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ニューズ&コメンタリー

オリンパス、内視鏡の院内感染で報告怠った罪、米司法省が起訴

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 オリンパスは患者の健康を危険にさらした――。12月10日、アメリカの司法省はそんなコメントを発表した。
 精密機器メーカーのオリンパス(本社・東京都新宿区西新宿2丁目、本店・八王子市石川町、笹宏行社長)が製造・販売する十二指腸内視鏡「TJF―Q180V」で施術を受けた欧州の患者が相次いで感染症にかかった問題について米政府・食品医薬品局(FDA)への必要な報告を怠ったとして、米検察当局は、オリンパス子会社のオリンパスメディカルシステムズ(本社・東京、大久保明浩社長)と同社の元取締役でオリンパス本体の執行役員でもあった矢部久雄被告(62)を連邦食品・医薬品・化粧品法違反(注1)の罪で起訴した。12月10日(日本時間では11日)、米司法省が発表した(注2)。会社と矢部被告はいずれも罪を認めており、そのうち会社は10日、裁判所で罰金8千万ドル(90億8600万円)、没収500万ドル(5億6800万円)の判決を受けた(注3)

 ■ニュージャージーの裁判所で

拡大問題となったオリンパスの十二指腸内視鏡「TJF-Q180V」=Olympus Europeのウェブサイトに掲載されている写真
 米連邦裁判所の記録によると(注4)、矢部被告の公判は12月10日午前11時から、ニュージャージー州ニューアークにある連邦ニュージャージー地区裁判所(スタンレー・チェスラー裁判官)で開かれた。矢部被告は、2012年初めにオランダのエラスムス医療センターで16人の患者が同じQ180Vで施術を受けた後に緑膿菌に感染した問題の原因について、現地オランダのデルフト工科大学のアージョ・ロエブ博士により、Q180Vの問題点を指摘する調査報告がまとめられた際に、それを有害事象の追報告としてFDAに知らせる必要があったのに、それをしなかった、という1件の罪状を認めた。
 矢部被告は11月6~9日にその1件の罪を認める代わりにそのほかの罪では起訴されないとの合意書を司法省と交わしており(注5)、公判では、それが陳述された。合意書では最長で1年の禁錮刑と10万ドル以下の罰金に処せられる可能性があるとされており、裁判所はその合意を承認した。刑の宣告の期日は来年3月27日午前11時と指定された(その後、判決期日は2019年5月22日午前11時に延期された)。保釈金は10万ドルで、保釈の条件として米国と日本に旅行を制限するなどの命令が出された。

 矢部被告の公判は午後零時40分に終わり、裁判所の記録によれば(注6)、続けて会社の公判が開かれた。オリンパスメディカルシステムズの大久保社長は、矢部被告が有罪を認めた2012年初頭のオランダの事例に加えて、2012年7月にフランスのクレムラン・ビセートルで5人の患者が同じQ180Vで施術を受けた後に緑膿菌に感染した事例の当初報告と、2012年11月にフランスのベルシー病院で3人の患者が同様に大腸菌(Escherichia coli)に感染した事例の追加報告についても、FDAに必要な有害事象報告を出さなかったとの罪状を認めた。
 会社も事前に罪を認める合意書を司法省と交わしており、そこには量刑について罰金8千万ドル、没収500万ドルにすると記載された。現旧の社員ら個人に対する責任追及に会社として協力し、FDAへの有害事象報告に関するコンプライアンスを強化するとの条項も合意書に盛り込まれた(注7)。会社は11月20日の取締役会でこうした合意を受け入れる方針を承認しており、それを証する文書が裁判所に提出された。公判でチェスラー裁判官は即日、合意書と同一の量刑を言い渡した。会社の公判は1時間で終了した。

 矢部被告は1979年にオリンパスに入社し、2012年4月1日にその執行役員になった。グループ経営統括室の薬事法務本部長や医療事業グループの品質・環境本部長を務め、FDAへの有害事象報告を担当した。オリンパスの広報・IR部によると、矢部氏は2017年3月31日付で執行役員を退き、同社を退職。今は同社の社員ではないという。

拡大米司法省庁舎=米ワシントンDC
 米司法省民事局を率いるジョディー・ハント司法次官補は、「米国で年間50万件の施術に使われるオリンパスの十二指腸内視鏡のような医療機器は多くの人々の寿命を伸ばし、生活の質を向上させ得る」と前置きした上で、「医療機器メーカーは、病気、けが、死につながりうるリスクを認識した際、その情報を適時にFDAに報告する法的義務がある。それを怠ったことで、オリンパスと矢部氏は患者の健康を危険にさらした」と述べた(注8)。ニュージャージー地検のレイチェル・ホニグ検事は「特に問題なのは、オリンパスの医療機器の安全性を疑問視する独立した専門家から新たな情報を受け取った際に彼らが沈黙を貫いたことだ。医療機器メーカーにとって患者の安全は常に最重要の懸念事項でなければならないが、被告らはそのような重大さをもって懸念を取り扱わなかった。利益追求によって患者の安全が危険にさらされているときには必ず検察は行動する」と述べた(注9)

 FDAのスコット・ゴットリーブ長官は「医療機器の有害事象の報告は、潜在的な医療機器の安全問題から米国民を守るために制度化されている。医療機器メーカーが有害事象の報告書を提出しないと、無防備な患者が危険にさらされることになる」とコメントした。「我々はこれからも、FDAの法規制を免れることで市民の健康を脅かす者を積極的に追及する」(注10)

拡大米司法省=米ワシントンDC
 十二指腸内視鏡をめぐって米司法省の捜査が始まったのは4年近く前のことだった。2015年3月、米司法省からオリンパスメディカルシステムズに情報提供を求める召喚状が出され(注11)、同様に十二指腸内視鏡を販売するHOYAの米国子会社ペンタックス・オブ・アメリカと富士フイルムにも召喚状が届いた。FDAの犯罪捜査事務所、健康福祉省の監察官事務所、連邦捜査局(FBI)が司法省の消費者保護部とともに捜査にあたった。
 オリンパスは2016年に、中南米の公立病院医師らへの贈賄や米国内の医師へのキックバックを摘発され、同年3月に米州法人と米国販売子会社が罰金など6億4600万ドル(約740億円)を払わされた前科がある(注12)。この事件について、オリンパスは今回の訴追当局と同じニュージャージー地検と訴追猶予合意を取り交わしており、2019年3月にこれが期限切れとなるまでの間にオリンパスが新たな罪を犯せば、猶予が解かれ、訴追が進められることになっている。今回の事件で罪状となっている行為は2014年10月に終わっており、この訴追猶予合意の対象には入っていない、と米司法省は説明している。

 矢部被告の弁護人を務めるウォルター・ブラウン弁護士(カリフォルニア州サンフランシスコ)は記者の問い合わせに、「私は、この問題についてコメントする立場にないこと、また、矢部氏にインタビューを受けさせることができないことを残念に思う」と答えた。

 オリンパスは12月11日朝、日本の証券市場向けに「米国司法省との間で2018年12月3日に司法取引契約を締結し、この司法取引契約が同年12月10日(米国東部時間)に米国裁判所において承認され確定しました」との発表文を出した(注13)。その発表文には反省や謝罪の言葉はなく、是正策への言及もなかった(注14)。一方、オリンパス・アメリカ社から出された英文の発表文には「深く反省している」との笹社長のコメントが引用されており、内視鏡の洗浄・消毒などリプロセス(再生処理)について「その効果を向上させるためにステークホルダーと協働している」との表明もあった(注15)
 笹社長はまた、これに先立つ12月7日、罰金など支払いのために損失が生じたことについて、「様々な費用を計上しており、株主の皆様は不安を抱かれているかもしれません。しかし、経営を預かる身としては、当社が抱えていた不確定な要素について大分目処がついたと考えており、当社にとっては大きな前進だと捉えています」との見解を明らかにした(注16)

 ■少なくとも190人が院内感染

 オリンパスの十二指腸内視鏡Q180Vに関連した院内感染は2012~15年に欧米で相次ぎ、被害者は少なくとも190人に上る。米国内では刑事事件としての捜査とは別に、被害者や遺族により50件余の民事訴訟が起こされ、2018年11月時点でワシントン州やカリフォルニア州の裁判所に約40件が係属している。Q180Vについてオリンパスは日本の法律に基づいて2010年8月31日に製造販売のための認証を得ているが、これまで日本では販売しておらず、したがって被害も出ていない。

拡大オリンパスの十二指腸内視鏡「TJF-Q180V」の先端部=Olympus Americaのウェブサイトに掲載されている映像から
 米議会上院厚生委員会の民主党筆頭議員(ランキングメンバー)が2016年1月に発表した(注17)報告書によれば(注18)、十二指腸内視鏡に関連する院内感染は当初、欧州で発生した。12年1月にオランダのエラスムス医療センターで30人、同年10月にフランスのベルシー病院で3人が感染。同年11月に米国に飛び火し、米国ペンシルバニア州のピッツバーグ大学病院で13人、翌12月にニューヨークとマサチューセッツの両州で計35人が感染した。
 最終的に、2012年から2015年春にかけて、オリンパス製の十二指腸内視鏡に関連して、17の医療施設(注19)で190人余(米国約140人、欧州52人)がカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)など命を脅かす重篤な病気に感染した。CREは強力な抗生物質にも耐性があり、感染者の相当数が死亡するといわれる(注20)。これら院内感染によって米国では「少なくとも35人が死亡した」と報道されている(注21)。オリンパスは米国内の十二指腸内視鏡の85%を生産する。

 内視鏡は異なる患者に繰り返し使用される。そのため、毎回必ず、洗浄・消毒・滅菌の「リプロセス」を施す必要がある。しかし、十二指腸内視鏡は先端部の構造や形が複雑で、洗浄が徹底されないことがあり、感染の原因になっているとみられる。日本国内で販売されている型は、先端部を取り外すことができる。ところが、欧米で2010年から販売されているQ180Vは、先端部を取り外すことができない。先端部を取り外せないと、より洗浄しづらい、との指摘がある。

 ■「完全な洗浄は非常に難しい」

 Q180Vが院内感染を媒介したと初めて疑われたのは発売2年後の2012年春、欧州のオランダでのことだった。依頼を受けて調査にあたったデルフト工科大学のアルジョ・ロエブ博士は同年5月、Q180Vの先端部に細菌の隠れ家となりうる様々なきずがあり、完全な洗浄は非常に難しいとQ180Vの問題点を指摘する報告書をまとめた(注22、23)。ロエブ博士は先端部の設計変更や洗浄マニュアルの更新を提案した(注24、25)。起訴状によれば、この報告書はオランダ語で書かれていたが、英訳され、同年8月6日ごろに矢部被告はそれを受け取った。

 矢部被告に対する起訴状によれば、矢部被告はロエブ博士の提案を採り入れず、9月12日、既存のマニュアルの通りに洗浄などリプロセスをすれば十分だという主張に固執し、「医師や看護師の手など」が感染の原因である可能性があるとオランダ当局に報告するのに関与した、とされる(注26)

 起訴状によれば、これに先立つ5月25日にオリンパスメディカルシステムズは米食品医薬品局(FDA)にオランダでの感染について「内視鏡ではない施設の環境に起因する感染の可能性も考えられる」と報告した。ロエブ博士の報告書はそれと異なる可能性を示しており、同社はその内容についてFDAに追加報告をする義務があった。にもかかわらず、同社はそれを怠った。それが矢部被告やオリンパスメディカルシステムズの罪状とされた(注27)

 オランダで問題がくすぶっていた2012年11月、今度はフランスのベルシー病院で3人の患者が同じQ180Vで施術された後に大腸菌に感染した。起訴状によれば、同年12月20日、オリンパスメディカルシステムズはFDAに「現時点では正確な原因は確定できないが、不十分なリプロセスとユーザーの取り扱いも原因として排除できない」とする有害事象報告を提出した。

 ところが、フランス当局の依頼で独立した微生物学研究所が調査にあたったところ、2013年春、問題のQ180Vは様々な細菌で汚染されており、マニュアル通りに洗浄しても汚染が残ったと指摘する報告がまとめられた。「メーカーのガイドラインに従った手続きで洗浄・消毒をしてもなお、汚染が残るリスクがある」とその報告には書かれていた。起訴状によれば、オリンパスメディカルシステムズは2013年4月13日にその報告を受け取ったが、FDAにそれを伝えなかった。それが同社の2番目の罪状とされた。

 2012年7月4日には、フランスのクレムラン・ビセートルで同じQ180Vで施術された後に5人の患者が緑膿菌に感染した事例がオリンパスメディカルシステムズに報告された。起訴状によれば、これについて同社は当時、米FDAにまったく報告しなかった。この不報告が同社の3番目の罪状とされた。

 ■米国では事態を2年あまり放置

 米国の民事訴訟に証拠として提出されたオリンパスの社内メールによれば(注28)、2012年12月20日、オランダの規制当局は、オリンパス側に対して、翌1月中旬までにユーザーに接触して院内感染の続発と適切なリプロセスについて情報を提供するよう要求した。

拡大オリンパスの十二指腸内視鏡「TJF-Q180V」の先端部と特殊なブラシ「MAJ1888」=Olympus Americaのウェブサイトに掲載されている再生処理手順説明用の映像から
 これを受けて2013年1月、オリンパスの欧州法人は欧州の医療関係者に注意喚起の手紙を送り(注29)、その中で、特別な洗浄ブラシ「MAJ1888」の使用を勧めた(注30)。「不適正な再生処理などで引き起こされる汚染、さらなるリスクを防ぐ」のがその目的だった(注31)。ところが、2015年2月まで2年あまりにわたって、米国内の顧客にはそれを知らせなかった(注32、33)。特別な洗浄ブラシ「MAJ1888」は欧州ではオプションの付属品(アクセサリー)として販売されていたが、米国では販売されていなかった。

 訴訟のために録取されたオリンパス米州法人(注34)のローラ・ストームズ副社長の証言によれば(注35)、2013年1月28日、外部の非営利組織のスタッフからオリンパス欧州法人が域内の病院に注意喚起をしているとの事実を知らされ(注36)、欧州法人に事実関係を問い合わせた。オランダやフランスでQ180Vを介した院内感染が問題になっていることをストームズ副社長はそこで初めて知った。それまで東京本社からそのような知らせはなかった(注37)
 同月31日、ストームズ副社長は、東京にあるオリンパス本社の医療品質保証部門の幹部にメールを送った。そのメールの中で、副社長は、洗浄ブラシ「MAJ1888」使用の推奨について欧州と米国で対応に違いがあると指摘。また、米国でもQ180Vに関連してピッツバーグ大学で同様に院内感染の報告があるとも指摘し、そのうえで次のように質問した(注38)

 本社は、欧州法人による推奨にあわせてリプロセスのマニュアルを改訂するつもりですか?
 オリンパス・アメリカ社は、欧州法人が欧州のユーザーに伝達している情報をアメリカのユーザーに伝達するべきですか?

拡大2013年1月31日にオリンパス米州法人のストームズ副社長から東京本社に送られたメールの一部=米ワシントン州キング郡の裁判所に提出された書証から

 副社長の証言やメールの履歴によれば、東京の医療品質保証部門の幹部は2月6日、次のような返信のメールをストームズ副社長に送り、上司の矢部被告にもそのメールを同送した。

 本社はリプロセスのマニュアルを改訂するつもりはありません。

 すべてのユーザーに積極的に知らせる必要はありませんが、問い合わせをしてきたユーザーには知らせるべきです。

拡大2013年2月6日に東京本社の幹部から米州法人のストームズ副社長に送られた返信メールの一部=米ワシントン州キング郡の裁判所に提出された書証から

拡大オリンパス米州法人のストームズ副社長の証言録の76ページ
 特別なブラシを使わなくても、既存マニュアルの通りにリプロセス(再生処理)をすれば、高いレベルの除菌が可能だと幹部は主張した(注39)。ピッツバーグ大学病院での院内感染の原因についても、その幹部は「不十分な洗浄・消毒・殺菌であったとは考えにくい」と言及した。このメールを読んでストームズ副社長は「意味が通らない」と思った。現場での調査結果を見ることなく、根拠もなく「原因を推測しているように見えた」からだ(注40)
 ストームズ副社長はその日のうちに再度のメールを東京に送り、その中で、不十分な再生処理(リプロセス)が院内感染の原因だという結論にどのようにして達したのか説明できるのかと質問した。院内感染が発生した米国の病院に東京本社の人間が調査に来ていないと指摘し、「どのようにしてその結論を得たのか」と問いただした(注41)。すると、東京本社の幹部は「不十分な再生処理(リプロセス)が原因である可能性は低いかもしれない」と答え、「ノイズなどその他の要因(a factor is in somewhere else. c.f. noise.)」を指摘した(注42)。ストームズ副社長は「ノイズ」が何を指すのか理解できなかったが(注43)、東京本社の指示に従った。つまり、積極的に米国内の顧客に事態を知らせたり注意を喚起したりしようとはしなかった(注44)

拡大院内感染が発生した病院=2018年4月17日、米ワシントン州シアトルで奥山俊宏撮影
 この後、2013年春から2015年2月にかけて、米国内のワシントン州シアトルやカリフォルニア州ロサンゼルスなど8か所の病院で院内感染が発生した。

 ■新聞報道で事態が発覚

拡大オリンパスの十二指腸内視鏡「TJF-Q180V」の先端部を特殊なブラシ「MAJ1888」で洗浄する様子=Olympus Americaのウェブサイトに掲載されている再生処理手順説明用の映像から
 十二指腸内視鏡を介した院内感染は2015年、ワシントン州の地元紙シアトル・タイムズがシアトルの病院での事例を1月21日に報じ(注45)、ロサンゼルス・タイムズ紙が2月18日にカリフォルニア大学ロサンゼルス校の病院での事例を報道して表面化した(注46)。翌2月19日、オリンパスとFDAは初めて米国内の病院に注意を促し始めた。オリンパスは米国内でも洗浄ブラシ「MAJ1888」を添付する方針に転換し、3月26日、再生処理マニュアルの改訂を各地の病院に知らせた(注47、48)
 4月13日から24日にかけて、米FDAは東京都八王子市のオリンパスの研究開発拠点や福島県会津若松市の生産工場で立ち入り検査を行い、8月12日、同社に警告状を出した(注49)。その中で、オリンパスは、自社の製品によって死亡や深刻な症状が引き起こされたかもしれないとの情報を知ったときには30日以内にFDAに報告しなければならないのに、それを怠った、と指摘された。Q180VについてFDAの認可を受けずに販売されている、とも指摘された。
 2016年1月15日、すでに病院で用いられているQ180Vを追認する形でFDAの認可が下り、それにあわせて、オリンパスはQ180Vのリコール(回収・修理)と洗浄マニュアルの再改訂を発表した(注50、51)。こうした対策を経て、Q180V関連の院内感染の報告は減少した(注52)
 2017年1月19日、オリンパス米州法人のストームズ副社長は、シアトルの病院で死亡した患者が起こした民事訴訟のための証言録取に応じ、原告側の弁護士の質問に次のように答えた。

拡大ワシントン州キング郡の裁判所に提出されたオリンパス米州法人副社長の証言録58ページ
 弁護士 実際、オリンパス米州法人はMAJ1888のブラシの使用を2015年まで米国の顧客に勧めなかった。それは事実ですか。
 副社長 そうです。(注53)
 弁護士 つまり、要約すると、オリンパスは、欧州の顧客に提供したのと同様のアドバイスをそれよりも2年遅れて米国の顧客に提供している。それは事実ですか。
 副社長 そうです。(注54)

拡大同上74ページ
 弁護士 あなたは、東京本社の助言に従って、だれかに聞かれない限り、積極的には米国の顧客に問題を知らせなかったのですか。
 副社長 オリンパス欧州法人が作成した文書について積極的には顧客に言いませんでした。その通りです。
 弁護士 あなたは、Q180V内視鏡に関連する院内感染の問題について、2015年2月以前に、米国の顧客に警告しましたか?
 副社長 いいえ、していません。(注55)

 民事訴訟では、オリンパスは「病院が内視鏡の適正な再生処理を怠った」などと主張し、責任を全面否定した(注56)

 東京の品質本部の幹部や矢部被告は東京・赤坂の米大使館で尋問を受けたが、ほとんどの質問に「何人も刑事事件において、自己に不利な供述を強制されない」と定めた米国憲法修正第5条の権利を行使し、返答を拒否した(注57)

拡大東京・赤坂の在日アメリカ大使館で矢部被告から証言を録取した際の記録の一部

 記者は先月15日、オリンパスに対して、「米国では少なくとも2013年1月から2015年2月までの2年間にわたって、医療従事者や米当局への注意喚起を怠り、これは事態を放置するものであったと言わざるを得ない」との見解を示してコメントを求めた。すると、先月22日、オリンパスの広報・IR部は「訴訟に影響するため、コメントは差し控えさせて頂きます」と答えた。
 米州法人の会長でもあるオリンパスの竹内康雄副社長はこれに先立つ先月6日の決算説明会で、十二指腸内視鏡の製造物責任(PL)をめぐって、米国で五十数件の民事訴訟を起こされ、うち約40件の訴訟が進行中である、と明らかにした。その際、竹内副社長はその支払いについて「基本的に保険でカバーできると我々はみているが、いろいろな州にまたがっていろいろなケースがあるので、100%カバーされるかは何とも言いようがない」と説明(注58)。また、「実際問題として、40件くらいの裁判を米国内で抱えておりますので、そんなに軽々しく考えているわけではなくて、非常に厳格にとらえて、やっている。五十数例の裁判があるが、この症例そのものは世界で年間200万くらいある。したがって発生率はものすごく低い」と述べた(注59)
 また、オリンパスは、共同通信が先月26日に欧米での院内感染をめぐって「内視鏡の洗浄・滅菌しにくい構造が原因の可能性がある」と報道したことを受けて、翌27日、ニュースリリースを出し、その中で「欧米の一部の地域における薬剤耐性菌への感染」について「原因が特定された事実はございません」と述べ、「当社が販売するすべての内視鏡は、取扱説明書に従って、適切な使用・メンテナンス・リプロセス(洗浄・消毒・滅菌)をしていただければ、安全にご使用いただけることが確認されています」と主張している(注60、61)

 ■経営層が不十分なリソースしか投入せず

 起訴状によれば、FDAへの有害事象報告はもともとオリンパス・アメリカ社が担当していたが、2012年初め、米州大陸の外で起きた有害事象についての報告は、日本のオリンパスメディカルシステムズが担当することになった。しかし、同社でFDAへの有害事象報告を担当する社員らは、最小限のトレーニングしか受けられなかった。職務を果たすのに十分なリソースを与えられないとも社員らは感じていた。そこで、担当社員らは、上司にトレーニングが必要だと訴え、リソース不足の改善を求めた。ところが、経営層によってそれを断られた。こうした不十分なリソースとトレーニング不足も一因となって、2012年8月から2014年10月にかけて事件は起きたと米検察当局の起訴状は指摘している(注62)

 起訴状によれば(注63)、FDAがオランダのロエブ博士の報告書を独自のルートで知ったのは、報告書作成から2年あまりも後の2014年10月だった。FDAはその重大性を認識し、オリンパス側にそれを知っていたのかと問い合わせた。FDAはロエブ博士の報告書を入手して読んでみるようにとオリンパス側に勧めた。実際にはオリンパスと矢部被告はその2年以上も前にロエブ博士の報告書を受け取っていた。オリンパス側からFDAにロエブ博士の報告書に関する追加報告があったのは2015年3月13日。フランスのクレムラン・ビセートルでの感染がFDAに報告されたのは発生4年後の2016年7月7日だった。

 FDAの医療機器センター長を務めるジェフ・シュレン氏は12月10日、オリンパス起訴にあたって「メーカーのマニュアルに従っても、十二指腸内視鏡の使用に関連する感染を全て排除するのに十分ではないことが明らかになってきている」と洗浄などリプロセスの限界を指摘するコメントを発表した(注64)。シュレン氏は「医療施設で患者が感染にさらされるのを減らすことは国家的な優先課題であり、多くのステークホルダーがそれに関わっており、その責任は重なり合っている」とも指摘している(注65)

 罰金と没収を命じられた8500万ドルについて、オリンパスは12月14日、米政府への送金の手続きをした、という。ここまでの経緯について、オリンパスの広報・IR部は12月17日、記者の取材に次のようにコメントした。

 当社は、司法取引契約の中で述べられております医療機器報告(MDR)及びMDRの追加報告の不提出につき、誠に遺憾であり、かつ大きな責任を感じております。
 本件の発生から数年にわたり、当社はグローバルな法規制関連業務部門の再編および強化、監督責任者の増強、積極的なコミュニケーションの促進と説明責任を果たすための組織再編、ならびに役職員向けトレーニングの増加等を実施してまいりました。これまでの取り組みについては、米国司法省も当社の改善を認めています。
 患者様の安全は、世界の人々の健康と安心、心の豊かさを実現するという当社の使命とも言える経営理念の根幹を成すものであり、最優先事項です。
 当社は、次世代製品の開発、当社の製品を安全かつ効果的に使っていただくためのトレーニングや資材などの継続的な提供および更新、また、医療従事者の皆様と協力して内視鏡のリプロセス(洗浄、消毒、滅菌)の有効性向上に取り組んでいくことを通じ、この使命を全うしていきます。

 ▽注1:21 U.S.C. Section 331. https://www.gpo.gov/fdsys/granule/USCODE-2010-title21/USCODE-2010-title21-chap9-subchapIII-sec331/content-detail.html, https://www.gpo.gov/fdsys/pkg/USCODE-2010-title21/html/USCODE-2010-title21-chap9-subchapIII-sec331.htm
 
▽注2:Department of Justice, Office of Public Affairs, Press Release Number: 18-1623, Olympus Medical Systems Corporation, Former Senior Executive Plead Guilty to Distributing Endoscopes After Failing to File FDA-Required Adverse Event Reports of Serious Infections, December 10, 2018.
 ▽注3:United States District Court, District of New Jersey, Judgement in a Criminal Case, ECF No. 8, United States v. Olympus Medical Systems Corporation, No. 2:18-cr-00727-SRC (D.N.J. December 10, 2018). https://judiciary.asahi.com/apfcont.php?contents=8Vc5E5FEosAep9cdJksWtuyCtcorFV0KIaffJBfIMUSej3lPPjIN4esL+dNOv2cWgQwyVu+TuiJjhMIaBY0wGg==
 
▽注4:United States District Court, District of New Jersey, Newark, Initial Appearance, ECF No. 6, United States v. Yabe, No. 2:18-cr-00726-SRC (D.N.J. December 10, 2018). https://judiciary.asahi.com/apfcont.php?contents=8Vc5E5FEosAzaLpHXpDD9+yCtcorFV0KIaffJBfIMUSej3lPPjIN4esL+dNOv2cWgQwyVu+TuiJjhMIaBY0wGg==
 
▽注5:Plea Agreement with Hisao Yabe, United States v. Yabe, No. 2:18-cr-00726-SRC (D.N.J. December 10, 2018). https://www.justice.gov/usao-nj/press-release/file/1118436/download
 
▽注6:United States District Court, District of New Jersey, Newark, Initial Appearance, ECF No. 3, United States v. Olympus Medical Systems Corporation, No. 2:18-cr-00727-SRC (D.N.J. December 10, 2018). https://judiciary.asahi.com/apfcont.php?contents=8Vc5E5FEosCRLT840Ha1JOyCtcorFV0KIaffJBfIMUSej3lPPjIN4esL+dNOv2cWgQwyVu+TuiJjhMIaBY0wGg==
 
▽注7:Plea Agreement with Olympus Medical Systems Corporation, ECF No. 2, United States v. Olympus Medical Systems Corporation, No. 2:18-cr-00727-SRC (D.N.J. December 10, 2018). https://www.justice.gov/usao-nj/press-release/file/1118431/download
 
▽注8:Assistant Attorney General Jody Hunt for the Department of Justice’s Civil Division. “when a device manufacturer becomes aware of risks that could lead to illness, injury, or death, there is a statutory obligation to report that information to the FDA in a timely manner. By failing to do so, Olympus and Mr. Yabe put patients’ health at risk.”
 ▽注9:Attorney for the United States Rachael Honig, District of New Jersey. “It is especially troubling that they remained quiet when they received additional information from an independent expert questioning the safety of Olympus’ device. Patient safety must always be a paramount concern for medical device companies, and these defendants simply failed to treat that concern with the gravity it deserves. Today’s resolution is a reminder that this office will act whenever patient safety is put at risk by a quest for profits.”
 ▽注10:FDA Commissioner Scott Gottlieb, M.D.. “Medical device adverse event reporting requirements are designed to protect Americans by providing FDA with a tool to detect potential safety issues. When device manufacturers fail to report adverse events, unsuspecting patients are placed at risk”, “We take our patient safety mission very seriously and we remain fully committed to aggressively pursuing those who jeopardize public health by subverting FDA’s regulatory requirements.”
 ▽注11:オリンパス株式会社、有価証券報告書(事業年度(第148期)自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日)。http://www.olympus.co.jp/jp/common/pdf/annual148PB.pdf#PAGE=21
 「平成27年3月および8月に米国司法省が当社グループが製造・販売している十二指腸内視鏡に関する情報の提供を求める旨の召喚状を当社の子会社であるオリンパスメディカルシステムズ株式会社宛てに発行しました。また、当有価証券報告書提出日現在、当社グループの十二指腸内視鏡によって被害を受けたと主張する民事訴訟が当社グループに対して米国で提起されています。これらの今後の経過によっては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。」
 ▽注12:Department of Justice, Office of Public Affairs, Medical Equipment Company Will Pay $646 Million for Making Illegal Payments to Doctors and Hospitals in United States and Latin America, March 1, 2016. https://www.justice.gov/opa/pr/medical-equipment-company-will-pay-646-million-making-illegal-payments-doctors-and-hospitals
 
▽注13:適時開示情報閲覧サービス、オリンパス、米国司法省との司法取引契約の締結について、2018/12/11 07:45
 ▽注14https://www.olympus.co.jp/ir/data/announcement/2018/contents/ir00022.pdf
 
▽注15:“Olympus deeply regrets its failure to file and supplement the MDRs identified in the plea agreement and accepts full responsibility for these failures,” said Hiroyuki Sasa, President and Representative Director, Olympus Corporation. http://medical.olympusamerica.com/articles/olympus-issues-statement-regarding-us-department-justice-settlement
 
▽注16:オリンパス、第151期 中間株主通信。https://www.olympus.co.jp/ir/stock/pdf/busines151PA.pdf
 
▽注17:Senate Health, Education, Labor, and Pensions (HELP) Committee Ranking Member Patty Murray, SCOPES: Murray Releases New Report Following Yearlong Investigation of Outbreaks in Washington State and Nationwide, January 13, 2016. https://www.help.senate.gov/ranking/newsroom/press/scopes-murray-releases-new-report-following-yearlong-investigation-of-outbreaks-in-washington-state-and-nationwide
 
▽注18:U.S. Senate, Committee on Health, Education, Labor and Pensions, Minority Staff Report, Preventable Tragedies: Superbugs and How Ineffective Monitoring of Medical Device Safety Fails Patients, January 13, 2016. https://www.help.senate.gov/imo/media/doc/Duodenoscope%20Investigation%20FINAL%20Report.pdf#page=8
 
▽注19:17の医療施設の国別内訳は米国12、オランダ2、ドイツ2、フランス1。このうち米国のCarolinas Medical Center (Charlotte, NC)では2013年(1人)と2015年(18人)の2回にわたって発生し、フランスのClinique De Bercyでは2012年10月(3人)と2013年11月(2人)の2回にわたって発生した。したがって、延べ数は19となる。
 ▽注20:Centers for Disease Control and Prevention, Press Release, CDC: Action needed now to halt spread of deadly bacteria, March 5, 2013. “The bacteria, Carbapenem-Resistant Enterobacteriaceae (CRE), kill up to half of patients who get bloodstream infections from them.”, https://www.cdc.gov/media/releases/2013/p0305_deadly_bacteria.html
 
▽注21:Chad Terhune, Los Angeles Times, Olympus told its U.S. executives no broad warning about tainted medical scopes was needed, despite superbug outbreaks, July 24, 2016. https://www.latimes.com/business/la-fi-olympus-scopes-emails-20160721-snap-story.html
 ▽注22:Senate Minority Staff Report at 9-10. https://www.help.senate.gov/imo/media/doc/Duodenoscope%20Investigation%20FINAL%20Report.pdf#page=13
 
▽注23:Department of Justice, Office of Public Affairs, Press Release Number: 18-1623, Olympus Medical Systems Corporation, Former Senior Executive Plead Guilty to Distributing Endoscopes After Failing to File FDA-Required Adverse Event Reports of Serious Infections, December 10, 2018.
 “That expert report – which Olympus obtained in the summer of 2012 – noted numerous problems with the Q180V, including that the Q180V’s tip had various cracks, corners, and crevices that could harbor bacteria and could be cleaned only with great difficulty. The report recommended immediate further investigation of all such scopes, updating the cleaning instructions, and improving the quality of the seals.”
 ▽注24:上院の報告書のAppendis II, Dr. Arjo Loeve, Report Investigation Scope G-206, pp. 13, 18, 23, 24. https://www.help.senate.gov/imo/media/doc/Duodenoscope%20Investigation%20FINAL%20Report.pdf#page=82
 
▽注25:Deposition of Laura Storms, January 19, 2017, exhibit 3, Olympus emails, Sub. 525Y, Bigler, Theresa v. Olympus America. Inc., No. 15-2-05472-4 SEA (Superior Court of the State of Washington for King County, filed June 1, 2017).
 ▽注26:Information at 9, United States v. Yabe, No. 2:18-cr-00726-SRC (D.N.J. December 10, 2018). https://www.justice.gov/usao-nj/press-release/file/1118411/download#page=9
 
▽注27:Information at 9, United States v. Olympus Medical Systems Corporation, No. 2:18-cr-00727-SRC (D.N.J. December 10, 2018). https://www.justice.gov/usao-nj/press-release/file/1118416/download#page=9
 
▽注28:Deposition of Laura Storms, January 19, 2017, exhibit 3, Olympus emails, Sub. 525Y, Bigler, Theresa v. Olympus America. Inc., No. 15-2-05472-4 SEA (Superior Court of the State of Washington for King County, filed June 1, 2017).
 ▽注29Id., exhibit 4, Important Safety Advice.
 ▽注30Id., exhibit 5, Pre-cleaning your TJF-Q180.
 ▽注31Id., exhibit 3, Olympus emails.
 “in order to prevent further risk and contamination caused by incorrect reprocessing”
 ▽注32Id. at 38:13-22
 Senate Minority Staff Report, https://www.help.senate.gov/imo/media/doc/Duodenoscope%20Investigation%20FINAL%20Report.pdf#page=3
 “Olympus never brought this information to FDA, and did not alert hospitals, physicians or patients in the U.S. to the risk of infection until February 2015.”
 ▽注33https://lieu.house.gov/sites/lieu.house.gov/files/OGR%20Briefing%20Memos.pdf#page=8
 
▽注34:Olympus Corporation of the Americas
 ▽注35:Laura Storms, Vice President, Regulatory/Clinical Affairs & Quality Assurance
 ▽注36:Deposition of Laura Storms at 50:8 – 51:11, January 19, 2017, Olympus emails, Sub. 525Y, Bigler, Theresa v. Olympus America. Inc., No. 15-2-05472-4 SEA (Superior Court of the State of Washington for King County, filed June 1, 2017).
 ▽注37:Deposition of Laura Storms, January 19, 2017 at 51:8-11, Sub. 525Y, Bigler, Theresa v. Olympus America. Inc., No. 15-2-05472-4 SEA (Superior Court of the State of Washington for King County, filed June 1, 2017).
 ▽注38Id., exhibit 7 at 3, Olympus emails.
 “a similar complaint of patient infection associated with the TGF-Q180V”
 ▽注39:Deposition of Laura Storms, Exhibit 7 at 2, Sub. 525Y, Bigler, Theresa v. Olympus America. Inc., No. 15-2-05472-4 SEA (Superior Court of the State of Washington for King County, filed June 1, 2017).
 “Q180V can be carried out high level disinfection by reprocess according to the current manual”
 “Is OMSC going to revise their Reprocessing Manual to reflect the recommendations found in OEH's Quick Reference Guide?”
 “OMSC is not going to revise the Reprocessing Manual”
 ▽注40: Deposition of Laura Storms, January 19, 2017 at 76:14-19, Sub. 525Y, Bigler, Theresa v. Olympus America. Inc., No. 15-2-05472-4 SEA (Superior Court of the State of Washington for King County, filed June 1, 2017).
 “he seemed to be speculating on cause”
 ▽注41Id., exhibit 7 at 1, Olympus emails.
 “Can you please explain how OMSC reached the conclusion that insufficient reprocessing was the cause for this MDR?”
 “OMSC was not on-site at UPMC and did not investigate this facility”
 “how is OSMC reaching this conclusion?”
 ▽注42Id., exhibit 8 at 2, Olympus emails.
 “It may be not likely that cause is insufficient reprocessing.”
 ▽注43: Deposition of Laura Storms, January 19, 2017 at 78:9-14, Sub. 525Y, Bigler, Theresa v. Olympus America. Inc., No. 15-2-05472-4 SEA (Superior Court of the State of Washington for King County, filed June 1, 2017).
 ▽注44:Deposition of Laura Storms, January 19, 2017 at 74:7-17, Sub. 525Y, Bigler, Theresa v. Olympus America. Inc., No. 15-2-05472-4 SEA (Superior Court of the State of Washington for King County, filed June 1, 2017).
 ▽注45:JoNel Aleccia, Seattle Times health reporter, Seattle Times, Undisclosed superbug sickened dozens at Virginia Mason, January 21, 2015. http://old.seattletimes.com/html/localnews/2025515506_endoscopeoutbreakxml.html
 
▽注46:Chad Terhune, Los Angeles Times, Superbug linked to 2 deaths at UCLA hospital; 179 potentially exposed, Feb 18, 2015. https://www.latimes.com/business/la-fi-hospital-infections-20150218-story.html#page=1
 
▽注47http://medical.olympusamerica.com/sites/default/files/pdf/150326_TJF-Q180V_Customer_letter.pdf
 
▽注48:Olympus America Inc., Class 2 Device Recall EVIS EXERA II Duodenovideoscope OLYMPUS TJF TypeQ180V, March 26, 2015. https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfres/res.cfm?id=135241, https://medicaldevices.icij.org/devices/usa-gastroenterology-urology-devices-device-recall-evis-exera-ii-duodenovideoscope-olympus-tjf-typeq180v
 
▽注49https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2015/ucm458510.htm
 
▽注50:Olympus Corporation of the Americas, Class 2 Device Recall Evis Exera II Duodenovideoscope Olympus TJFQ180V, January 08, 2016. https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfres/res.cfm?id=142937, https://medicaldevices.icij.org/devices/usa-gastroenterology-urology-devices-device-recall-evis-exera-ii-duodenovideoscope-olympus-tjfq180v
 
▽注51https://medical.olympusamerica.com/sites/us/files/pdf/160115-Olympus-TJF-Q180V-Customer-Letter.pdf
 
▽注52:Deposition of Laura Storms, January 19, 2017 at 103:19 – 104:16, Sub. 525Y, Bigler, Theresa v. Olympus America. Inc., No. 15-2-05472-4 SEA (Superior Court of the State of Washington for King County, filed June 1, 2017).
 ▽注53Id., at 57:21-25.
 “In fact, Olympus Corporation of the Americas didn't recommend using the MAJ-1888 brush to the United States market until 2015; is that correct?”
 “Correct.”
 ▽注54Id., at 58:5-9.
 “So, in essence, it's two years later than when similar advice was provided to the European market, Olympus is now providing that same advice to the U.S. market; is that correct?”
 “Correct.”
 ▽注55Id., at 74:7-17.
 “Did you follow that advice and not tell users in the U.S. market actively about this problem unless somebody asked?”
 “I didn't tell users actively about the document that OEKG produced; that's correct.”
 “Did you warn users in the U.S. market, prior to February of 2015 -- about a potential issue of cross-contamination involving the Ql80V scopes?”
 “I -- no, I have not.”
 ▽注56:Defendant Olympus America inc.’s Answer, Affirmative Defenses, and Cross-Claim to Virginia Mason Medical Center’s Cross-Claims at 9, Sub. 25, Bigler, Theresa v. Olympus America. Inc., No. 15-2-05472-4 SEA (Superior Court of the State of Washington for King County, June 15, 2015).
 “VMMC failed to properly reprocess the TJF-Q180V duodenoscope.”
 ▽注57:Deposition of Hisao Yabe, November 30, 2016, Sub. 513B, Bigler, Theresa v. Olympus America. Inc., No. 15-2-05472-4 SEA (Superior Court of the State of Washington for King County).
 ▽注58:オリンパス株式会社、2019年3月期 第2四半期 決算説明会、質疑応答1、2018年11月6日。http://www.irwebcasting.com/20181106/3/5ed258d96c/mov/main/index.html
 
▽注59:オリンパス株式会社、2019年3月期 第2四半期 決算説明会、質疑応答7、2018年11月6日。竹内副社長は「製品の品質ですとか法規制部門のスタッフをものすごく増やしています。ほとんど多くの国々の法規制当局がものすごく基準を厳しくしている現実がございますので、そういうものに対してかなりの投資を振り向けている」と述べた。「御社についてだけこれだけ訴訟が多いことの自己分析は?」との質問には、竹内副社長は「基本的には十二指腸内視鏡の件なんですね。そこで医療行政、品質行政に対する各国の高まりがある。ある意味ですごくタイミングが合っている。とういことで、実際問題として、40件くらいの裁判を米国内で抱えておりますので、そんなに軽々しく考えているわけではなくて、非常に厳格にとらえて、やっている。この症例って、五十数例の裁判が立っているわけですが、この症例自体は年間で、グローバルで200万症例くらいある、そういう症例です。したがって発生率でいうと、ものすごい低い。それでもやっぱり各国当局は法規制を強めざるを得ない、強めなければいけない背景がいろいろなところで、医療費のコストの問題とかである。決して当社に限った問題では基本的にはないんだとは思います。ただ、従来と全然違う感覚で法規制対応を強化しなければいけなくなっている。この数年間で大きく変わっているという背景があると思います」と答えた。http://www.irwebcasting.com/20181106/3/5ed258d96c/mov/main/index.html
 
▽注60:オリンパス、ニュースリリース、当社の十二指腸内視鏡に関する一部報道について、https://www.olympus.co.jp/news/2018/contents/nr01004/nr01004_00000.pdf
 
▽注61:2018年11月28日には英文のリリースも出た。Olympus Issues Summary Statement Regarding News Reports About Duodenoscopes, November 28, 2018. https://www.olympus-global.com/news/2018/nr01005.html
 
▽注62:Informtion at 9, United States v. Olympus Medical Systems Corporation, No. 2:18-cr-00727-SRC (D.N.J. December 10, 2018). https://www.justice.gov/usao-nj/press-release/file/1118416/download#page=9
 
▽注63:Information at 9, United States v. Olympus Medical Systems Corporation, No. 2:18-cr-00727-SRC (D.N.J. December 10, 2018). https://www.justice.gov/usao-nj/press-release/file/1118416/download#page=9
 ▽注64:FDA Statement, Statement from Jeff Shuren, M.D., J.D., Director of the Center for Devices and Radiological Health, on updated safety communication about rates of duodenoscope contamination from preliminary postmarket data, December 10, 2018. https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm628096.htm
 
▽注65:Jeff Shuren, M.D., J.D., Director of the Center for Devices and Radiological Health, FDA, “However, it has become clear that following the manufacturer’s reprocessing and maintenance instructions, while critical, is not sufficient to avoid all infections associated with the use of duodenoscopes.” “Reducing patient exposure to infections in health care settings remains a national priority involving multiple stakeholders with overlapping responsibilities.”

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 朝日新聞編集委員。
 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部などを経て特別報道部。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。
 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。近刊の共著書に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)。
 そのほかの著書として『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に 『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。
 ツイッターはhttps://twitter.com/okuyamatoshi
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