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深掘り

コンプライアンス春秋  日本経営倫理士協会から

2011年コンプライアンスニュース、オリンパス、東電、大王……

経営倫理士アンケート「2011年コンプライアンス重要ニュース」

 日本経営倫理士協会(ACBEE)は、経営倫理士を対象に「2011年コンプライアンス重要ニュース」をアンケートした。昨年に続く2回目の年末調査で、無作為抽出した経営倫理士150人を対象にした。オリンパス(巨額損失隠し)、東京電力(原発事故)、大王製紙(巨額不正融資)、九州電力(やらせメール)の4事例に回答が集中した。

日本経営倫理士協会専務理事
千賀 瑛一

 ■「経営陣と理念の一新が必要…」― オリンパス

 経営倫理士450名(2011年12月6日現在)の中から3分の1にあたる150人を無作為に抽出し、12月7日から同15日にかけて無記名方式で調査した。ACBEE発行専門紙「経営倫理フォーラム」掲載の「企業不祥事等の概要一覧表」などを参考に、2011年の企業倫理動向から関心度の高い順に3事例をあげてもらった。

 この調査は、経営倫理、コンプライアンス、危機管理等の諸動向について、専門家である経営倫理士の視点、注目度を探るのが目的。メディア、研究機関等が行うアンケートの中でも、ユニークな調査。回答者の内訳は男性71人、女性13人。回答率は56%。年代別では50代34人、40代30人、30代10人、60代6人、20代4人の順となっている。役職別では管理職が50人と圧倒的に多い。

 アンケートでは(1)企業事例(2)選んだ理由(3)その予防策について質問した。第一位にオリンパス(巨額損失隠し)を挙げた経営倫理士は、選んだ理由として「会社法にのっとった取締役、監査役のあるべき責任への認識が欠如」、その予防策としては「経営陣と理念の一新が必要。社外役員、監査役の見直し、増員が必要」(男性、60代、製造業、管理職)と指摘。

 ■「日本のエネルギー政策の根幹を揺るがす」― 東京電力

 東京電力(原発事故)については「原子力発電の事故ということで、日本のエネルギー政策の根幹をゆるがす重大事故」「社会性が強い企業であることを、経営陣が自覚することから始まる」(男性、60代、サービス業、管理職)としている。また選んだ理由について「原発は絶対安全と言っていた以上、それ相応の対策を日々重ねる必要があった」(女性、40代、医療・福祉業、一般職)という回答も。

 ■「ワンマン経営者の暴走止めるのは容易ではない」― 大王製紙

 大王製紙(巨額不正融資)には、選定理由として「絶対的権力者に異議をとなえられない企業の不幸である。ワンマン経営者の暴走を止めるのは容易ではないことの証左」(男性、50代、情報通信業、管理職)。対応策では「形だけのガバナンスにならないように社外取締役や第三者意見を反映できる体制にしておく必要がある」(男性、30代、製造業、一般職)など。九州電力(やらせメール)では、第一位にあげた理由として「常識的に判断さえすれば、起こりえない不祥事」(女性、50代、サービス業、管理職)、「第三者委員会との対決姿勢と、その後に興味があった」(男性、30代、一般職)という指摘も。

 ■自分の会社の立場で、企業不祥事を考える

 回答の中には「粉飾決算が起こらないよう、当社でも対策の組み直しを実施した」「ガバナンス不祥事では、一般職では物言う限界がわかった。役員教育の必要性を感じた」「他社の不祥事を、自らのものと捉え、対策を検討する」「新聞報道で会社批判された時、キチンと説明して対応できないといけない」など、自分の会社の立場で、企業不祥事対策を考えている経営倫理士の発言も目立った。

 ■コンプライアンス重要ニュースの回答数

73 オリンパス(巨額損失隠し)
52 東京電力(原発事故)
48 大王製紙(巨額不正融資)
34 九州電力(やらせメール)
12 ソニー(大量情報漏えい)
5 田辺三菱製薬(試験データ改ざん)
4 悠香(消費者被害)
3 DeNA(モバゲー)(独占禁止法違反)
2 日本トイザらス(独占禁止法違反)
2 全日空(アルコール検出)
2 厚労省山形労働局(セクハラ行為)
1 防衛省(天下り先補助金問題)
1 フーズ・フォーラム(ユッケ中毒事件)
1 林原(粉飾決算)
1 トヨタ(リコール問題)
1 東急建設(反社会的勢力との関係)
1 千葉県内の卸売市場(ヨウ素が検出された野菜を出荷)
1 ソフトバンク(公告表示の行政指導)
1 原子力安全・保安院(マスコミ対応)
1 警視庁捜査一課(捜査資料提供)

 ◆ 2012年3月1日、シンポジウム「大型危機と対応力 ―企業の場合、都市の場合」

 「大型危機と対応力 ― 企業の場合、都市の場合」をテーマにしたシンポジウムが2012年3月1日に開かれる。

 東日本大震災から1年が経過。この間の企業、都市などの取り組みを振り返りながら、各組織の大型危機への対応力についてアプローチする。今回は、ジャーナリスト、都市危機対応担当経験者、企業リスク対応の専門家三者に、それぞれの立場から発言してもらう。NPO法人 日本経営倫理士協会(ACBEE)が主催する。

 ◎ 開催日時  2012年3月1日(木)13:00~16:30
 ◎ 会  場  こどもの城 セミナーホール(東京・渋谷)
 ◎ 参 加 費  一般:10,000円 経営倫理士:8,000円 ACBEE会員:7,000円
 ◎ 定  員  250人(定員になり次第締め切り)
 ◎ キーノート・スピーカー
   山田 厚史氏(ジャーナリスト)
   パネリスト
   中村 晶晴氏(第一生命保険公法人部 顧問、元東京都危機管理監)
   田中 辰巳氏(リスク・ヘッジ 社長、危機管理コンサルタント)
 ◎対   象  一般市民、企業関係者

 〈経営倫理士とは〉
 NPO法人日本経営倫理士協会が主催する資格講座(年間コース)を受講し、所定の試験、論文審査、面接の結果、取得できる。企業不祥事から会社を守るスペシャリストを目指し、経営倫理、コンプライアンス、CSRなど理論から実践研究など幅広く、専門的知識を身につける。これまでの15期(15年間)で、450人の経営倫理士が誕生、各企業で活躍している。
 現在、経営倫理士(16期)取得講座の申込みを次の通り受け付けている。
 受講スケジュール:2012年5月15日から12月4日まで14回開講。時間はいずれも午後2時から午後4時40分まで。
 会場:青山ダイヤモンドビル9F(JR渋谷駅から徒歩8分)
 内容:経営倫理、CSR、コンプライアンス等について専門講師から14講座18テーマを学ぶ。
 資格取得:期間中2回の論文提出、全講座修了後の筆記テスト、面接試験を受け合格した受講者に経営倫理士資格を授与。
 受講料:185,000円(全講座1名、視察バス代、資料代含む、消費税別途)
 問い合わせは03-5212-4133へ。E-Mailはinfo@acbee-jp.org

 千賀 瑛一(せんが・えいいち)
 東京都出身。1959年神奈川新聞入社。社会部、川崎支局長、論説委員、取締役(総務、労務、広報など担当)。1992年退社。1993年より東海大学(情報と世論、比較メディア論)、神奈川県立看護大学校(医療情報論)で講師。元神奈川労働審議会会長、神奈川労働局公共調達監視委員長、日本経営倫理学会常務理事、経営倫理実践研究センター先任研究員、日本経営倫理士協会専務理事。「経営倫理フォーラム」編集長。日本記者クラブ会員。

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