メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

資料庫

指定弁護士「小沢議員と元秘書の共謀は必ず証明できる」ハンディにも強気変わらず

小沢一郎議員を起訴した検察官役の指定弁護士による2012年3月9日の論告の要旨

 被告人小沢一郎こと小澤一郎に対する政治資金規正法違反被告事件について、検察官の職務を行う指定弁護士の意見の要旨は、次のとおりである。

 第1 公訴事実の要旨と本件の争点

 1 公訴事実の要旨

 東京第五検察審査会の平成22年10月4日付け議決(以下「起訴議決」という。)に基づく検察官の職務を行う指定弁護士(以下「指定弁護士」という。)の起訴にかかる公訴事実の要旨は、以下のとおりである。

 被告人は

 第1 自己の資金管理団体である陸山会の会計責任者であった大久保隆規及び同人の職務を補佐する者であった石川知裕と共謀の上、平成17年3月31日ころ、東京都新宿区西新宿2丁目8番1号所在の東京都選挙管理委員会において

 1 陸山会が、平成16年10月12日ころ、被告人から4億円の借入れをしたにもかかわらずこれを平成16年の収入として計上しないことにより、同年分の収支報告書の「本年の収入額」欄にこれが5億8002万4645円であった旨の虚偽の記入をし

 2 同会が、平成16年10月5日及び同月29日、土地取得費用等として合計3億5261万6788円を支払ったにもかかわらずこれを同年の支出として計上しないことにより、真実の「支出総額」が4億7381万9519円であったのに同収支報告書の「支出総額」欄に3億5261万6788円過小の1億2120万2731円であった旨の虚偽の記入をし

 3 同会が、平成16年10月29日、東京都世田谷区深沢8丁目○番5、同番19所在の土地2筆を取得したのにこれを同収支報告書に資産として記載をせず

 同収支報告書を同委員会を経て総務大臣に提出し、もって同収支報告書に虚偽の記入をし、記載すべき事項を記載しなかった

 第2 前記大久保隆規及び同人の職務を補佐する者であった池田光智と共謀の上、平成18年3月28日ころ、前記東京都選挙管理委員会において

 1 陸山会が、平成17年中に土地取得費用等として合計3億5261万6788円を支払っていないにもかかわらずこれを同年の支出として計上することにより、真実の「支出総額」が3億2734万7401円であったのに同年分の収支報告書の「支出総額」欄に3億5261万6788円過大の6億7996万4189円であった旨の虚偽の記入をし

 2 同会が、前記土地2筆を取得したのは平成16年10月29日であるのに同収支報告書の「資産等の項目別内訳」の「年月日」欄に取得年月日が平成17年1月7日である旨の虚偽の記入をし

 同収支報告書を同委員会を経て総務大臣に提出し、もって同収支報告書に虚偽の記入をした

 ものである。

 2 本件の争点

 上記公訴事実のうち、陸山会が被告人の資金管理団体であり、被告人がその代表者、大久保隆規(以下「大久保」という。)がその会計責任者、石川知裕(以下「石川」という。)が平成16年分の収支報告書(以下「16年分収支報告書」という。)に関して大久保の職務を補佐する者、池田光智(以下「池田」という。)が平成17年分の収支報告書(以下「17年分収支報告書」という。)に関して大久保の職務を補佐する者であったこと並びに16年分収支報告書及び17年分収支報告書がそれぞれ公訴事実記載の日に公訴事実記載のとおり提出されたことについては、弁護人も認めかつ関係各証拠から明らかである。

 また、公訴事実中の以下の点についても、弁護人は争ってはおらず関係各証拠からも明らかである。

 ・被告人が平成16年10月12日ころ金4億円を「用立てたこと」

 ・16年分収支報告書にこれが計上されておらず同収支報告書の「本年の収入額」として金5億8002万4645円との記入があること

 ・平成16年10月5日及び同月29日、土地取得費用等として合許3億5261万6788円が支払われたこと

 ・16年分収支報告書には上記土地取得費用等が計上されておらず「支出総額」として金1億2120万2731円との記入があること

 ・東京都世田谷区深沢8丁目○番5、同番19所在の土地2筆(以下「本件土地」という。)を、16年分収支報告書に資産として記載していないこと

 ・本件土地の取得費等合計3億5261万6788円を平成17年の支出として計上することにより、17年分収支報告書の「支出総額」として金6億7996万4189円との記入があること

 ・17年分収支報告書の「資産等の項目別内訳」の「年月日」欄に本件土地の取得年月日として平成17年1月7日である旨の記入があること

 弁護人は、公訴事実について多岐にわたる反論をするとともに、公訴提起の適法性についても争い、公判前整理手続の結果、本件の争点は以下の3点に整理された。

 [1] 起訴議決に基づく公訴事実第1の1についての公訴提起の適法性

 [2] 各収支報告書について虚偽の記入又は記載すべき事項の不記載があったかどうか

 [3] 被告人の本件に関する認識の有無及び秘書との共謀の有無

 さらに弁護人は、平成23年12月27日付けにて、公訴棄却申立書を提出した。これは、検察審査会が判断の資料とした捜査官の捜査報告書に虚偽が含まれていることを理由に起訴議決が無効であって本件公訴全体が適法性を欠くとするものである。

 この結果、本件の争点は、以下のとおりと整理することができる。

 [1] 起訴議決に基づく公訴提起の適法性

 特に、公訴事実第1の1についてなされた起訴議決の有効性及び田代検事の捜査報告書を審査資料に含んでなされた起訴議決の有効性

 [2] 平成16年及び17年分収支報告書の記載の虚偽性

 虚偽内容にそって分解すれば

 被告人が提供した4億円を収入として計上していない16年分収支報告書の虚偽性

 本件土地の取得の事実及び購入代金等の支出を本登記の日付に合わせて17年分収支報告書に記載し16年分収支報告書に記載しなかったことの虚偽性

 [3] 被告人の共謀の有無

 3 本論告要旨の構成

 以下においては、本件公訴提起の適法性についての弁護人の主張に理由がないことを明らかにした上、当公判廷で取り調べられた証拠に基づいて本件に関連する事実経過の概要をまず掲げ、その上で、収支報告書の記載の虚偽性及び被告人の共謀に関する弁護人の主張に理由がないことを論証し、情状に照らして被告人に科されるべき刑についての意見を述べることとする。

 第2 公訴棄却の申立について

 1 本件公訴提起に至る経緯

 平成22年1月21日、複数の市民により被告人らに対し、東京地方検察庁宛になされた告発(以下「本件告発」という。)の告発事実は、以下のとおりである(甲159)。

 第1 被告人、大久保及び石川を被告発人として、平成16年10月5日に本件土地を3億4264万円で取得し、同日、その購入代金として1000万円を、同月29日に残金3億3264万円を支出したにもかかわらず、これらを陸山会の平成16年分収支報告書に記載しないで、平成17年3月31日に東京都選挙管理委員会に提出し

 第2 被告人、大久保及び池田を被告発人として、実際は平成16年10月5日に本件土地を3億4264万円で購入し取得したにもかかわらず、平成17年分収支報告書に、平成17年1月7日に本件土地を取得した旨及び事務所費が本件土地取得費用である3億4264万円を加えた4億1525万4243円である旨、それぞれ虚偽の記入をして、平成18年3月28日に東京都選挙管理委員会に提出し

 たものである。

 これを受理した東京地方検察庁は、被告人を被疑者として、政治資金規正法違反被疑事件について捜査したが、平成22年2月4日、木村匡良検察官が、嫌疑不十分と裁定し、不起訴とした(甲160)。

 この、検察官による公訴を提起しない処分に対して、告発人より検察審査会に対して審査の申立てがあり、東京第五検察審査会が審査を行い、平成22年4月27日、起訴を相当とするとの議決をした(甲157)。

 この議決を受け、東京地方検察庁は更に捜査を行い、平成22年5月21日、齋藤隆博検察官が、嫌疑不十分と裁定し、不起訴とした(甲161)。

 この、検察官による公訴を提起しない処分に対して、東京第五検察審査会が再審査を行い、平成22年9月14日、起訴すべきであるとの議決をした(甲158)。

 その議決において、東京第五検察審査会は、[1]被告人は石川及び大久保と共謀の上、陸山会が平成16年10月初めころから同月27日ころまでの間に、被告人から合計4億円の借入れをしたのに、平成16年分の収支報告書にこれらを収入として記載せず、同収支報告書の「本年の収入額」欄に、過小の5億8002万4645円であった旨の虚偽を記入し、更に、陸山会が平成16年10月5日及び同月29日、土地取得費用等として合計3億5261万6788円を支払ったのに同収支報告書にこれらを支出として記載せず、同収支報告書の「支出総額」欄に、真実の「支出総額」が4億7381万9519円であったのに3億5261万6788円過小の1億2120万2731円であった旨の虚偽を記入し、また、同月29日、本件土地を取得したのに、同収支報告書にこれを資産として記載せず、平成17年3月31日ころ、東京都選挙管理委員会において、総務大臣に提出し、[2]被告人は池田及び大久保と共謀の上、真実は陸山会が平成17年1月7日に土地取得費用等として合計3億5261万6788円を支払っていないのに、平成17年分の収支報告書にこれらを支出として記載し、「支出総額」欄に、真実の「支出総額」が3億2734万7401円であったのに3億5261万6788円過大の6億7996万4189円であった旨の虚偽を記入し、また、同収支報告書に本件土地を資産として記載し、「資産等の内訳」欄に、真実の取得が平成16年10月29日であったのに平成17年1月7日に取得した旨の虚偽を記入し、平成18年3月28日ころ、東京都選挙管理委員会において、総務大臣に提出したことを、犯罪事実として認定した。

 指定弁護士は、かかる起訴議決に基づき、本件公訴提起に及んだ。

 2 弁護人らの主張

 弁護人らは、本件公訴には以下の2点において「公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であ」り、判決で公訴が棄却されるべきであると主張する。

 その論旨は、第1に、東京第五検察審査会による本件起訴議決は、田代検事が作成した内容虚偽の捜査報告書を東京地方検察庁が東京第五検察審査会に送付し、検察審査員らを錯誤に陥らせた結果、行われたものであり、検察官の重大な違法行為により検察審査員らが重大な錯誤に陥った結果なされたものであるので、無効であり、本件公訴提起の手続は無効な起訴議決に基づくことになり、公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であって、判決で公訴が棄却されるべきであると主張する。

 また、第2に、本件公訴事実第1の1のうち、「陸山会が、平成16年10月12日ころ、被告人から4億円の借入れをしたにもかかわらずこれを平成16年の収入として計上しないことにより、同年分の収

この記事の続きをお読みいただくためには、法と経済のジャーナルのご購読手続きが必要です。

朝日新聞デジタル購読者(フルプラン)の方なら手続き不要

法と経済のジャーナル Asahi Judiciaryは朝日新聞デジタルの一部です。
有料(フルプラン)購読中の方は、ログインするだけでお読みいただけます。

朝日新聞デジタルのお申し込みはこちら

Facebookでコメントする

ご感想・ご意見などをお待ちしています。