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ニューズ&コメンタリー
(2017/09/16)
■息子と娘、そして父
UE社が公開している資料によると、岡田氏はOkada Holdings Limitedの株式の46%を所有する筆頭株主で、そのOkada Holdings LimitedはUE社の株式の67.9%を所有する支配株主となっている。関係者によると、岡田氏はその立場で、今年5月まで長年にわたってUE社内で「強大な権力」をふるい、ワンマン経営者として君臨してきた。UE社の調査報告書によれば、岡田氏は「自己の意に沿わない役員及び従業員については、役員としての地位をはく奪したり、解雇したりするなど、事実上人事権を独占していた」。
このように岡田氏の支配は盤石であるように見えたが、香港政府の登記部門に提出された通知書によれば、ことし5月12日、岡田氏はOkada Holdings Limitedの役員ではなくなり、その代わりに、別の2人の日本人、高田誠氏と石田敦信氏がその役員に就任した。そして、6月29日に開かれたUE社の株主総会で、Okada Holdings Limitedは、岡田氏を外した取締役選任議案に賛成した。その日、岡田氏は株主総会の会場の受付に出向いて入場を求めたが、中山弁護士の説明によると、「現行犯逮捕」を脅されて、会場に入場できず、欠席裁判で取締役を解任された、という。
そのようになってしまった理由は、富士本社長ら会社側が岡田氏の息子と娘を味方につけて岡田氏から離反したためだった。Okada Holdings Limitedの筆頭株主は岡田氏だが、その持ち株だけでは過半数とはならない。一方、岡田氏の息子の知裕(ともひろ)氏の43%の持ち株と娘の裕実(ひろみ)氏の9.78%の持ち株を合わせると、父親の岡田和生氏の持ち株を上回り、過半数の53%になる。息子と娘が父親に反旗を翻し、ぎりぎりの差でOkada Holdings Limitedの支配権を獲得し、ひいては、UE社の株主総会を制した格好となった。
岡田氏はこれへの反撃に出ている。記者会見での中山弁護士の説明によると、9月7日、娘の裕実氏が香港の法律事務所で次のように証言したという。
5、6月には、内容も分からず、兄に頼まれて(書面に)署名させられてしまった。父、岡田和生の会長復帰を望んでいるので、それらの書面は撤回する。兄も被害者です。
中山弁護士によると、翌8日、Okada Holdings Limitedの臨時株主総会が開かれ、岡田和生氏が同社の代表であることを確認したという。
もしこれが事実ならば、岡田氏はOkada Holdings Limitedの支配を復活させたことになる。ひいては、UE社の支配も獲得することになる。
ただし、16日昼の時点で、香港政府の登記部門のデータを検索しても、岡田氏がOkada Holdings Limitedの役員に復帰したとの登記情報は公開されていない。8月11、18、30日にそれぞれ役員変更の申請が相次ぎ出されているが、それらはいずれも「保留中」となっており、正式な登記情報としては公開されていない。
■岡田氏「なぜ息子は…」
岡田和生氏は14日、紺色のブレザーの下にボタンダウンの縦じまシャツを着込み、水色の柄のネクタイを締めた姿で司法記者クラブに現れた。中山弁護士の冒頭説明を横で聞いた後、「それでは。私が岡田和生でございます」と切り出した。「お集まりいただきまして誠にありがとうございます」と続けた。
今回、家族紛争、家族のクーデターという意味ではとても興味本位でとられやすい内容かというふうに思います。たしかに私の息子と娘、ここが協調して、私に対して、排除するという考え方をとったんですが、娘については、全く内容を聞かされないで振り回されてた。ということは、息子のほうがいろいろな話をしてきたんですが、ま、私としては、今、息子がまだ洗脳されて、理解ができていない(と思っている)。
5月から私は必死になって、息子との会話を復活したい、娘との会話を復活したいと、探し回ったけど、つかまらない。つかまらないように、いないようにと、常にコントロールされているのが実態で。絶対会わせない。会わせると元の木阿弥に戻る可能性がある。これを恐れて……
岡田氏によると、最終的に娘には会うことができ、その理解を得ることができた、という。しかし、息子とは連絡がとれていないという。昔、オートバイに興味を持つようになった息子の交通事故を恐れてそのオートバイを取り上げた話など息子の思い出を岡田氏は過去にさかのぼって振り返った。
ふつうの親子としてそんなに異常性があるとは私は思いません。
なんで(息子は)ここまで思い込んでしまったのか。この1、2年間、まったく私と会わせない。
私が息子に対して何を感じているかといったら、とにかく、わからして、もう一回戻ってこい、と。
(息子の)経験不足が起こしていることだと思います。
■特別背任疑惑
岡田氏の追放と並行して、UE社は、岡
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