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資料庫

《判決要旨》 村上ファンド元代表の有罪確定へ

村上ファンド事件の東京地裁判決の要旨

 被告人は、前記のとおり、早くは、9月15日会議の段階から、ニッポン放送株の公開買付けを表明したフジテレビを「メイン」、ライブドアを「サブ」として両天秤に掛けつつあったが、遅くともフジテレビのTOB表明後は、より大きな利益を得られるライブドアによる大量買い集めの実施を「メイン」としてこれに加担することとし、本件で取得したものも含めて保有するニッポン放送株の約半分を、フジテレビが実施した公開買付けの買付け価格よりも高値でライブドアに引き取らせて、まず巨額の利益を確定させ、さらにライブドアが大量買い集めを公表して市場価格が急騰するや、保有するニッポン放送株の残りの大部分を市場で売却し、再び巨額の利益を得ている。しかし、フジテレビの側からみれば、もともとフジテレビのTOBは被告人が実施を働き掛けたものであって、これに応じないこと自体が裏切りであるのに、こともあろうに敵対的買い集めをするライブドアに株式を売却されてしまったのである。他方、ライブドアの側からみても、経営権を奪取するまでファンド保有分は持ち続けるから「おれを信じろ」などと言われて安心させられた上、たき付けられて大量買い集めに走るや、土壇場でファンド保有分の半分を高値で引き取らされ、挙げ句にもう半分は市場で売り抜けられてしまったのである。被告人は「ファンドなのだから、安ければ買うし、高ければ売るのは当たり前」と言うが、このような徹底した利益至上主義には慄然とせざるを得ない。

 本件の結果、村上ファンドは、買付けた株式を129億9725万4000円で売り抜けたが、買付け金額は、判示のとおり99億5216万2084円にすぎなかったから、その利益は30億4509万1916円となる。このような類例をみないほどの巨額の利益は、不公正な方法で一般投資家を欺き、不特定多数の損失の上に得られたものであり、証券市場の信頼を著しく損なうものである。そして、ファンドは解散して、その巨額の利益は、匿名の出資者に払い戻されてしまい、原状回復の手段は取るべくもない。

第4 個別情状について

1 被告人の情状

 被告人は、「潜在的な企業価値を実現できていない企業の株式を中長期で買い付け、その後、企業価値を実現するように働き掛けて、これにより企業価値が顕在化することにより、それを株価に反映」させる「アクティビスト」を名乗り、「もの言う株主」として社会の耳目を集める一方、裏では、このような犯罪を犯していたものである。本件の利益は被告人が言うような正当な過程で上げられたものではなく、フジテレビとライブドアとのニッポン放送の支配権を巡る争いから「漁夫の利を得た」もので、市場を信頼していた一般投資家や被告人が語る理想を信じて村上ファンドに出資した者、さらには広く資本市場など社会に与えた影響も大きい。被告人は、本件により、ファンドからの払戻し等を通じて個人的な利得を得たほか、会社への出資を通じて投資顧問料等の報酬にも反映されて巨額の利得を得ているものである。被告人が記者会見を開き、謝罪の意思を表明したのは当然であったといえる。しかるに、法廷では、「記者会見ではうそを言った。」などと述べて態度を一変させ、巧みに問題をすり替え、不合理な内容の弁解に終始し、利得もそのまま保持し続けており、反省は皆無である。以上によれば、村上ファンドの主宰者であり、被告会社の実質的経営者としての被告人の責任は重大である。

2 被告会社の情状

 被告会社は、業務として村上ファンドの運営に当た

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