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JR脱線初公判 検察官、弁護人がそれぞれ冒頭陳述 《起訴状、認否、冒陳の詳録》

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 JR宝塚線(福知山線)脱線事故で、業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本の前社長山崎正夫被告(67)の初公判は12月21日に開かれ、検察側と弁護側が冒頭陳述でそれぞれの主張をぶつけあった。検察側は、当時のJR西の企業体質について「縦割りで『タコつぼ』状態に陥り、横断的に現場カーブの危険性を検討する部署がなかった」と指摘。これに対し、弁護側は「現場の意見を聴き、安全対策に生かす体制は整っていた」と反論した。

  ▽筆者:沢木香織

  ▽この記事は2010年12月22日の朝日新聞朝刊(大阪)に掲載されたものです。

  ▽関連資料: 起訴状

  ▽関連資料: 前社長による罪状認否

  ▽関連資料: 検察官の冒頭陳述

  ▽関連資料:   弁護人の冒頭陳述

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 この日の初公判は午前10時に始まり、休憩を挟んで検察側は計約1時間20分、弁護側は計約2時間半にわたって冒頭陳述した。主張は真っ向から対立し、長い論争の幕開けを印象づけた。

 検察側は事故が起きた背景について言及し、JR西では鉄道本部内の「縦割り組織構造」のもとで危険を総合的に分析する検討部門がなかったと指摘。こうした状況で情報を集め、現場カーブに自動列車停止装置(ATS)を設けるよう指示を出せたのは「扇の要」の立場にあった前社長しかいなかったのに、別の脱線事故を受けた社内の検討の場で「すぐにハード(対策)をやれば事故が会社の責任だと認めるようなものだ」などと部下に述べ、ATSの個別整備に反対したと主張した。

 さらに、前社長ら幹部が事故後、警察の聴取を受ける社員に、曲線についての危険性認識を否定する内容の想定問答などを渡して供述内容を指導した▽事故をめぐる内部調査結果を警察に知られないよう部下に指示した――などと指摘。組織ぐるみの「口裏合わせ」や「証拠隠し」があったと主張した。

 これに対し、弁護側は厳しく反論。企業体質について、「1991年から定期的に労使安全会議が開かれ、現場の意見は安全対策に生かされていた」としたうえで、「危険箇所の具体的な選別作業を委ねていた鉄道本部の現場担当者から現場カーブに関する具体的な指摘はなく、本部長にATS整備を指示すべき職責は認められない」と述べた。

 また、検察側の捜査手法にも問題があったとの批判も展開した。具体的には、神戸地検が山崎前社長や同社の社員らを聴取した際、「検察の描いた筋書きを押しつける取り調べがあった」と指摘した。

 閉廷後、弁護団の黒田修一弁護士は「我々も山崎さんも被害者同様、事故の真相を知りたいと思っている」としたうえで、「検察側の冒頭陳述では山崎さんを有罪にすることに重点が置かれ、真相は明らかになりそうもない」と批判した。

 ■遺族と弁護人が記者会見

 神戸地検は閉廷後、庁舎1階で、公判を傍聴した遺族・負傷者28人に審理のやり取りを説明。公判に立ち会っ

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