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資料庫

福島第一原発1号機冷却停止、現場は最初から把握、伝わらず

福島第一原発1号機の時系列 非常用復水器(IC)はなぜ誤認されたか

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 東日本大震災発生直後の2011年3月11日、福島第一原発では1号機の原子炉がだれにも気付かれないまま日本国内初めての炉心溶融事故を引き起こした。翌12日、その建屋が爆発し、以後、日を追って3号機、2号機へと事故が拡大していった。危機の起点となった1号機であのとき何があったのか。電源喪失後に原子炉を冷やすことができる唯一の装置として期待されながら、実際には機能していなかった非常用復水器(IC)を中心に、各種資料に基づき、時系列をまとめた。

拡大「1F」「ふくいち」の通称で呼ばれることの多い東京電力福島第一原子力発電所=2011年3月12日午前9時29分、福島県大熊町、朝日新聞社ヘリから撮影
 2011年3月11日(金曜日)午後2時46分、マグニチュード9の東北地方太平洋沖地震が発生した(注1)。そのとき1号機は46万キロワットの発電機出力で運転中だった。

 午後2時47分、地震の揺れの加速度を検知し、「スクラム」信号が発せられた(注2)(注3)。すべての制御棒を同時に原子炉に全挿入する「スクラム」に成功し、原子炉は自動停止した。

拡大福島第一原発1、2号機の中央制御室の配置=政府事故調の中間報告(資料編)から抜粋して引用
 1、2号機の中央制御室では24人の運転員が勤務していた。内訳は当直14人、作業管理グループ10人(注4)(注5)。このうち2人は研修生だった(注6)

 「地震によりしばらく立っていられない状況であったが、スクラムによる制御棒の全挿入は確認できたため、地震の揺れが収まった段階で全体的な確認を行った。」(原子力安全・保安院の保安調査(注7)

拡大福島第一原発1号機のアラームタイパの記録のうち、2011年3月11日午後2時46分過ぎのもの=同年5月16日に東京電力が公表した資料から
 午後2時48分、外部電源が失われ、数秒後、非常用ディーゼル発電機2台が自動起動した(注8)(注9)

 主蒸気隔離弁が自動的に閉まり、原子炉の圧力が上がり始めた。

 午後2時52分、「原子炉圧力高(7.13MPa[gage])」を検知してICが自動起動した(注10)。これによって原子炉圧力が下がり始めた。

拡大福島第一原発1号機ICの配管や制御電源の系統構成=原子力規制委員会「東京電力福島第一原子力発電所 事故の分析 中間報告書」から引用
 「地震後にICが自動起動したことを中央制御室のパネルにて、3A、3Bのランプ表示に赤ランプが点灯し全開になっていることを確認した。また、他の弁のランプ表示も赤ランプが点灯し全開になっていることを確認した。ランプ表示と原子炉圧力の確認でICの状態を把握した。なお、中央制御室でも蒸気発生音は確認できた。」(保安調査(注11)
 「3A」というのは、A系のICが機能した際に炉内の蒸気が通る配管の途中にある4つの弁のうち、格納容器の外側にある戻り配管隔離弁のこと。「3B」というのはB系の配管の戻り配管隔離弁のこと。

 免震重要棟の対策本部の円卓にいた吉田所長。「少なくともICとかRCICについては、そういう操作をしているということについて、発電班長からの情報は聞いております。それは緊対室の白板に報告あったことを書いていますから」(注12)

 「ICの弁が開いていること、原子炉圧力が低下していたことを確認し、原子炉冷却材温度変化率55°C/hが守れないため、一旦ICを停止するためA系、B系の弁を閉めた。」(保安調査(注13)

 午後3時3分、ICを手動停止(注14)

拡大1、2号機の中央制御室にあったホワイトボード。「圧力はICにて制御中」との記載がある=東電提供
 「ICを一旦停止した後、ICにより原子炉圧力の調整を行うとの判断をし、原子炉圧力を6~7MPa程度に制御するよう、A系でコントロールした。追いつかなければB系も使うことを考えていた。手順書上は、1系統のみの運転について詳細な規定はなく、実際の操作は状況に応じて対応することとなっており、訓練により習得している。」(同上)

 「中央制御室では、津波襲来までの間で、監視パラメータは確認できており、原子炉は特に異常はなかった。またECCSも使用できる状態にあった。そのため、通常のスクラム対応(事故時運転操作手順書 事象ベース「I 原子炉編 第1章 原子炉スクラム事故(B)主蒸気隔離弁閉の場合」の操作)により収束に持っていけると思っていた。ICのB系も、特に異常はなかった。HPCIは特に異常はなく待機状態にあり、原子炉水位が低下してきたときに起動させることとしていた。」(同上(注15)

拡大免震重要棟にある緊急時対策室のレイアウト=政府事故調の中間報告(資料編)から抜粋して引用
 午後3時16分、中央制御室から免震重要棟の発電班に「原子炉水位、圧力はICにて制御中」と連絡。(東電事故調)

 午後3時17分、3A弁を開(=ICのA系を起動)。B系は停止のまま。

 午後3時19分、3A弁を閉(=ICのA系を停止)。B系は停止のまま。

 午後3時21分、発電班が対策本部円卓に「IC動作中」と報告。(東電事故調)

 「逐一、中央制御室にあるホットラインを通じて(免震重要棟の緊急時対策本部に)連絡していたが、具体的な内容は覚えていない。」(保安院保安調査(注16)

 午後3時23分、3A弁を開(=ICのA系を起動)。B系は停止のまま。

 午後3時25分、3A弁を閉(=ICのA系を停止)。B系は停止のまま。

 午後3時30分、3A弁を開(=ICのA系を起動)。B系は停止のまま。

 午後3時32分、3A弁を閉(=ICのA系を停止)。B系は停止のまま。

拡大福島第一原発に迫る津波=2011年3月11日(東京電力提供)
 免震重要棟の対策本部の円卓にいた吉田所長。「個別にICがどこで手動停止したかということについて、その時点では情報は入ってきていないです」(注17)

 午後3時36分、海水が1~4号機の敷地に侵入してきた。

 午後3時36分22秒、津波の第2波が4号機などの建屋に激突。(TBSテレビの生放送(注18)

拡大福島第一原発を襲った津波のしぶき=2011年3月11日、東京電力提供
 午後3時36分、A系非常用交流電源系統が機能を喪失。(原子力規制委の事故分析中間報告)

 午後3時37分、全交流電源が喪失。

拡大福島第一原発構内に侵入してきた津波=2011年3月11日、東京電力提供
 午後3時41分、原子力災害対策特別措置法第10条1項の対象となる「全交流電源喪失」が発生したとして当直から運転管理部長あてに報告(注19)

 午後3時42分に「全交流電源喪失」が発生したとして午後4時ごろまでに保安院などに原子力災害対策特別措置法10条に基づき通報(注20)

 中央制御室では、計器や機器の状態表示灯が消えていき、また、照明が消え最終的に非常灯のみとなる中、ICの隔離弁の状態表示灯も消灯した。このような中、当直長を含む複数の運転員はその後の社内調査に対して「ICが動作しているかどうかわからなかった」。(東電事故調)

拡大福島第一原発1号機の直流電源の位置=原子力規制委員会「東京電力福島第一原子力発電所 事故の分析 中間報告書」から引用
 「警報音も消え中央制御室は一瞬シーンとなった。最初は何が起きたか分からず、目の前で起こっていることが本当に現実なのかと疑いたくなる状況であった。その後、『海水が流れ込んで来ている』と大声で叫びながら、ずぶ濡れの運転員が戻ってきたことで、中央制御室の運転員は津波の襲来を確信した。」(東電事故調(注21)

 実際にはICはA系もB系も動作停止状態。

 中央制御室の運転員らは「五感を失っている」ような状況に陥った(注22)

 「中央制御室のランプ表示が次々に消える中で、ICの弁開閉表示も確認出来ない状態となり、(ICが)機能しているかどうかわからなくなった。」(保安院保安調査(注23)

 一方、東電事故調報告書の添付資料8-10「津波襲来直後の福島第一1号機非常用復水器(IC)の動作状態に対する認識について(注24)」によると、「津波襲来直前までICの隔離弁の開閉操作を行っていた運転員」のうちの一人は東電の社内調査に対して、「隔離弁(3A 弁)が閉の状態で電源を喪失した(=IC不作動)。その事を他の運転員に伝えた」と証言した。

 しかし、東電の社内調査では「他の運転員からは、この事実を記憶しているとの証言を得ることは出来なかった」という。

 午後3時37分に全交流電源喪失に陥った時点で、3A弁を操作した主機操作員は、「自らIC操作を行っていた」ことから、「ICは動作していない」と認識し、「3A弁閉操作後に電源が落ちて表示が見えなくなったと」と発話したとの事実が、新潟県の求めで2015年に東電が実施した追加聞き取り調査の結果として東電自身によって認定された。ただし、「全員が全電源喪失の原因究明に注意を奪われていたので、発話が認識されなかった可能性がある」とも推定された。(2015年11月25日、東電から新潟県への回答(注25)

拡大東日本大震災発生直後の福島第一原発1号機の炉圧のチャート=東京電力が2011年5月16日に公表したデータファイル「f1_2_Chart1」から抜粋して引用
 同じころ、当直副主任は「原子炉圧力が上昇中に記録停止したことをチャートで確認」し、「ICは動作していない」と認識。(同上)

 同じころ、当直主任は「電源喪失したことからICは動作していない可能性が高い」と認識。当直副長は主に2号機への対応の指揮をとっていたが、「ICの動作状況は不明」と認識。(同上)

 当直長は「IC隔離弁の開閉ランプ表示がなく、現場に運転員を派遣して確認することも出来ない状態であったとの理由から、ICの動作状況は不明であると認識した。動作不明の場合は安全側に仮定をおくべきことからICは殆ど動作していないと考えた」。(同上)

 当直長は「ICが止まった状態で全交流電源喪失になったとの報告を受けた記憶は無い」。主任に確認したが「わからない」との回答だった。3A弁を操作した運転員に直接確認はしなかった。(同上)

 免震重要棟の発電班の副班長は「津波到達前に当直長から『ICを使って1号機の原子炉圧力の調整をしている』と聞いてICが作動していると認識したまま、電源喪失になっ」た。「ICが使えなくなったという認識を持っていなかった」(発電班副班長(注26)

 発電班長は、ICは動作していると考えていた。(2015年11月25日、東電から新潟県への回答(注27)

 吉田所長は交流電源喪失の時点でIC作動中と認識(注28)
 「アイソレーションコンデンサ-(IC)とか、RCIC(2号機の冷却装置である隔離時冷却系)があれば、とりあえず数時間の時間幅は冷却ができるけれども、次はどうするんだということが頭の中でぐるぐる回っていた。」(吉田所長(注29)

 午後3時50分ごろ、中央制御室のホワイトボードに「計測電源断 水位不明」と書き込まれる(注30)

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 1号機にはICのほかに交流電源を駆動源としない注水ポンプとして「HPCI(高圧注水系)」が備えられていたが、「HPCIについては、制御電源である直流電源を喪失したために、起動不能と判断した。」(保安院保安調査)

 午後4時36分、原子力災害対策特別措置法第15条1項の対象となる「全給水喪失」が発生したとして当直から運転管理部長あて報告(注31)

 東電は「非常用炉心冷却装置注水不能」と判断し、午後5時ごろまでに、原子力災害対策特別措置法第15条に基づく「原子力緊急事態」として保安院などに通報(注32)。「原子炉水位の監視ができないことから注水状況が分からないため、念のために原災法15条に該当すると判断しました」。

 免震重要棟の対策本部の副本部長は、ICの動作状況について明確な報告がなかったため、15条通報の報告があってもICの動作状況を認識できなかった。(2015年11月25日、東電から新潟県への回答)

拡大福島第一原発の当直体制=政府事故調の中間報告(資料編)から抜粋して引用
 免震重要棟の対策本部や本店は、「発電班長からの報告の中で、ICの動作状況について明確な報告がなかったため、ICの動作状況を正しく認識しなかった」(2015年11月25日、東電から新潟県への回答)

 午後4時39分、東電が保安院に「IC動作中」「水位未確認」と連絡。(情報公開クリアリングハウス資料(注33)

 午後4時42分、水位計が復活。燃料の上端から2.5メートル高いところに水面(注34)。津波来襲前の4.19メートルより低くなっていた。(政府事故調中間報告(注35)

拡大免震重要棟にある対策本部円卓の座席配置=政府事故調の中間報告(資料編)から抜粋して引用
 午後4時45分、原子力災害対策特別措置法第15条1項の対象となる「全給水喪失」の発生の解除を当直から運転管理部長あて報告(注36)

 「発電所の本部で、16時45分前後ぐらいに一旦、1号機の水位が見えた。…水位が低下傾向にある。どんどん水位が下がっていっている。そのときに、技術班が評価をされて…1時間後にはTAF(燃料頂部)に(水位が)到達するというような評価をされているみたいなんです」(吉田所長における政府事故調の調べ官の発言(注37)

 この予測について発電班副班長は「聞いていたことは間違いないし、部長にもあげているはず」(発電班副班長(注38)

 一方、吉田所長は「聞いていない」(注39)

拡大非常用復水器の2つのタンクと配管=2014年2月26日に東京電力が1号機原子炉建屋内部を調査した際に撮影(東京電力提供)
 技術班長は、「ICに何らかの不具合がありそうだ」と認識したが、「水位低下の報告をしていること、及び、ICを作動させるための操作に取り掛かっていた」という理由で、所長に報告しなかった。(2015年11月25日、東電から新潟県への回答)

 本店は、情報が錯綜していたことに加え、ICの動作状況について明確な報告がなかったため、ICの動作状況を認識できなかった。(2015年11月25日、東電から新潟県への回答)

 「炉水位は、途中見えていなんですが、1回見えたときがあって、それであるんじゃないかという思い込みがあって、そこがさっきから言っているように、こちらから聞かなかったということに関して、私は、今、猛烈に反省しているんですけれども、少なくとも、現場がわからのSOS発信が、こちらに届いていなかったというのは、間違いなく私には届いていなかった」「1、2号中操(中央制御室)と…円卓(免震重要棟の緊急時対策本部)の情報伝達が極めて悪かったんです」(吉田所長(注40)

 午後4時44分、免震重要棟の発電班が屋外に出て1号機原子炉建屋のIC排気口(通称「豚の鼻」)を目視。「向かって左側 モヤモヤ出ている」(東電事故調(注41)

 午後4時55分、東電が1号機について「原子力緊急事態」通報の解除を保安院などに連絡した(注42)。「水位監視が回復したことから原災法15条事象を解除いたします」

拡大福島第一原発1、2号機の中央制御室で、懐中電灯で照らしながら計器データを確認する作業員=2011年3月23日昼、原子力安全・保安院提供
 午後4時56分、水位は刻々と下がり続け、14分間の下げ幅は0.6メートル。ICが効果を発揮している場合には考えられない低下傾向であるため、中央制御室の運転員は、ICが正常に作動していない可能性があると考えた。(政府事故調中間報告(注43)

 午後5時7分、原子炉水位が再び不明になる。原子力災害対策特別措置法第15条1項の対象となる「全給水喪失」が発生したとして当直から運転管理部長あてに再び報告(注44)

 午後5時12分、改めて「原子力緊急事態」を保安院などに通報し直した(注45)。「再び水位の監視ができないことから、注水状況がわからないため、念のため」

 午後5時19分ごろ、中央制御室のホワイトボードに「17°19’イソコン」と書き込まれる。「イソコン」というのはICの通称。「ICの胴側水位計を確認にいくことを書いたと思うが、正確に記憶していない。」(保安院保安調査)

拡大2015年2月21日に新潟県の「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」が福島第一原発1号機原子炉建屋4階を調査した際に撮影した非常用復水器=同委員会から東京電力に提供され、東電のウェブサイトに掲載された写真
 「原子炉建屋やタービン建屋などの現場では何が起きているかわからなかったため、まずは中央制御室での状況確認を進めた。その後、ICについては胴側の水位を確認するために現場に向かったが、線量が上昇していたことから確認出来なかった。」(保安院保安調査)

 午後5時19分、原子炉建屋4階にある非常用復水器のタンクの水位計などの確認のため、運転員が現場に向かった。しかし、原子炉建屋入り口付近で放射線測定器が通常より高い値を計測し、現場確認を断念した。(東電事故調最終報告125頁)

 午後5時50分ごろ、中央制御室のホワイトボードに「17°50’IC組撤収 放射線モニタ指示上昇のため。300cpm」「外側のエアロック入ったところで」と記入。
 「ICの胴側水位計を確認するために、現場に向かったところ、原子炉建屋の二重扉を一つ入ったところで放射線モニタの指示値がオーバースケールしたことを記載した」「放射線モニタの計測レンジはわからない。線量率についても、線量計を持っていなかったのでわからない。」(保安院保安調査(注46)

 「ICが停止しているとの認識の下で隔離弁を手動で開けに行ったとの証言はなかった。」(東電事故調添付資料8-10(4/5))

 発電班の副班長が1号機当直長から「ICを使っていると、復水器タンクの水がなくなるかもしれない」と相談を受けた。発電班の副班長は「ICを使っている」ということは「ICが作動している」ということだと認識。「当直がICの弁を閉めて停止させたとは考えていなかった」「引き続きICが動いているという認識しかもてなかった」(発電班副班長(注47)

 午後6時ごろ。「当直は、中央制御室において、制御盤上、IC(A 系)の供給配管隔離弁(MO-2A)、戻り配管隔離弁(MO-3A)の「全閉」を示す緑色表示ランプが点灯していることに気付き、同制御盤前に集まった。当直は、海水に浸っていたバッテリーの一部が乾いて表示ランプが点灯した可能性があると考えた。」(政府事故調(注48)

 運転員は、直流電源が失われたことで安全側への動作として「非常用復水器の配管破断」信号が発信され、その結果として「非常用復水器のすべての隔離弁が閉動作した」と考えた。(東電事故調最終報告126頁)

 主機操作員が、当直長に対して、表示が見え、ICの隔離弁が閉まっていると報告。(2015年11月25日、東電から新潟県への回答)

拡大2015年2月21日に新潟県の「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」が福島第一原発1号機原子炉建屋4階を調査した際に撮影した非常用復水器=同委員会から東京電力に提供され、東電のウェブサイトに掲載された写真
 午後6時18分、中央制御室でIC隔離弁の2A、3Aを開く操作。格納容器の内側の弁(1A、4A)が開いていることに期待しての操作だった。(東電事故調最終報告126頁)

 午後6時20分、中央制御室から免震重要棟の発電班に「2A、3A、全開とした」と連絡。

 午後6時21分、発電班が対策本部円卓で「ICラインナップ完了し注入開始」と報告。閉まっていた弁を開けたとは発話せず。(新潟県への東電説明(注49)

 運転員は、中央制御室の非常扉を開けて外に出てIC排気口「豚の鼻」の方向を見た。建屋に視界を遮られて「豚の鼻」そのものは見えなかったが、その方向から、少量の蒸気が発生しているのを確認した。しかし、ほどなくしてもう一度見たときには、蒸気の発生を確認できなくなった。運転員は「ICはほとんど機能していない」と考えた。

 中央制御室のホワイトボードに「蒸気発生確認」と書き込まれた(注50)

 午後6時24分、中央制御室から免震重要棟の発電班に「IC(A)動作確認」と連絡。

 午後6時25分、発電班が対策本部円卓で「IC作動確認」と報告。

拡大非常用復水器のタンクの間から見た北方向=2014年2月26日に東京電力が1号機原子炉建屋内部を調査した際に撮影(東京電力提供)
 午後6時25分、運転員は弁の一つ「3A」を閉めて、ICの作動を完全に停止させた(注51)

 当直長は免震重要棟の発電班に電話した。「ICを起動させたところ、蒸気の発生量が少量であったため、復水器タンクの水量が十分でない可能性があり、ICは機能していないのではないかと思う」(政府事故調)

 電話を受けた発電班の社員は逆に「ICを作動させることができるのだ」と前向きにこの話を受け取った。そして、「復水器タンクの水量が不十分であれば、補給すれば足り、その程度のことであれば、当直限りで対応可能だ」と思った(政府事故調(注52))。

 「ICの運転を続けると水の補給が必要であるが、FPライン(消火系配管)により補給可能であることが技術班から報告された」(注53)

 発電班は、ICを再起動させ、さらに手動で停止操作をしたということを知らなかった。当直長は、閉操作を発電班に連絡したかどうか記憶があいまい。(2015年11月25日、東電から新潟県への回答)

 ICを午後6時25分に完全に停止させたという最重要の事実については、発電班に報告されたことを示す記録がなく、吉田所長や本店には報告されなかったようだ(注54)。新潟県に対する東電の説明では「伝達されず」とされている(注55)

 午後7時3分、政府から「原子力緊急事態宣言」が発せられた。

 「電源が喪失しほとんどの注水系が使えない状況であり、早急な原子炉への注水を行うため、使えるものを探し、FP系(消火系配管)による原子炉への注水ライン構成を進めた。」(保安院保安調査)

拡大2015年2月21日に新潟県の「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」が福島第一原発1号機原子炉建屋4階を調査した際に撮影した非常用復水器=同委員会から東京電力に提供され、東電のウェブサイトに掲載された写真
 午後6時35分から午後8時30分ごろにかけて、運転員たちが原子炉建屋に入って手で弁を開け、配管のラインを構築する作業を進め(注56)(注57)(注58)、その状況を免震重要棟に報告していた。

 ところが、免震重要棟でその連絡を受けた発電班の東電社員は、その構築作業について原子炉への注水の準備ではなく、ICのタンクへの冷却水補給の準備であると誤解しているかのような受け答えを繰り返し、「当直長が何度訂正しても、十分な理解が得られなかったよう」だった(注59)

 保安院の職員が保安調査の一環で「IC及びHPCIの状態について、緊急時対策所へはどのように連絡していたか」と質問したのに対し、震災の年の11月20日、「1号機の対応にあたった東電職員」は「逐一、中央制御室にあるホットラインを通じて連絡していたが、具体的な内容は覚えていない」と返答した(保安院保安調査)。

 午後7時47分、東電本店で「福島第一原子力発電所のプラント状況について(午後7時現在)」と題するプレスリリースが配布された。「1号機においては、非常用復水器で原子炉内の蒸気を冷やしてます」と書いてあった(注60)。記者が「非常用復水器と原子炉隔離時冷却系は電気がいらないということなんですか?」と質問したのに対して、東電の社員が「はい。電気がなくても動く……」と答えた(注61)

 午後8時47分、小型発電機を使って中央制御室に仮設照明。(東電事故調最終報告128頁)

 午後8時50分、ディーゼル駆動消火ポンプ(DDFP)起動。

 午後9時ごろの時点で1、2号機の中央制御室には当初の24人に加えて、他の勤務帯のメンバーやその他の班のメンバーらが合計17人、応援に入っていた(注62)

 午後9時2分、「IC動作中」と福島県や保安院に連絡(注63)

 午後9時過ぎの時点で東電は「炉心は健全である」と考えていた(注64)

拡大1、2号機中央制御室。事故当時に運転員が制御盤に記した原子炉水位の値がそのまま残っていた(左)=2014年2月26日午前、東京電力福島第一原発、代表撮影
 午後9時19分、仮設バッテリーで4時間余ぶりに1号機原子炉の水位計を仮復旧。燃料棒の上端より20センチ高い水位であることを指し示していた(注65)

 午後9時19分、発電班が対策本部円卓で「1号、水位が見えてきた。TAF+20センチ程度。ICはDDFPにて補給できるようライン形成する」と報告。新潟県への東電の説明によれば、「正しく認識されていない」(注66)

 「水位がある」という報告を聞いて、吉田昌郎所長はそれを信じ、ほっとした。吉田所長は、1号機の非常用復水器について「やはり生きているんだ」と誤認し、「水位がある程度確保されているから大丈夫かな」と思った(注67)

拡大核燃料の頂部より水位が高いことを示す値が水位計の右横にメモされていた。実際には水位計は機能しておらず、偽りの値だったことがのちに明らかになる=2014年4月15日、福島県大熊町の東京電力福島第一原発、代表撮影
 「本当は、その時点でICは大丈夫なのかということを何回も私が確認すべきだった…そこは思い込みがあって、水位がある程度確保されているから大丈夫かなと思っていた部分があります。…SOSが来なかったんです。…SOSが来ていれば、人の手配するなりなるんですけれども」(吉田所長(注68)

 運転員は資料を調べて知識を補充し、約10時間分の冷却水がICに蓄えられていたと認識。

 午後9時30分、運転員は再び3A弁を開けた(注69)。蒸気が放出されるような音が聞こえたが、間もなく聞こえなくなった。「やはりICは正常に機能していない」と運転員は考えた(注70)

 午後9時30分、中央制御室から発電班に連絡。「21:30 3A開」

 午後9時34分、発電班は「IC 凝縮水噴き出し確認!」と認識。

 発電班副班長は「私は、この時点でも、ICが作動していると認識した」「少量の蒸気だったと聞いたことから、ICが使えるという割には、復水器の水が少ない可能性もあるのではないかという印象を持っていた」(政府事故調に対する発電班副班長の説明(注71)

 午後9時35分、発電班が対策本部円卓で「1号水位TAF+45センチ。ICへDDFP(ディーゼル駆動消火ポンプ)により補給中」と報告。新潟県に対する東電の説明では「正しく伝達されていない」とされている(注72)

拡大3月11日午後11時ごろの建屋内の放射線量が書き込まれた1、2号機中央制御室のホワイトボード=東電提供
 午後9時51分、原子炉建屋に入った運転員の線量計がごく短時間で0.8mSvになり、現場確認を断念。いったん原子炉建屋への入域を禁止(注73)

 午後10時、水位計測値が+0.55メートル。

 午後10時3分、中央制御室から免震重要棟の対策本部に状況を報告。対策本部が放射線量測定のために保安班2人を現場に派遣。

 吉田所長は「ICは動いている」「水位は一応プラスある」と思いつつ、「線量が上がっている」ということから「何かおかしい」と思い始めた(注74)。「水位がおかしいのか、何かおかしいんだろう」

 午後10時11分、東電本店で「福島第一原子力発電所プラント状況等のお知らせ(3月11日午後9時現在)」と題するプレスリリースを記者たちに配布。広報部の吉田薫部長が「1号機ですが、原子炉を停止しまして、非常用復水器で原子炉蒸気を冷やしている状況です。格納容器内での冷却材の漏洩はないと承っております」と説明。

 午後10時11分、水位について「+450mm近辺にある」と福島県などに連絡。

 午後10時20分、水位計測値が+0.59メートル。

 午後10時21分、「22時00分現在の水位は+550mm」「IC動作中(21:30減圧開始3A弁開)」「中間照明確保(仮設設置)」と福島県や保安院に連絡(注75)

 午後10時30分過ぎ、東電本店の記者会見で「水位は確認されています」と明らかにした。記者に「十分な余裕がある?」と尋ねられると、東電社員は「燃料は(水面上に)出ていない」と答えた。「1号の場合は水氷タンクがあって、そのなかを(水蒸気を)通して戻してやる、要は、冷たいところを通して蒸気を(水に)戻してあげる、シンプルな系統になってまして、そちらのほうが、まぁ、機能している」

 午後11時、保安班から報告。タービン建屋1階北側の原子炉建屋二重扉前で毎時1.2ミリシーベルトの線量を計測。原子炉建屋内の線量は毎時300ミリシーベルト程度と推定された(注76)

拡大1、2号機の中央制御室にあったホワイトボード。3月11日午後11時5分に1号機の原子炉建屋に入ることが禁止されたと書かれている=東電提供
 午後11時5分、所長が原子炉建屋への入域の禁止を指示(注77)

 午後11時ごろ、吉田所長は「これは何か変なことが起こっている。ICが止まっているのか」と「疑心暗鬼になり始め」た(注78)

 「この一連の中では、ICについて言えば…システムが生きているというふうにずっと思っていましたし、こういう操作(ICの弁の開け閉め)をしているという情報が円卓の中には入ってきていない」(吉田所長(注79)

 「現場からも、ICの運転状態については共有されるような情報は入ってきていなかった。それから、今、おっしゃった情報班の話は、私のそのときの記憶から欠落している。何で欠落しているのか、本店といろいろやっていた際に発話されているのか。逆に言うと、こんなことは班長がもっと強く言うべきですね」(吉田所長(注80)

 「本部ではICは稼働していると認識しており、部長や所長からICの稼働状況について確認するように指示を受けた記憶はない。」(発電班副班長(注81)

 午後11時49分、「1号機タービン建屋内で放射線量が上昇している。タービン1階北側1.2mSv/h、タービン1階南側0.5mSv/h―23時のサーベイ結果 原因調査中」と福島県などに連絡。

拡大1、2号機の中央制御室=2014年4月15日、福島県大熊町で、代表撮影
 午後11時50分、小型発電機を使って圧力計に電気を通したところ、1号機格納容器の圧力は600キロパスカル[abs]に上り、最高使用圧力の528キロパスカル[abs]を大きく超えていた(注82)。吉田所長はこれを聞いて、ICが動作していないかもしれないと考えた(注83)。「ICが正常に機能しておらず、原子炉水位が相当低下し、炉心の損傷が相当進んでいるはずだ」(注84)、「水位計は信用できない」「中はひどい状態になっている可能性が高い(注85)」と考えた。

 12日午前0時現在、東電が1号機について「非常用復水器で原子炉蒸気を冷やしている状況です」と発表。

 12日午前零時6分、吉田所長がベント準備を指示。

 首相官邸にした班目春樹・原子力安全委員長は「事態は思ったより、ずっと早く進んでいるのかもしれない」と緊張。
 「私としても、圧力上昇の理由が分からなくて、混乱していました。この段階では1号機は電源を失っても重力で自然に水が循環するICで炉心が冷却されている、と考えていたからです。さては、ICが止まってしまったのだろうか。(中略)ICが止まってしまっているとすれば、すぐ空焚きになって、炉心の核燃料が溶けてしまいます。いわゆるメルトダウンです。」(『証言 班目春樹 原子力安全委員会は何を間違えたのか』、聞き手・岡本孝司・東京大学大学院工学系研究科教授、63~64頁)

拡大2015年2月21日に新潟県の「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」が福島第一原発1号機原子炉建屋4階を調査した際に撮影した非常用復水器=同委員会から東京電力に提供され、東電のウェブサイトに掲載された写真
 12日午前零時57分、零時30分現在の情報として、「IC動作中(21:30減圧中3A開、IC(A)胴側に消火系で給水中)」「水位は燃料頂部から+1300mm」と福島県などに連絡(注86)

 12日午前1時ごろ、東電本店の記者会見で「ICで蒸気を冷やしております」という従来の発表をそのまま繰り返した。

 12日午前1時20分、東電が「格納容器圧力異常上昇」を経産省に通報。

 バルブを開けて格納容器の内部からガスを抜くベントが検討される。

 12日午前1時半ごろ、1号機と2号機のベントの実施について、政府に申し入れ、了解を得た。

 12日午前1時48分、ディーゼル駆動消火ポンプ(DDFP)の燃料切れを確認。燃料を補給しても起動させられず。

 12日午前3時6分、東電の小森常務は「1号機はICが作動している」「2号機のほうが厳しい」という誤認識のまま経産省で記者会見し、記者らとの間で、とんちんかんな質疑応答(注87)。「1号機につきましては蓄圧タンクのようなものがございまして、そこから水が入るということが期待できる」「そこの蓄圧タンクのほうの水にも、注水で水をメイクアップしているということを続けております」と述べた(注88)(注89)。記者たちの状況判断のほうが、小森常務のそれより、実情に近かった。

拡大消防車による注水=2011年3月16日に撮影され、東京電力が2011年6月20日に公表した写真
 12日午前4時ごろ、消防車を使った代替の原子炉注水を開始(注90)

 12日午前4時4分、発電所構内の南端にあるモニタリングポスト8番の付近で放射線量が0.13マイクロシーベルトに上昇。午前4時5分、福島第一原発正門付近の放射線量が毎時0.06マイクロシーベルト台から0.16マイクロシーベルトに上昇した(注91)

 12日午前4時15分ごろ、中央制御室の入り口付近で毎時0.15ミリシーベルト。

 12日午前4時15分、東電が「非常用復水器で原子炉蒸気を冷やしておりましたが、現在は停止しています」と発表(注92)

 12日午前4時40分、正門の放射線量が毎時0.69マイクロシーベルトに上昇(注93)

 12日午前5時44分、政府から周囲10キロ圏内の住民に避難が指示される。それまでは3キロ圏内だったが、1号機の圧力上昇を受けて、広げられた。

 12日午前7時11分、菅直人首相が福島第一原発を訪問(午前8時4分まで滞在)。

拡大B系の非常用復水器と原子炉格納容器側壁の隙間=2014年2月26日に東京電力が1号機原子炉建屋内部を調査した際に撮影(東京電力提供)
 12日午前8時31分、福島県や保安院に対して、7時55分現在の状況として、「IC動作中(21:30減圧中3A開、IC(A)胴側への消火系供給は停止中)」「水位は-100~+200mm 安定中」「3000リットル注入完了(1000L/回)(7:55) 消防車を用いて、濾過水タンクから注入し、D/DFPのラインを用いてCS系から注入」と連絡(注94)

 12日午前9時過ぎ、運転員がベント弁を現場で手動で開けるため、ボンベの空気で呼吸できるようにする「セルフエアーセット」や耐火服の装備を整えて出発。しかし、開けなければならない二つの弁のうち一つについては、放射線量が高すぎて近づくことができず、人力で開けるのはあきらめなければならなかった。

 12日午後、中央制御室にいた研修生2人が免震重要棟に移動(注95)

 12日午後1時14分、福島県や保安院に対して、零時55分現在の状況として、「IC動作中(21:30減圧中3A開、IC(A)胴側への消火系供給は停止中)」「水位は-1700mm、-1500mm 安定中」「21000リットル注入完了(総量)(9:40)その後も注入を実施している」と連絡(注96)

 12日午後2時ごろ、仮設の空気圧縮機を設置したところ、ドライウェル圧力が低下していることを午後2時30分に確認し、「放射性物質の放出」と判断した、と福島県などに連絡。

拡大1号機原子炉建屋が爆発した当日に福島第一原発の事務本館の東側の高台から撮影された1~4号機の原子炉建屋=2011年3月12日に東電社員が撮影し、2012年9月11日に東電が公表した写真
 12日午後3時36分、原子炉建屋が爆発。

 「中央制御室では、爆発の原因及び影響がわからない状況の中で、運転員の身の危険が考えられたため、当直長、副長、主任はデータ採取と現場対応に必要な要員として中央制御室にとどまり、比較的若手である残りの副主任、主機操作員、補機操作員は免震重要棟へ移動した」(東電事故調最終報告116頁)

 中央制御室には、当直長ら10人が残り、約30人が免震重要棟に移動(注97)

 12日午後6時25分、政府が20キロ圏の住民に避難を指示。

 12日午後7時4分、消防車を使った原子炉注水を再開。津波残り水を使用。

拡大記者会見する東京電力の藤本孝副社長(左端)、小森明生常務(左から2人目)、高橋毅・原子力運営管理部長(同3人目)ら=2011年3月12日午後8時47分、東京都千代田区内幸町の東電本店3階で
 12日午後9時1分、東電・小森常務が記者会見の途中、「20時20分に海水を入れて、とにかく水で冷やすということを開始しているという情報が入ってきました」と発表(注98)。実際には午後7時4分に海水注入は始まっていた。

 13日午前5時31分、「消火系ラインを用いて海水注入中」と保安院に連絡(注99)。「IC動作中」の表現がやっと消えた。

 15日午前6時過ぎ、2号機の圧力抑制室が損傷した可能性があると考え、要員が「中央制御室から一旦免震重要棟に移動した」(東電事故調最終報告116頁)

 15日午前11時頃、「中央制御室に戻り、交替による監視を再開した」(東電事故調最終報告116頁)

拡大2015年2月21日に新潟県の「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」が福島第一原発1号機原子炉建屋4階を調査した際に撮影した非常用復水器=同委員会から東京電力に提供され、東電のウェブサイトに掲載された写真
 4月8日午前、東電本店の記者会見で「蒸気を凝縮さして水に戻すという装置(IC)がある程度機能してたと思いますが、何らかの原因で12日の7時くらいからそのシステムが機能しなくなって水位が下がっていっているものと思われます」と説明。記者会見した東電の技術者はICについて「詳しくない」と言い、その和訳を問われて「分からない」と言い、時間をおいて初めて「アイソレーション・コンデンサーの日本語名ですが、非常用復水器だそうです」と返答した(注100)

 5月11日、1号機の水位計を現場で直した結果、実際の水位は読み取り不可能なほどに低く、それまで読み取って公表していた値は実際の水位より3メートル以上も高かったことが判明。5月12日に発表(注101)

 5月15日、燃料棒の上のほうだけではなく、すべての燃料が事故発生当初の早い段階で崩落していたとの解析結果が東電から明らかにされた(注102)

 5月16日夜、東電が発表した「各種操作実績取り纏め」の時系列では(注103)、3月11日午後9時35分の時点で、ICを長持ちさせるため、復水器タンクへの冷却水補給が既設のディーゼル消火ポンプによって行われていたが、3月12日午前1時48分までにポンプ不具合でそれが停止した、と明記されていた。

 5月16日夜、東電本店の記者会見で、原子力・立地本部の松本純一本部長代理は、3月11日から12日にかけてICが機能したかどうかについて「詰めきれていない」と述べるとともに、3月12日未明までは機能した可能性があるかのような説明を維持(注104)

 7月22日、吉田所長が政府事故調の事情聴取を受け、次のように述べた。

 「1号機のICについては、私は1号機の水位計が途中で生きていて、TAF+ l,370、要するに、水位があるという報告があったものですから、そとを見て、ICは働いているだろうと思っていたということで、どういう操作を当直がやっていたか、細かくは全然把握していないということです。」(注105)

 8月8~9日、吉田所長が政府事故調の聴取に「伝言ゲームで、何かおかしく伝わってくることが何回もありました」と述べた。(吉田所長(注106)

 8月17日、毎日新聞が政府事故調の調べの内容を特ダネ報道。

 「非常用復水器(IC)が一時運転を中断していたものの、吉田所長ら幹部がそのことを把握せず、ICが稼働しているという前提で対策が検討されていたことも判明。事故調の聴取に吉田所長は『重要な情報を把握できず大きな失敗だった』などと話しているという」

 10月18日、ICの復水器タンクの水位を現場で調べたところ、冷却水の大部分は消費されることなく残っていることが判明(注107)(注108)

 11月6日、吉田所長が政府事故調の聴取に次のように述べた。

 「今、反省すると、運転の状態がほとんど、申し訳ないけれど本部の中で共有されていなかったんです(注109)
 「私は本店に対しても、こいつら、ぼけかと思っていたんですが…そこは極めて今も反省ですけれども、コミュニケーションが取れていなくて、現場の状況が本当に私も最初の半日ぐらい、想像できなかったです(注110)
 「ICに関して言うと、1、2号の当直員以外はほとんどわからないと思います。…ものすごく特殊なシステムで、はっきり言って、私もよくわかりません」「ICの操作に関するサジェスションなどというのは本店からは一切なかったですね(注111)

拡大A系非常用復水器の現場水位計=2014年2月26日に東京電力が1号機原子炉建屋内部を調査した際に撮影(東京電力提供)
 12月18日、所長に次ぐ上級幹部である福良昌敏ユニット所長がNHKの取材に対し、ICについて「動いていると思っていました」「逆に、止まったということになれば、おそらく『止まった』という情報が上がってくるんだろうというのは何となく頭にありました」と答える様子が放送された(注112)

 12月26日、政府事故調が中間報告を発表(注113)。津波襲来後にICがほとんど機能しなかったこと、東電がIC動作状況を誤認していたことを明らかにし、吉田所長ら免震重要棟の対策本部と本店の双方を厳しく批判した。

 「注水作業が遅れた主たる原因の一つに、発電所対策本部及び本店対策本部におけるICの作動状態に関する誤認識が挙げられる。」(注114)
 「発電所対策本部及び本店対策本部が、フェイルセーフ機能によるIC隔離弁の開閉状態を正しく理解し、あるいは、当直から寄せられた情報を正しく評価していれば、津波到達からほどなくして、ICが十分な機能を果たしていないことに気付くことは可能であった。そして、発電所対策本部及び本店対策本部が、ICの作動状態を正しく認識していれば、崩壊熱が大きい原子炉スクラム停止から間がないうちにICが機能しなくなり、1号機が極めて危険な状態にあることもまた認識できたはずであり、そうであれば(中略)1号機原子炉への代替注水がなされない状態を継続させたとは到底考えられない。結局、発電所対策本部がICの作動状態に関する認識を誤っていたが故に、1号機原子炉の危機的な状況についての認識が遅れ、本来1号機に向けるべきであった危機意識が不十分であったことにより、原子炉減圧及び代替注水の実施に関する判断が遅れた可能性がある。」(注115)
 「仮にその認識の誤り(発電所対策本部及び本店対策本部がICの作動状態を正しく認識していなかったこと)がなければ、1号機への代替注水手段をもっと早く講じる中で、原子炉格納容器ベントについても、より早く実施に向けた具体的準備が開始された可能性はあると考えられる。」(注116)
 「発電所対策本部は、当直から、ICの作動状態に関する情報が入れば、これに基づきICの作動状態を評価し、反対に、かかる情報が入らなければ、積極的に当直に連絡を取って情報を収集することは十分可能であり、かつ必要であったと言わなければならない。」(注117)
 「1号機のICの作動状態という最も基本的かつ重要な情報について誤認識していたことをやむを得ないと容認することは許されないであろう。まず、非常事態下において、複数の情報が錯綜するのは当然のことであって、その時々の状況を踏まえ、何が重要な情報かについて適切に評価・選択することになる。」(注118)
 「津波到達直後、プラントパラメータがほとんど計測できない状況の中で、唯一、「冷やす」機能を果たすことが期待されたICの作動状態に関する情報は、冷温停止に向けた対処を検討する上で基本となる最重要情報であった。かかる情報を見落とせば、対応が後手に回ることは自明であり、取り返しのつかない誤った対応につながるおそれすらあったのである。」(注119)
 「全電源喪失という非常事態においては、何を差し置いても炉心冷却のための措置を取るべきことは明白であるにもかかわらず、発電所対策本部及び本店対策本部は長時間にわたりIC(非常用復水器)の作動状況を誤認し、そのため代替注水を急がせなかったのみならず、格納容器ベントの発出も遅くなった。換言すれば、ICの作動状況の誤認が1号機への対処の遅延の連鎖を招いたともいえよう。(注120)

 政府事故調の中間報告は、免震重要棟の対策本部や本店だけでなく、ICの作動状況を対策本部に明確に分かるように伝えなかった1号機の当直長も厳しく批判した。

 「このような場合、情報の重要性に鑑みて、当直長は、発電所対策本部発電班の担当者の誤解を解くまで十分説明すべきであったし、「ICは隔離弁を閉じたことにより作動しておらず、D/DFPを用いて原子炉注水をする必要があるが、減圧操作に必要なSR弁開操作用のバッテリーがないので発電所対策本部で支援して欲しい。」旨明確に説明すれば、その誤解を解くことも容易であったと思われる。しかし、発電所対策本部発電班で1号機に関する報告を受けていた者は、かかる明確な説明を受けていないと供述しており、現実に、発電所対策本部内部で、この頃、1号機に関し、代替注水に向けた具体的準備がなされた形跡は認められない。」(注121)

 2012年6月20日、東電が事故調査報告書とその添付資料を発表し、次のように振り返った(注122)

 「地震発生後に非常用復水器(IC)が起動しているとの情報を受けた以降、発電所対策本部ではICが停止したとの情報がなかったこと、ICからの蒸気発生を確認したとの情報があったこと、原子炉水位が有効燃料頂部を上回っていたことなどの情報から、ICが停止していたことを把握するに至らなかった。また、本店対策本部でも地震による被害状況の把握等の初期の混乱や原災法に基づく特定事象発生という事態の中で国等外部機関への情報提供等を余儀なくされる中、IC作動中との情報もあり、停止しているとの認識に至らなかった。」
 「ICが動作している可能性を否定する情報が正しく認識されていない(伝達されていない)可能性がある」
 「ICの操作情報が操作の結果として報告される等により、中央制御室と発電所・本店対策本部間で徐々にICの動作状況に対する認識の相違が起こり、発電所・本店対策本部ではICが動作していると認識し続ける結果となったと推定される」

 2015年8月31日、国際原子力機関(IAEA)が福島第一原発事故に関する事務総長報告書(IAEA Director General’s Report on the Fukushima Daiichi Accident Pub1710-TV2-Web)を公表。その技術編の第2分冊(Technical Volume 2/5, Safety Assessment)がICに関する訓練の不備を指摘した。

 1号機の運転員らは、3号機のシミュレーターで訓練を受けており、したがって、そのシミュレーターは1号機を模擬したものではなく、ICは含まれていなかった。1号機の運転員のためには限定的なコンパクトシミュレーターしかなかった。(Operator training for Unit 1 was performed on a Unit 3 reference simulator, which did not include IC systems, and therefore did not correspond to Unit 1; only a limited scope (compact) simulator and plant analyser was available for Unit 1.)(注123)

 運転員の訓練のためのシミュレーターはICを備えておらず、人員はICを操作した経験もなかった。(In addition, the simulator used for operator training did not include the isolation condenser, nor did personnel have experience operating the system.)(注124)(注125)

拡大新潟県の「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」=2015年8月31日午後、新潟市中央区新光町の新潟県庁西回廊講堂で
 2015年8月31日、新潟県が「ICの状態を把握していれば事故の被害を軽減できた可能性がある」として、ICの動作状況に関する認識を1号機の中央制御室にいた個人ごとに示すよう東京電力に要求した(注126)

 2015年11月25日、東京電力が追加聞き取り調査の結果を新潟県に報告。IC動作状況に関する中央制御室内の意思疎通の行き違いが初めて明らかになった。

 ▽注1: 気象庁、顕著な地震の観測・解析データ、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震。http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/2011_03_11_tohoku/
 ▽注2: 東京電力、2012年6月20日、福島原子力事故調査報告書(東電事故調最終報告書)106頁。http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0303.pdf#page=127
 ▽注3: 東京電力、2012年6月20日、福島原子力事故調査報告書(東電事故調最終報告書)添付資料6-1(1)(1/2)。http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0306.pdf#page=121
 ▽注4: 東電事故調最終報告書114頁。http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0303.pdf#page=135
 ▽注5: 東電事故調最終報告書別紙2、主な時系列2頁。http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0305.pdf#page=4
 ▽注6http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/137/862/20150108shiryou1kaitei,0.pdf#page=5
 ▽注7: 原子力安全・保安院、「福島第一原子力発電所の事故に係る保安調査について」、http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3532877/www.nisa.meti.go.jp/shingikai/800/28/003/sankou3-3.pdf#page=3。当時1号機で対応にあたった東電職員を対象に保安院が2011年11月20日に福島第一原発でヒアリングした結果であるという。同月25日に経産省で開かれた「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見に関する意見聴取会(第3回)」で「参考資料3」として配布された。
 ▽注8: 東電事故調最終報告書106頁。http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0303.pdf#page=127
 ▽注9: 1号機警報発生記録等データ、http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/plant-data/f1_3_Keihou1.pdf#page=8http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/index10-j.html
 ▽注10: 東電事故調最終報告添付資料6-1(8)(1/4)、http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0306.pdf#page=132
 ▽注11http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3532877/www.nisa.meti.go.jp/shingikai/800/28/003/sankou3-3.pdf#page=4
 ▽注12http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/020_koukai.pdf#page=13
 ▽注13http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3532877/www.nisa.meti.go.jp/shingikai/800/28/003/sankou3-3.pdf#page=3
 ▽注14http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0306.pdf#page=133
 ▽注15http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3532877/www.nisa.meti.go.jp/shingikai/800/28/003/sankou3-3.pdf#page=5
 ▽注16http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3532877/www.nisa.meti.go.jp/shingikai/800/28/003/sankou3-3.pdf#page=6
 ▽注17http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/020_koukai.pdf#page=16
 ▽注18: 「プロメテウスの罠 内部告発者⑬」、2014年3月16日、朝日新聞。映像は、テレビユー福島の定点カメラが撮影し、TBSが生放送で全国に中継した。
 ▽注19: 1、2号機当直長引継日誌、http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/plant-data/f1_4_Nisshi1_2.pdf#page=7http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/index10-j.html
 ▽注20:  http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9370862/www.nsr.go.jp/archive/nisa/earthquake/plant/1/230617-1-1.pdf
 ▽注21: 東電事故調最終報告122頁。
 ▽注22: 東京電力、2011年12月22日、「福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における対応状況について(平成23年12月版)」別添「現場の声」
 ▽注23http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3532877/www.nisa.meti.go.jp/shingikai/800/28/003/sankou3-3.pdf#page=8
 ▽注24http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0306.pdf#page=345
 ▽注25http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/595/768/shiryoNo.2,0.pdf
 ▽注26http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai_3/423_koukai.pdf#page=3
 ▽注27http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/595/768/shiryoNo.2,0.pdf#page=2
 ▽注28http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/077_1_2_koukai.pdf#page=22
 ▽注29http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/020_koukai.pdf#page=21
 ▽注30: 1号機当直員引継日誌、http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/plant-data/f1_4_Nisshi1_2.pdf#page=22
 ▽注31: 1、2号機当直長引継日誌、http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/plant-data/f1_4_Nisshi1_2.pdf#page=7http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/index10-j.html
 ▽注32http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9370862/www.nsr.go.jp/archive/nisa/earthquake/plant/1/230617-1-1.pdf#page=2
 ▽注33http://clearinghouse.main.jp/web/hoanin_0001.pdf
 ▽注34: 東電事故調中間報告書90頁
 ▽注35http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/icanps/111226Honbun4Shou.pdf#page=18
 ▽注36: 1、2号機当直長引継日誌、http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/plant-data/f1_4_Nisshi1_2.pdf#page=7http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/index10-j.html
 ▽注37http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/350_koukai.pdf#page=3
 ▽注38http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai_3/423_koukai.pdf#page=3
 ▽注39http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/350_koukai.pdf#page=3
 ▽注40http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/020_koukai.pdf#page=32
 ▽注41: 東電事故調最終報告添付8-10(3/5)
 ▽注42: 原子力安全・保安院が公表している「東京電力(株)福島第一原子力発電所 異常事態連絡(事業者報告)」のうち2011年3月11日の分。http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9370862/www.nsr.go.jp/archive/nisa/earthquake/plant/1/230617-1-1.pdf#page=5http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9370862/www.nsr.go.jp/archive/nisa/earthquake/plant/1/plant-1-2303.html
 ▽注43http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/icanps/111226Honbun4Shou.pdf#page=27
 ▽注44: 1、2号機当直長引継日誌、http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/plant-data/f1_4_Nisshi1_2.pdf#page=7http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/index10-j.html
 ▽注45http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9370862/www.nsr.go.jp/archive/nisa/earthquake/plant/1/230617-1-1.pdf#page=5
 ▽注46http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3532877/www.nisa.meti.go.jp/shingikai/800/28/003/sankou3-3.pdf#page=10
 ▽注47http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai_3/423_koukai.pdf#page=4
 ▽注48: 政府事故調中間報告105頁。http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/icanps/111226Honbun4Shou.pdf#page=29
 ▽注49http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/54/418/20140804hosoku,0.pdf#page=4
 ▽注50http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/plant-data/f1_4_Nisshi1_2.pdf#page=23
 ▽注51: 政府事故調中間報告107頁
 ▽注52: 政府事故調中間報告113~114頁
 ▽注53: 東電事故調最終報告書別紙2(主な時系列)40頁
 ▽注54: 東電事故調最終報告書別紙2(主な時系列)40頁には「弁を閉操作したことは、発電所対策本部に伝わることはなかった」と断定的に書かれている。
 ▽注55http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/54/418/20140804hosoku,0.pdf#page=4
 ▽注56: 東電事故調最終報告書別紙2(主な時系列)41頁
 ▽注57: 東京電力、2011年12月22日、「福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における対応状況について(平成23年12月版)」27頁「福島第一原子力発電所1号機 注水に関する対応状況について」、http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/111222p.pdf
 ▽注58: 政府事故調中間報告128頁
 ▽注59: 政府事故調中間報告114頁
 ▽注60: 東京電力、福島第一原子力発電所>プレスリリース/ホームページ掲載情報、2010年度(平成22年度)、 http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/2010-j.html
 ▽注61https://judiciary.asahi.com/articles/2011051100015.html
 ▽注62: 東電事故調最終報告116頁。
 ▽注63http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9370862/www.nsr.go.jp/archive/nisa/earthquake/plant/1/230617-1-1.pdf#page=9
 ▽注64: 東京電力、福島原子力事故調査委員会中間報告書(東電事故調中間報告書)87頁(下から4行目)、2011年12月2日、 http://www.tepco.co.jp/cc/press/11120203-j.html
 ▽注65: 東電本店が公表した1号機のパラメーター。 http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/images/syusei_level_pr_data_1u.pdf
 ▽注66http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/54/418/20140804hosoku,0.pdf#page=4
 ▽注67http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/020_koukai.pdf#page=31
 ▽注68http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/020_koukai.pdf#page=31
 ▽注69: 東京電力、2011年12月22日、「福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における対応状況について(平成23年12月版)資料一覧」30頁、 http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/111222p.pdf
 ▽注70: 政府事故調中間報告104~108頁
 ▽注71http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai_3/423_koukai.pdf#page=5
 ▽注72http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/54/418/20140804hosoku,0.pdf#page=4
 ▽注73: 東電事故調最終報告書128頁。 http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0303.pdf#page=149
 ▽注74http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/020_koukai.pdf#page=35
 ▽注75http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9370862/www.nsr.go.jp/archive/nisa/earthquake/plant/1/230617-1-1.pdf#page=24
 ▽注76: 東電事故調最終報告書別紙2(主な時系列)53頁、東電事故調中間報告書46頁、87頁
 ▽注77: 東電事故調最終報告書128頁。
 ▽注78http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/020_koukai.pdf#page=35
 ▽注79http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/020_koukai.pdf#page=30
 ▽注80http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/350_koukai.pdf#page=7
 ▽注81http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai_3/080_koukai.pdf#page=4
 ▽注82: 原子力安全・保安院が公表している「東京電力(株)福島第一原子力発電所 異常事態連絡(事業者報告)」のうち2011年3月12日の分。http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9370862/www.nsr.go.jp/archive/nisa/earthquake/plant/1/230617-1-2.pdf
 ▽注83: 東電事故調最終報告書別紙2(主な時系列)54頁
 ▽注84: 政府事故調中間報告143頁
 ▽注85http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/020_koukai.pdf#page=35
 ▽注86http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9370862/www.nsr.go.jp/archive/nisa/earthquake/plant/1/230617-1-2.pdf#page=3
 ▽注87: 政府事故調中間報告147頁。http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/icanps/111226Honbun4Shou.pdf#page=71 
 ▽注88: 経済産業省、海江田経済産業大臣と東京電力(株)との臨時共同記者会見の概要。http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3486530/www.meti.go.jp/speeches/data_ed/ed110312j.html
 ▽注89http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/121214j0106.pdf#page=3
 ▽注90: 政府事故調中間報告131頁。http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/icanps/111226Honbun4Shou.pdf#page=55
 ▽注91http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110528d.pdf
 ▽注92http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/htmldata/bi1315-j.pdf
 ▽注93http://www.tepco.co.jp/cc/press/11031210-j.html
 ▽注94http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9370862/www.nsr.go.jp/archive/nisa/earthquake/plant/1/230617-1-2.pdf#page=26
 ▽注95http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/137/862/20150108shiryou1kaitei,0.pdf#page=5
 ▽注96http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9370862/www.nsr.go.jp/archive/nisa/earthquake/plant/1/230617-1-2.pdf#page=37
 ▽注97http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/137/862/20150108shiryou1kaitei,0.pdf#page=5
 ▽注98https://judiciary.asahi.com/articles/2011051200013.html
 ▽注99http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9370862/www.nsr.go.jp/archive/nisa/earthquake/plant/1/230617-1-3.pdf#page=2
 ▽注100: 2011年4月8日午前に開かれた東電本店の記者会見で原子力設備管理部の課長
 ▽注101: 東京電力、原子炉格納容器圧力計の校正、2011年5月12日、http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_110512_02-j.pdf
 ▽注102: 東京電力、当社福島第一原子力発電所1号機の炉心状態について、2011年5月15日、http://www.tepco.co.jp/cc/press/11051508-j.htmlhttp://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110515k.pdf
 ▽注103http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/index10-j.html#anchor06。2011年5月16日に発表された「各種操作実績取り纏め」だけでなく、2011年6月13日に公表されたその訂正(http://www.tepco.co.jp/cc/press/11061305-j.html)でも、同様の記載が維持されている。ディーゼル駆動の消火ポンプが、ICタンクへの冷却水補給ではなく、原子炉への注水のラインに用いられていたことは同年6月18日になって公表された(http://www.tepco.co.jp/cc/press/11061806-j.html)。
 ▽注104: 松本純一・原子力・立地本部長代理はこの記者会見でICについて「電源を失った後、どういうふうに操作をしたのか、あるいは、どういう状態だったのかにつきましては、まだ明確なところまでは詰めきれておりません」「アイソレーションコンデンサー(IC)をずっと動かすためには消火系から水をメイクアップ(補充)する必要があるんだろうと判断したうえで作業を開始したのではないかと思う」「ディーゼル消火ポンプで非常用復水器のほうに水が張れて、中の蒸気が通気状態になれば、原子炉は冷却状態になるということでございます。ただ、1時48分にはディーゼル駆動ポンプが不具合により停止したということですので、そこから先は非常用復水器が起動したとしても、非常用復水器内の水がなくなって機能としては不十分な状態ではなかったかというふうに考えております」と述べた。実際には「消火系から水をメイクアップ(補充)する必要があるんだろうと判断したうえで作業を開始した」というのは対策本部の誤解であり、そのような作業はなされていなかった。事故発生から2か月余を経た2011年5月16日に至ってもなお、中央制御室の当直長の認識が本店に伝わっていなかったことが、この松本本部長代理の発言から分かる。また、「非常用復水器が起動したとしても、非常用復水器内の水がなくなって機能としては不十分な状態」というのも誤りで、実際には相当量の水が残っていた。
 ▽注105http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/020_koukai.pdf#page=17
 ▽注106http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/077_1_2_koukai.pdf#page=23
 ▽注107: 東京電力、福島第一原子力発電所1号機非常用復水器の動作状況の評価について、2011年11月22日、http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_111122_02-j.pdf
 ▽注108: 東電事故調中間報告書添付10-5、「非常用復水器(IC)の胴側水位減少量に関する調査状況について」、2011年12月2日
 ▽注109http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/350_koukai.pdf#page=10
 ▽注110http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/350_koukai.pdf#page=8
 ▽注111http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10317644/www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/350_koukai.pdf#page=2
 ▽注112: 2011年12月18日(日) 午後9時15分から、NHK総合テレビ、シリーズ原発危機 メルトダウン ~福島第一原発 あのとき何が~。インタビューは同年12月11日に行われたとされる。
 ▽注113http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/icanps/post-1.html
 ▽注114: 政府事故調中間報告135~136頁。
 ▽注115: 政府事故調中間報告136頁。
 ▽注116: 政府事故調中間報告156頁。
 ▽注117: 政府事故調中間報告120頁。
 ▽注118: 政府事故調中間報告119頁
 ▽注119: 政府事故調中間報告120頁。
 ▽注120: 政府事故調中間報告473、474頁。http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/icanps/111226Honbun7Shou.pdf#page=9
 ▽注121: 同上114頁。http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/icanps/111226Honbun4Shou.pdf#page=38
 ▽注122http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0306.pdf#page=342
 ▽注123: pp.101, http://www-pub.iaea.org/MTCD/Publications/PDF/AdditionalVolumes/P1710/Pub1710-TV2-Web.pdf#page=112
 ▽注124: pp.141, http://www-pub.iaea.org/MTCD/Publications/PDF/AdditionalVolumes/P1710/Pub1710-TV2-Web.pdf#page=152
 ▽注125: なお、この件に関する取材に対して東京電力は次の通り回答した。「BTC(BWR運転訓練センター)や発電所内のサイトシミュレータでは代表的なプラント研修を考慮して炉型を選択したため、1号機モデルのシミュレータは導入されていませんが、当社には1号機モデルのコンパクトシミュレータを設置しておりました。当社1号機用コンパクトシミュレータは実機を模擬しており、ICを含む各系統の起動/停止操作、警報発生時対応および事故対応が可能でした」
 ▽注126http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/944/219/No.14.pdfhttp://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1356821342343.html

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 朝日新聞編集委員。
 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部などを経て特別報道部。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。
 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。近刊の共著書に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)。
 そのほかの著書として『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に 『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。
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