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深掘り

オピニオン

企業統治のCGネット新理事長・牛島信弁護士に聞く

「社外取締役万能論ではなく、社外監査役も重要だ」

加藤 裕則(かとう・ひろのり)

 コーポレート・ガバナンス(企業統治、CG)に関心がある個人や団体からなる特定非営利活動法人の日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(CGネット)は12月2日、弁護士で理事の牛島信氏を新たに理事長に選んだ。代表理事だった元日本銀行理事の田村達也氏は会長に就いた。社外取締役の導入を努力目標にした会社法改正案がこの11月末に国会に提出されるなど、日本のコーポレート・ガバナンスの方向性が問われ始めている。牛島理事長は企業統治にどのような考え方を持っているのか。また、CGネットをどういう団体にしたいのか。理事長就任を機にインタビューした。

拡大牛島信弁護士
 ――監査役や社外取締役など、日本の企業統治の現状をどのようにみていますか。

 牛島信理事長: 社外取締役の意義は当然だが、これに比べ否定的に語られることが多い監査役制度が現実には機能している。これは私の経験からも言えることだ。監査役会という小さなミーティングの場が重要だ。社内監査役から社外監査役に社内の情報が伝わる。これは日本の社外役員にとって貴重だ。さらに、監査役と会計監査人が協力する仕組みもある。その上、会計監査人の活動には、金融庁が目を光らしている。これは日本的な素晴らしい制度ではないか。ただ、残念なことに、驚くほど監査役に対する注目度が低い。みずほ銀行による反社会的な勢力への融資においても、監査役に対する責任はほとんど問われていない。
 一方で、期待が高まっている社外取締役には、情報収集の場が少ない。月1度程度の取締役会への出席では限界がある。経営に対するアドバイスなども期待される社外取締役だが、意外なほど機能していない。将来は独立取締役に収斂するにしても、現状では単純な社外取締役万能論に与することは出来ない。当面、社外取締役と社外監査役、双方が重要だ。

 ――社外取締役のあり方など、日本ではコーポレート・ガバナンスの議論がなかなか進展しないような気がします。

 牛島理事長: オリンパスの事件の後、制度や法令が大きく変わっただろうか。アメリカは、エンロン事件後、わずか1年でサーベンス・オクスレー法(SOX法)という企業改革法を世に示した。企業不祥事は好ましくないが、将来も起こる。その後、何をするのかが問われている。日本でも、金融庁が会計監査人を対象とする不正リスク対応基準をつくったことは評価に値する。
 ガバナンス論というのは、法律と経済の両方にかかわってくる。さらに、歴史的な観点も不可欠だと考えている。これまでどのようにビジネスを行ってきたか、ということだ。日本の歴史を踏まえないガバナンス論は、まさしく、木に竹を接ぐようなことになりかねない。

 ――日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(CGネット)の役割をどのように考えますか。理事長としてどのようなことをするつもりですか。

 牛島理事長: 私の目標は、日本のビジネス社会に、コーポレート・ガバナンスの考え方を浸透させたいと思っている。ビジネスパーソンに、社外役員(社外取締役と社外監査役)の役割を

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加藤 裕則(かとう・ひろのり)

 1965年10月、秋田県生まれ。岩手大人文社会科学部卒業。89年4月に朝日新聞社入社。静岡支局や浦和支局(現さいたま総局)などに赴任した後、99年東京本社経済部員。その後、名古屋本社経済部員、青森総局次長、大阪本社経済部員。2011年4月から14年9月まで2度目の東京本社経済部員で、金融情報面(株式面)や社会保障取材班を担当した。
 経済記者としては、これまで通産省(現・経産省)、鉄鋼業界、トヨタ自動車(名古屋)、関西空港などを取材してきた。通産省クラブ時代から、コーポレート・ガバナンスや会計監査について自主的に取材を重ね、朝日新聞のオピニオン面に掲載される記者有論などで論じてきた。2014年9月から石巻支局員として東日本大震災からの復興の過程を取材。2018年4月から東京本社の経済部員として財界などを取材している。

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