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深掘り

内部告発 in アメリカ

(4) 「内部告発者へのサービス」をビジネスに 巨額の報奨金で

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

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 米フロリダ州の会計士ジョン・シリングさん(46)は2007年10月、「エシックソリューションズ」(倫理解決)という名前の会社を設立した。

 業務の柱は「内部告発者サービス」。病院の不正を内部告発するかどうか思案する人の相談にのる。内部告発者になるとはどういうことか、どのようにして弁護士を見つけ、政府と協働するか……。

 同社のホームページには「私たちは成功した内部告発者です」とある。「私たちの豊富な経験で、あなたが不正を是正・通報するのを指導・支援できます。私たちには現実の世界での経験があります」

 シリングさんは、勤め先だった大手病院チェーンの健康保険不正請求を政府に内部告発して、もう一人の別の内部告発者とともに計1億ドル(100億円超)の報奨金を受け取った。そして、取り分のうち4割を弁護士報酬に回したという。巨額の報奨金が入る可能性がある内部告発者訴訟を支援するサービスはビジネスの対象にもなりうるのだ。

 内部告発者に報奨金を渡す制度の導入を日本に勧める意見もある。

 大阪市の繊維メーカー「東洋紡」を相手取った訴訟で原告の内部告発者の代理人を務めるスティーブン・コーン弁護士は、ワシントンDCの非営利組織「全国内部告発者センター」の事務局長でもある。「真に内部告発者を保護すべきだと考えるならば、この制度を持つべきだ」

 そして、コーン弁護士は付け加えた。「日本の人も、米国政府との契約でウソをついている日本企業を内部告発すれば(米国の制度で)報奨金を得られる可能性がある。そうした不正請求を知る人はどなたでも私たちにご連絡を」

  ▽筆者:奥山俊宏

  ▽この記事は2008年10月3日の朝日新聞朝刊の第3総合面に掲載された原稿に加筆したものです。

  ▽内部告発 in アメリカ(1):  億万長者になった「スパイ」、病院チェーンの不正請求を政府に

  ▽内部告発 in アメリカ(2):  公金1兆3千億円を回収、内部告発者の協力で

  ▽内部告発 in アメリカ(3):  日本企業も被告、内部告発者が原告となり、米司法省も訴訟参加

  ▽内部告発 in アメリカ(5):  「日本も通報者にメリットを」との意見も

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 朝日新聞編集委員。
 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部などを経て特別報道部。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。
 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。近刊の共著書に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)。
 そのほかの著書として『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に 『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。
 ツイッターはhttps://twitter.com/okuyamatoshi
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