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オリンパス粉飾決算事件で元社長らに執行猶予判決

オリンパス弁護人の弁論の要旨

 第1 公訴事実について

 本件について、被告人オリンパス株式会社(以下「被告会社」という。) 代表取締役笹宏行は、公訴事実の全部を認めている。しかしながら、被告会社には、 以下詳細に述べるとおり、酌むべき事情も多々あるので、寛大な判決を求める。

 

 第2 罪体に関する情状事実

 1 本件虚偽記載の態様

 (1) 本件虚偽記載は組織的に実行されたものではないこと

 本件において重要な点は、簿外で損失を分離固定し、解消した過程である。すでに審理において明らかになったとおり、この損失の分離及び解消の過程に関与した者は、相被告人菊川、山田、森のほか、横尾、羽田、中川らの外部協力者を含めても限られており、当時の被告会社の役員及び従業員の圧倒的大部分は、この実施過程に気づかなかった。

 本件は、経営判断上の善管注意義務に問われている非関与取締役等の過失に基づく民事責任の点を措くとして、少なくとも少数の被告会社幹部が、株主総会はもちろん、取締役会をはじめとする被告会社の正式な機関を全て正しい情報から遠ざけ、証拠も都度廃棄するなど秘密裏に実行されたものである。本件は、組織的に実行されたものではない。

 (2) 上場廃止事由を隠ぺいしていたわけではないこと

 次に、起訴状及び追起訴状記載の各訂正後の連結純資産額からも明らかなとおり、被告会社においては、適切な会計処理をした後であっても債務超過となった事業年度は存在しない。債務超過は、証券取引所における上場廃止事由であるが、被告会社は、その存在を隠ぺいしていたわけではない。

 (3) 事業業績に関する虚偽記載が存在しないこと

 また、本件虚偽記載は被告会社の事業部門とは無関係に行われたものであり、その内容は、売上高や営業利益率を水増ししたり、営業債権の回収不能や不良在庫の存在を隠ぺいしたりしたものではなく、投資者が重視する被告会社の事業自体の経営成績を偽ったものではなかった。

 (4) 小括

 本件公訴事実は、有価証券報告書等の虚偽記載に関するものであるから、その情状は、「市場に対していかなる財務情報が提供されていたか」を中心に論じられるべきである。この点、かつてのカネボウ事件のように債務超過を資産超過と表示したり、また、ライブドア事件のように赤字を黒字と表示したりすることは、質的に重要な虚偽記載であり、投資者の投資判断に与える影響も重大である。しかしながら、被告会社は、債務超過その

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