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ニューズ&コメンタリー

公認会計士協会・森会長「不正リスクに真正面から対応していく」

加藤 裕則(かとう・ひろのり)

 7月3日付で日本公認会計士協会の会長に就いた森公高会長が9月上旬、朝日新聞記者のインタビューに答えた。会計監査に対する信頼回復や、IFRS(国際会計基準)への対応など協会の果たすべき役割は大きく、森会長は「監査人として、不正には真正面から取り組む」「市場拡大にはIFRSの適用は必須」などと語った。

▽聞き手・筆者: 加藤裕則

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拡大日本公認会計士協会の森公高(もり・きみたか)会長
 ――オリンパスの損失隠しの反省から今春に不正リスク対応基準ができました。ただ、会計士の中には「ほとんどの内容が協会の実務指針で網羅されている。あまり意味はない」との意見もありました。会計士の意識は変わったのでしょうか

 森会長:確かに業界の中には、不正リスク対応基準はいらないという意見もあった。しかし、できた以上、真正面から対応していく。協会としても、会計士の意識が変わってほしいと考えている。基準では、職業的懐疑心をきちっと各段階で発揮していくことを明確にしており、この意識を持って監査に当たりたい。

 ――「監査の目的は不正の発見ではない」と主張する会計士もいますが、どのように考えますか。

 森会長:監査論で言えば、監査の目的は財務諸表に重要な虚偽表示がないかどうかを調べることだ。しかし、不正リスク対応基準ができたということは、不正に対し、監査人として真正面から取り組むことを社会が求めていると認識している。「不正の摘発」は目的ではないが、重要な虚偽表示につながる不正は発見しなければいけない。

 ――IFRSに関して6月の企業会計審議会では、日本版IFRSを作ることも決まりました。日本基準、米国基準、純粋なIFRSと基準がたくさんあって混乱しませんか。

 森会長:日本基準とIFRSは、これまでのコンバージェンス(共通化)の作業の結果、かなり近づいている。日本版IFRSでは、企業のニーズを聞きながら修正を行い、国際的に説明できる範囲に限定される必要がある。例えば、企業合併・買収(M&A)をすれば、のれん代(企業の買収金額から買収される企業の純資産を引いた数値で、将来性などを見込んだ価値とされる)の問題が出てくる。日本基準では、のれんの資産価値の減少を仮定して20年以内で規則的に償却していくが、IFRSでは実際に価値の減少が分かった時点で減損処理を行う。こういったごく限られた差異だけ日本基準を残すことも考えられる。日本版IFRSは、IFRSを本格的に導入する過程の一つのステップと考えられるのではないか。米国は、IFRS導入に足踏み状態と言われるが、それでも上場している外国登録の企業450社がすでにIFRSを適用している。我が国の経済の再生、資本市場の魅力拡大、海外からの投資を呼び込むためには、IFRSの適用は必須であり、対応を急ぐ必要がある。

 ――財務情報だけでなく、CSR(企業の社会的責任)といった非財務情報を加えた「統合報告」を作成する動きが出ています。日本公認会計士協会が後押ししていますが、日本企業に広まりますか。

 森会長:投資家向けの報告として、望まれるモノだ。有価証券報告書は財務情報が多い。短期的な判断に向いている報告だ。中期的な視点が、健全なマーケットづくりに必要とされているが、統合報告はそれに沿って、厚くしようとする動きだ。国際会計士連盟も動いており、日本公認会計士協会としてもしっかりと対応していきたい。具体的にどんなことを開示すべきなのか、これから詰めていきたい。

 ――今年5月、第三者委員会について「会長声明」を出し、第三者委員会による責任追及について慎重な対応を求めています。消極的な印象を

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加藤 裕則(かとう・ひろのり)

 1965年10月、秋田県生まれ。岩手大人文社会科学部卒業。89年4月に朝日新聞社入社。静岡支局や浦和支局(現さいたま総局)などに赴任した後、99年東京本社経済部員。その後、名古屋本社経済部員、青森総局次長、大阪本社経済部員。2011年4月から14年9月まで2度目の東京本社経済部員で、金融情報面(株式面)や社会保障取材班を担当した。
 経済記者としては、これまで通産省(現・経産省)、鉄鋼業界、トヨタ自動車(名古屋)、関西空港などを取材してきた。通産省クラブ時代から、コーポレート・ガバナンスや会計監査について自主的に取材を重ね、朝日新聞のオピニオン面に掲載される記者有論などで論じてきた。2014年9月から石巻支局員として東日本大震災からの復興の過程を取材。2018年4月から東京本社の経済部員として財界などを取材している。

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