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オリンパス、中国コンサル疑惑の調査報告「経営陣には研修が必要」

オリンパスのコンプライアンスに関して同社長にインタビューを申し込んだ結果

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 中国でのコンサルタント報酬支払いをめぐる疑惑など不祥事のいくつかについて、記者はオリンパスの広報・IR部を通じて、笹宏行社長にインタビューを申し込み、質問内容を送った。しかし、笹社長の回答はなく、中国の件については広報・IR部が「調査の結果、速やかに開示すべき問題点は確認されなかった」と説明した。

拡大オリンパスの笹宏行社長
 その一問一答は以下の通り。

 ――笹社長にインタビューを申し込みたいと思います。インタビューが無理な場合には、笹社長のコメントをいただければ、と思います。

 いただいた質問を中心とした、社長インタビューについては、大変申し訳ないのですが、見送らせていただきます。

 ――浜田正晴さん(内部通報したところ左遷されたため、会社を提訴し、最高裁で勝訴が確定したものの、原職に戻れなかったオリンパス社員)と和解して1100万円を支払う件について、社長として、いかがお考えでしょうか。

 和解については、会社コメントとして広報部門からお答えしております。社長としてのコメントは差し控えさせていただきます。

 訴訟について、従業員との間で和解に至ったのは事実です。
 訴訟自体、長期(約8年)に及んでいたこともあり、平常化のために終了できたことに、当社としては一定の評価をしています。
 和解金額については、コメントを差し控えさせていただきますが、社内の平常化のための金額として、受諾可能と考えたものです。

 大変申し訳ないのですが、それ以上の会社としてのコメントは差し控えさせていただきます。

 ――米司法省と合意して743億円を支払う件について、社長として、いかがお考えでしょうか。

 米国司法省との合意については、会社コメントとして広報部門からお答えしております。社長としてのコメントは差し控えさせていただきます。

 当社は、米国およびその他すべての事業を展開する国々で、強固なコンプライアンスプログラムを実施してきており、今後もこれを強化し続けていく方針です。

 大変申し訳ないのですが、それ以上の会社としてのコメントは差し控えさせていただきます。

 ――中国シンセンの現地法人が税関当局とのトラブルを解決するため、笹社長ら経営陣の了解の下で2014年に現地のコンサルタントに4億円余を支払っています。この支払いについて、現時点で、社長として、いかがお考えでしょうか。

 ――この件に関して、社外取締役や社外の弁護士が調査委員会をつくり、社内調査を行い、昨年10月末にその報告書がまとめられたと聞いております。この報告書の中で、上記のコンサルタントについて、笹社長らは経営トップとして、率先してバックグラウンド(背景)を調査し、また、現地の担当者から直接事情を聞くよう指示するべきだったと指摘されているものと承知しています。これについてご見解を伺いたいと思います。

 ――上記のコンサルタントの関係者が過去に不正を行ったとして報道されたことについて笹社長は事前に報告を受けていたと指摘されていますが、なぜ、そのようなコンサルタントを起用したり、そこに支払いをしたりすることを承認したのでしょうか。

 ――上記のコンサルタントとの契約の内容は、「税関当局に支払わなければならない罰金額が3000万人民元(5億円前後)を下回った場合には、下回った額の8割がコンサルへの報酬となり、それを超えたときは逆に超過額の2割をオリンパス側が受け取る」という極端な成功報酬制になっており、それについて笹社長は事前に報告を受けていたとのことです。にもかかわらず、笹社長はなぜこの契約を承認したのでしょうか。

 ――上記の報告書の中で、笹社長も含め経営陣は、「どのように企業統治を機能させるか。不正が疑われる端緒を把握したときにどのように対応すべきか」などの点について研修を受けるべきであるとの提言がなされていると聞いております。この研修をすでに受けましたか?

 個別の調査案件ついては、会社コメントとして広報部門からお答えしております。 社長としてのコメントは差し控えさせていただきます。
 中国(シンセン)の件については、社外取締役と社外弁護士で構成する調査委員会の調査が終了しました。それは事実です。
 その結果、速やかに開示すべき問題点については確認されませんでした。また、調査報告の時期や内容についても、開示しておりません。ご理解・ご了承ください。
 大変申し訳ないのですが、それ以上の会社としてのコメントは差し控えさせていただきます。

 ――上記の支払いについて、2月12日、シンセンの現地法人の幹部だった社員が処分を受けました。笹社長ご自身の責任はこれについてどのように処断されたのでしょうか?

 個別の調査案件については、会社コメントとして広報部門からお答えしております。社長としてのコメントは差し控えさせていただきます。
 当社では人事情報については社内通達という仕組みがありますが、一定の階層(部長クラス)以上の異動のみ、社外向けに情報開示しております。その他の情報については、個人・個別の案件でもあり、社外秘扱いとして開示しておりません。
 大変申し訳ないのですが、個別の内容については、コメント等を差し控えさせていただきます。

 ――2015年に入ってからもシンセンの現地法人は税関の担当官に10万円余相当の贈答をしたり、簿外の資金を裏帳簿で管理していたりしていたとのことです。これについて、社長として、いかがお考えでしょうか。

 個別の調査案件については、会社コメントとして広報部門からお答えしております。社長としてのコメントは差し控えさせていただきます。
 その他の件については、現在も調査を進めていますが、現時点では開示すべき問題点はない、と認識しています。

 ――2012年に笹社長ら新経営陣が発足した後も、企業倫理を問われ続けて4年弱が経過しました。これについて、いかがお考えでしょうか。

 ――企業統治やコンプライアンスについて企業トップとしての肉声が聞こえてこないとの評を社内外で聞くのですが、これについて、いかがお考えでしょうか。

 会社コメントとして広報部門からお答えさせていただきます。社長としてのコメントは差し控えさせていただきます。
 当社は、強固なコンプライアンスプログラムを実施してきており、今後もこれを強化し続けていく方針です。

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 朝日新聞編集委員。
 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部などを経て特別報道部。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。
 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。近刊の共著書に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)。
 そのほかの著書として『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に 『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。
 ツイッターはhttps://twitter.com/okuyamatoshi
 ご連絡は okuyama-t@protonmail.com、または、okuyamatoshihiro@gmail.comに。メールの内容を暗号化する場合はPGPで。パブリックキーのIDは7D2BAD43550EAD96

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