メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

資料庫

オリンパス元社長ウッドフォード氏、委任状争い「撤退する」

ウッドフォード氏の声明文

声明文

 

本日に至るまでの12週間、私の人生で最も精神的に困難な試練が続きました。昨年10月14日に正当な理由もなく社長職を解任されて以来、次々に虚偽の情報や真実を否定する情報を流されることにより、私の家族や周囲の人々は深刻なトラウマに悩まされてきました。とりわけ妻の苦痛は大きく、不安から悪夢にうなされ強く怯えながら夜中に目を覚ますこともしばしばです。妻にとって、この衆目を集める争いにおける不安定さや私たちに寄せられる敵意が、今や耐え難いものとなっています。私は、彼女にこれ以上の苦悩を課すことはできないと判断し、本日を以て、オリンパスの新たな役員候補を提案するための活動を打ち切らせていただく決断をいたしました。

不安定さが長引く最大の理由は、オリンパスの不正を糺そうとする私達の取組みに対して、国内におけるオリンパスの大株主である機関投資家が誰も支援の声を挙げなかったばかりか、汚染された現経営陣の続投を事実上黙認し続けていることにあります。第三者委員会が提出した明確な報告を無視するかのように、このような現状が看過されているのは、海外から日本を見守っている人々にとって、全く不可解であり、失望する状況と言わざるを得ません。株式持ち合い制度は、日本の戦後の復興に役立ったのは事実だと思いますが、現在はむしろ、持ち合いの相手を決して批判しないという暗黙の了解が悪しき慣行になっています。このような馴れ合いによって、企業統治は骨抜きにされ、適性を欠く経営陣が居座ることのできる環境が醸成されています。企業統治の強化、ひいては日本の経済の活性化に向けた法制度の改正に向け、このような日本企業の実態についての真剣な議論が行われることを祈るばかりです。国際競争が激化する中、各種の課題に取り組む日本にとって、日本経済の構造的弱点の根源にある株式持ち合い制度の改革は急務であると考えます。

オリンパス問題は決して「国内外」の対立ではなく、むしろ、コーポレートガバナンスのあり方に関する国内の改革推進派と改革反対派との闘いであると認識しています。私は、この数ヵ月にわたる言動において、その意味づけの明確化にも努めてきたつもりです。国内外の規制当局と法執行当局に関心を持って頂いたこともあって、オリンパスの不祥事は国内外で広く注目を浴びるところとなり、既にいくつもの良い結果につながっています。例えば、オリンパスの組織体制や企業文化の弱点を生み出したものとして、長年にわたる不正の隠ぺいを可能とした「イエスマン」の風土や企業統治の欠如に焦点が当てられています。このような問題の背景を考えるならば、現経営陣はいずれも、次期の役員人事の候補になることはおろか、それに影響を及ぼすことも許されず、第三者委員会の提案どおり、全員が退陣すべきであることは明らかです。なぜなら、彼らこそ、その一人一人に宛てて送付された6通の手紙と監査法人であるプライスウォーターハウスクーパースによる調査報告書に明記された不正の疑いの警告を見事に無視し、誰一人として行動を起こそうとしなかった張本人であるからです。もし現経営陣が次期の役員人事について自ら上記のような選択をしなかったとしても、世界中の目がそれを許すことはないでしょう。

新たな役員候補を組成・選定するこれまでの過程において、何名もの名だたる方々が自ら進んで、私とともに役員候補として立候補する用意があるとおっしゃってくださったことについて、大変光栄に思っております。多大な社会的プレッシャーと不確実性の中で正義のために立ち上がってもよいとおっしゃってくださったその方々の勇気に、あらためて多大な敬意と感謝を表したいと存じます。しかし、我々が仮に委任状争奪戦で勝利を収めることができたとしても、国内と国外の大株主の間に決定的な対立を招くことにもなりかねない状況となっていました。オリンパスの将来を考えると、このような間違った対立をもたらすことは、私の本来望む結果ではありません。

なお、オリンパスの不正を糺す戦いはこれで終わりではなく、同社の真の再生を願い、今後も、引き続き今日の同社の問題を招いた経営陣の体質等について明らかにしていくつもりです。

ここで、これまで私を励まし支援してくださった方々に感謝の意を表したいと思います。まず、ミラー和空ことブライアン・ミラーと宮田耕治の両氏。両氏とも私とともに明らかな「不正」に立ち向かい、私の活動を無償で精力的にサポートしてくれました。彼らの唯一の目的は、真実を明らかにし、オリンパスを明るい将来へ導いていく適切な経営陣が選出されることでした。このグローバル化の時代にふさわしく、米・日・英人が肩を組んで、オリンパスのため、日本のために尽力しました。そして、私の弁護団の方々。仕事で多くの弁護士に会ったことがありますが、彼らほど真摯に、常に的を射た助言をしてくれる弁護士に会ったことはありません。

さらに、私を励ましたくれたオリンパスの各国の社員の方々にも心から感謝します。とりわけ、昨年12月14日の夜、『ニコニコ生放送』に出演した際、日本の社員の方々が数百通の激励のメールを寄せてくださったことを一生忘れません。皆さまのご期待にお応えできなかったことについては、私としても残念でなりませんが、私なりに「できるだけのことをやった」ものとご理解いただきたく存じます。この30年間、私はオリンパスとともに歩んできましたし、今後も、私の心はオリンパスとともにあります。

最後に、何よりも日本の皆さまにお礼を申し上げます。街を歩いたり、レストランで食事をしたりしているとき、たくさんの見知らぬ方から、「あなたは正しいことをしている」と、激励の言葉をかけていただきました。かねてより愛していた日本ですが、この数週間に及んだ試練を通じて、多くの方々の親切や人間的な温かみに触れ、この国に対する愛情がいっそう深まりました。

日本は実に素晴らしい国です。今後も、友人たちと会うために、また、この国の良さを満喫するために、日本を度々訪れるつもりです。

 

2012年1月6日
東京

 

マイケル・ウッドフォード

 

Facebookでコメントする

ご感想・ご意見などをお待ちしています。