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東芝、乾汽船、三菱倉庫、京阪神ビル……企業統治を問う株主提案

加藤 裕則(かとう・ひろのり)

 株主提案の「質」が大きく変わっている。今年は経営者を律するコーポレート・ガバナンス(企業統治)の本質をえぐるような提案が数多くあった。三井住友信託銀行の今年6月総会のまとめでは 、ガバナンスに関連した株主提案を受けた上場企業が14社にのぼり、昨年6月総会時に比べて倍増した。さらに、新型コロナウイルスの影響で7月31日に遅らせて株主総会を開く東芝でも、経営体制の変革を迫る株主提案が出てきた。会社側も真剣に検討し、がっぷり四つだ。

 ■私物化されているのか?

拡大関西電力では「脱原子力を推進するための脱原発推進委員会を設置する」など脱原発の株主提案のほかに、「談役、顧問及び嘱託の役職を廃止する」「取締役は10名以内とし、その過半数を社外取締役とする」など企業統治に関する株主提案があった
 投資会社のストラテジックキャピタル(東京都渋谷区)は、6月16日 に大阪市であった京阪神ビルディングの株主総会 に出した株主提案の中で「会社が私物化されている」と指摘した。

 なぜか。

 京阪神ビルディングには、会長・社長ら経営陣5人の取締役と、3人の社外取締役の体制を敷いていた。こ の5人のうち、4人が三井住友銀行の元幹部で占められていた。会長の中野健二郎氏(72)は同行の副会長や関西経済同友会代表幹事を務めた著名な財界人である。監査役3人のうち2人は同行の執行役員や部長だった人物だ。残る経営陣の取締役1人は建設会社の鴻池組の元役員。有価証券報告書によると、同社は1948年の創業だが、社内出身の取締役は一人もいなかった。

 株主提案でストラテジック側は、「不透明なガバナンスを是正するため」として自社の代表取締役の丸木強氏を社外取締役に入れるよう提案した。これに対して、京阪神ビルディングは反対を表明。3人の独立社外取締役が経営の監督を行っていることや、今年6月総会以降は、取締役7人中4人と半数以上が独立社外取締役となり、「不透明なガバナンスとの懸念はない」 と反論した。

 結果的にストラテジック側の株主提案は否決されたが、21.2%の賛成を得た 。一定の評価を得たと言える数値だ。

 ■不祥事などで報酬の返還案も

 投資会社アルファレオホールディングス (東京都千代田区永田町2丁目)が乾汽船に出した株主提案

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加藤 裕則(かとう・ひろのり)

 1965年10月、秋田県生まれ。岩手大人文社会科学部卒業。89年4月に朝日新聞社入社。静岡支局や浦和支局(現さいたま総局)などに赴任した後、99年東京本社経済部員。その後、名古屋本社経済部員、青森総局次長、大阪本社経済部員。2011年4月から14年9月まで2度目の東京本社経済部員で、金融情報面(株式面)や社会保障取材班を担当した。
 経済記者としては、これまで通産省(現・経産省)、鉄鋼業界、トヨタ自動車(名古屋)、関西空港などを取材してきた。通産省クラブ時代から、コーポレート・ガバナンスや会計監査について自主的に取材を重ね、朝日新聞のオピニオン面に掲載される記者有論などで論じてきた。2014年9月から石巻支局員として東日本大震災からの復興の過程を取材。2018年4月から東京本社の経済部員として財界などを取材している。

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