解決に向け、政治生命をかけて取り組み、国益に即した活動をしてきたと自負するものです。しかし、一部の外務官僚の情報操作と、それと手を握った検察官僚によって失脚させられました」

 「取り調べの可視化に取り組んでいるのも、検察官僚の小さな出世欲のために、密室における誘導や誤導、取引が常態化している病的な現状を何としても矯正しなくてはならないと考えるからなのであります。このことが実現されない限り、我が国の民主主義が根底から崩されるという危機を、自分自身の体験を踏まえ、痛切に感じております」

 「冤罪は、あってはなりません。権力による国策捜査も、断じてあってはなりません。同僚議員の皆さん、時代のけじめをつけることは、国策捜査によって行うのではなく、国民によって選ばれた我々国会議員が、政治主導によって行うべきではないでしょうか」

 この「時代のけじめ」という言葉は、佐藤優氏の著書『国家の罠』(新潮文庫版366頁)の中に取り調べ検事の言葉として次のように出てくる。

 「これは国策捜査なんだから。あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男をつなげる事件を作るため。国策捜査は『時代のけじめ』をつけるために必要なんです。時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出して、それを断罪するのです」


 ■これは権力闘争だ

 ――検察の捜査について「国策捜査だ」と批判されておられますが、小沢一郎さんに対する捜査というのは前の自民党政権下でも行われましたし、民主党政権下でも行われましたけど、それについては?

 自民党政権下で去年の3月にあった。私は、これは検察が仕組んだ小沢つぶしだと思いますよ。

 ――鈴木先生(田中派の流れをくむ竹下派から小渕派→橋本派)に対する捜査も、清和会(福田派→安倍派→三塚派→森派→町村派)の流れをくむ小泉政権だからあった捜査とお考えですか?

 そうじゃありません。というのは、あのとき政府首脳は何を言っていたか。「鈴木は捕まっても政権には何の問題もない」だとか、「鈴木の捜査はがんがんやった方がいい」だとか、「外務省の鈴木関係のマル秘は全部出せ」だとか、そういう発言メモがありますよ。検察が喜ぶ話ですよ。

 三木武夫(ロッキード事件発覚当時の総理大臣)のとき田中さん(ロッキードから5億円を受け取ったとして逮捕・起訴された田中角栄元首相)がやられたようなもんです。それと同じで、鈴木がいなくなれば野中(橋本派に所属していた野中広務元官房長官)もアウトだと。案の定、野中さんも辞めちゃったじゃないですか。野中が辞めれば古賀(元自民党幹事長)も影響力がなくなると(当時の政府首脳は)読んだ。これは権力闘争だなという感じを持ちましたね。

 ■ロッキード事件

 故・田中角栄氏は総理大臣在職中に米国の航空機メーカー「ロッキード」から5億円を受け取ったとして、1976年7月に逮捕された。当時、総理大臣は三木武夫氏。田中氏とは派閥も政治流儀も異なる政治家だった。三木氏が首相でなければ、田中逮捕はなかったのではないかともいわれている。

 一方、鈴木氏は、田中派の主要メンバーだった政治家が田中派とたもとを分かって作った竹下派、小渕派、橋本派に所属。野中広務・官房長官の下で官房副長官を務め、野中・自民党幹事長の下で党総務局長を務め、政治力をたくわえつつあった。

 その鈴木氏が逮捕されたときの総理大臣は小泉純一郎氏。そして、鈴木氏が2002年に政界から一時的に消えた翌年、野中氏は政界引退を表明した。

 小泉氏の後任の安倍晋三氏、その後任の福田康夫氏はいずれも清和会出身者で、田中派出身の政治家が総理大臣になるのは2009年9月の鳩山由紀夫首相誕生まで待たなければならなかった。

 2009年9月16日の首班指名選挙では鈴木氏も鳩山氏に1票を投じた。その鳩山首相誕生の立役者といえる存在の一人が、田中角栄元首相の「秘蔵っ子」といわれた小沢一郎氏。小沢氏は、政権交代前の昨年3月と政権交代後の今年1月に秘書を東京地検特捜部に逮捕され、本人も引き続き捜査の対象となっている。


 ■正直に話すと「反省の情なし」

 ――いま最高裁判所にかかってますけれども、最高裁判所に対する期待はありますか?

 私の今の弁護士は弘中惇一郎さん。あるいは足利事件の佐藤博史さんがやってくれてますから。この弁護士さんたちは世間的には刑事事件では今でも最強の弁護士だと私は信頼してますから。この弁護士さんたちがしっかり上申書も出してくれてますし、これを最高裁判所が公平・公正にきちんと調べてもらえれば、読んでもらえれば、司法側としても、より国民の理解を得られる流れになる(無罪の方向になる)と思ってますね。

 一審、二審の判決で非常に腑に落ちないのは、調書主義なんですね。公判で言った証人の証言の信頼性が劣るというわけです。調書のほうが信頼性が高いというわけです。密室でさっき言ったように「さぁお前ら、談合やってるから、『鈴木にカネやった』と言わないと、とっちめてやるぞ」というプレッシャーをかけられている。正直に言ってるかというと、正直には言ってないですよ。

 それと、公判で私が正直に言ってたら、「反省の情が皆無だ」と言うんだな、これが。真に私は賄賂もらってないから「賄賂もらってない」と言ってるのですから、正直に言ったら何でそれが「反省の情が無い」のでしょうか。一審、二審の判決はそうなんです、「反省の情が皆無」という。私は正直に、腹の底から魂込めて訴えてるんですよ。

 ■当代きっての一流弁護士の努力にもかかわらず

 鈴木氏は逮捕翌年の2003年の総選挙には立候補せず、議席を失ったが、2005年に新党大地を結成して代表となり、2005年9月、2009年8月の総選挙で比例北海道ブロックから連続当選した。2009年9月18日には衆院の外務委員長に就任した。

 上告審で弁護人を務めた弘中惇一郎氏は、ロス疑惑で保険金殺人の罪に問われた三浦和義氏を弁護して逆転無罪判決を導いたことで有名な弁護士で、エイズ薬害事件でも安部英医師に一審無罪をもたらした。そして、この9月10日には、大阪地検特捜部を敵に回して、厚生労働省の雇用均等・児童家庭局の村木厚子元局長の無罪判決を勝ち取った。

 同じく上告審で弁護人を務めた佐藤博史弁護士は足利事件の弁護で知られる。いったんは有罪が確定した菅家利和氏の無実を明らかにすることに成功し、再審裁判で無罪判決を確定させた。

 このような当代きっての第一級の実績を持つ弁護人の弁護を受けたものの、鈴木氏の有罪は覆ることなく、最高裁でも維持された。


 ■国民は冷静に見ていて、応援してくれている

 私がいい加減な政治家だったらこんなカムバックなんてできないですから、はっきり言って。しかも、衆議院の外務委員長なんてできませんよ、私がいい加減な政治家だったら。

拡大鈴木宗男氏
 やはり北方領土だとか沖縄問題とか、一つのことやってきたから、この公職に就けてるのであってね。違いますか?

 刑事被告人で公職に就いてるのは私だけですよ。それは過去にきっちりしたことやってきたということを、国民が、選挙という民主主義の手続きで認めてくれた。それも1回ではなく2回も私は(選挙で国会に)入ってきてるんですから。その点、国民は冷静に見ている。私はおかげさんで今回の選挙(7月の参院選)でもいろんなところから声かかったんですよ、「応援に来てくれ」と。

 きょうも北海道で講演ですよ。きょうの講演で(今年)31カ所目になりますかね。これ政治家の応援以外ですよ。青年会議所だとか、老人会だとかというところの講演にそれだけ声がかかる。国民は分かってくれてますよ。私はやはり国民の目線というものをしっかりとらまえて

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奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 朝日新聞編集委員。
 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部などを経て特別報道部。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。
 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。近刊の共著書に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)。
 そのほかの著書として『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に 『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。
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