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ニューズ&コメンタリー
(2010/10/04)
▽筆者:奥山俊宏
▽関連資料:10月4日に公表された東京第五検察審査会の「起訴すべき」との議決要旨の全文(「法と経済のジャーナル」購読者のみ)
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議決の日付は3週間近く前の9月14日。菅直人首相と小沢氏が争った民主党代表選の当日にあたる。元厚生労働省局長が虚偽の公文書を作成した罪に問われた事件で、大阪地検特捜部が作成した関係者の供述調書の信用性が大きな問題となり、大阪地裁が元局長に無罪判決を言い渡した9月10日よりも後ではあるものの、証拠品のフロッピーディスクが同特捜部で書き換えられた問題が明るみに出た9月21日よりも前ということになる。
議決要旨がその理由を示す中でまず触れたのは、元秘書の衆院議員・石川知裕被告=政治資金規正法違反罪で起訴=とみられるBの供述だった。Bは、陸山会の2004年分の政治資金収支報告書を東京都選挙管理委員会に提出する前に、小沢氏の事務所で、用意した資料に基づいて小沢氏に報告・相談をし、小沢氏の「了解」を得た、と供述しているという。そして、その供述は、1回目の議決(4月27日)の後に行われた地検の再捜査でも維持されているという。
今回の議決要旨は「Bが被疑者(小沢氏)の関与を実際より強める方向で虚偽の供述に及ぶことや被疑者(小沢氏)を罪に陥れるための虚偽の供述をすることはおよそ考え難い」と指摘し、この場面に関するBの供述に高い信用性を認めた。「具体的なやりとりがなく、迫真性があるものとまで言えない」として、この供述を消極に評価する意見もあったが、議決要旨は時間の経過や日常的な業務の場でそれがあったことなどから、「そのときのやりとりや状況に特に記憶に残るものがなかったとして、何ら不自然、不合理ではない」と判断。逆に「本件では、細かな事項や情景が浮かぶようないわゆる具体的、迫真的な供述がなされている方が、むしろ作為性を感じ、違和感を覚えることになるものと思われる」とまで分析している。
これまでの裁判の実務では、供述調書の信用性を裁判所が判定するにあたって、その内容の具体性、迫真性が重要視されることが多く、東京や大阪の特捜部の捜査では、具体性と迫真性のある供述調書を作ることに努力が傾けられてきた。ところが、厚生労働省の元局長に対する10日の大阪地裁判決では、「供述の具体性、迫真性というのも後に作り出すこと自体は不可能ではない」と指摘され、多くの供述調書の信用性が否定されていた。そうしたことを踏まえた一般市民ならではの特捜検事への「皮肉」とも受け取れるくだりだ。
議決要旨が次に重要視したとみられるのは、小沢氏自身の説明の変遷とその内容の不自然さ。小沢氏は2007年2月20日に事務所費を公開するための記者会見を開き、そこで、問題の土地が小沢氏個人の財産ではなく、陸山会の財産であるという内容の2005年1月7日付の確認書を記者らに示した。しかし、この確認書は、記者会見の直前の2007年2月中旬ごろに秘書に指示して作成させたもので、2005年1月7日という日付は「偽装」だったことが地検の捜査の過程で明らかになっている。議決要旨はこの経緯に触れて、「虚偽記入についての被疑者(小沢氏)の関与を強く窺わせる」と指摘した。また、土地
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