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ニューズ&コメンタリー

大阪地検特捜部不祥事の特ダネに新聞協会賞

 朝日新聞社の「『大阪地検特捜部の主任検事による押収資料改ざん事件』の特報及び関連報道」(大阪本社社会グループ取材班)が6日、2010年度の新聞協会賞(編集部門)の追加受賞者に決まった。決め手となったフロッピーディスク(FD)のデータ解析のほか、事実を丹念に積み上げた調査報道の手法が高く評価された。

  ▽この記事は2010年10月7日の朝日新聞朝刊社会面に出稿されたものです。

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 ■権力監視の大切さ改めて認識 司法担当キャップ・村上英樹

 大阪地検特捜部の押収資料改ざん事件報道は、大阪司法記者クラブの取材班による調査報道の成果といえる。

 同クラブには、キャップの私=村上英樹(41)=のほか、検察担当の板橋洋佳(ひろよし)(34)と野上英文(29)、裁判担当の平賀拓哉(32)と岡本玄(げん)(34)の4記者が所属し、西村磨(おさむ)デスク(42)が担当している。取材の中心は板橋記者で、今回の報道の決め手となるFDの解析の道筋をつけた。

 厚生労働省元局長の村木厚子さんの無罪判決が濃厚になった今年7月、板橋記者が関係者から重要な情報をつかんだ。「捜査を担当した主任検事が、押収したFDのデータを改ざんした」。元部下らの供述と事件の見立てとの間に生じた矛盾をなくすのが動機とみられた。私は取材メモを信じられない思いで読み込んだ。

 この証言を検察幹部に確かめたとしても否定される可能性が高いと判断し、すでに特捜部の手元から離れたFDの所在をつかみ、早急に改ざんの痕跡を確認することにした。

 FDを返却されていた厚労省元係長の上村勉被告(41)=公判中=の弁護人を数週間かけて説得し、同意を得た上でFDを大手情報セキュリティー会社(東京)に解析に出した。村木さんの無罪判決から5日後の9月15日だった。「改ざん疑惑を何とか世に出したい」。取材班はその一念で、数日後に出るという結果を待った。

 敬老の日を含む3連休初日の18日、FDが主任検事の手元にあったとみられる昨年7月13日に改ざんされた可能性が極めて高い、との結果がもたらされた。翌19日、検察幹部に改ざん疑惑の内容とFDの解析結果を示した。検察幹部は「信じたくない」とつぶやき、天を仰いだ。

大阪地検特捜部の押収資料改ざん疑惑を報じた紙面拡大大阪地検特捜部の押収資料改ざん疑惑を報じた紙面
 翌20日午後。大阪市福島区の大阪中之島合同庁舎で主任検事への事情聴取が極秘におこなわれた。主任検事は「意図的ではない」としながらも、データを書き換えた可能性があることを認めた。取材と出稿が同時進行する中、取材班は21日未明まで事実関係や表現、見出しに配慮しながら紙面を作った。

 この日夜、最高検が主任検事を逮捕し、10日後には改ざんを意図的と知りながら隠したとして当時の特捜部長と副部長が犯人隠避容疑で逮捕された。事態は取材班の予想を超えて急展開した。

 村木さんの無罪判決と押収資料改ざん事件で検察への信頼は失墜し、捜査情報に基づく報道のあり方を問う声も上がった。今回の改ざん事件報道が、メディア本来の役割といえる「権力の監視」の大切さを改めて問い直すきっかけになればと考えている。

 ■受賞の弁 板橋洋佳記者

 村木さんが捜査対象となったことがわかった昨春、私(板橋)は捜査の動きを必死に追いかけていた。振り返ると、村木さんを含む容疑者となった人たちの言い分を伝える努力はしたものの、捜査の問題点には気づけなかった。

 だからこそ、村木さんの公判で特捜部の捜査のずさんさが次々と明らかになったとき、自分にできることはないかと考えた。「特捜部が証拠をどのように検討し、事件に着手したのかを改めて検証しよう」。そう決心して

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