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調査・検証

検証・ロッキード事件

1-7) 宮沢外相と米大使が密談を重ねる 不満がたまる世論

奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 米国の大手航空機メーカーから総理大臣・田中角栄ら日本の政治家に裏金が渡ったとされるロッキード事件は1976年に明るみに出た。この連載『秘密解除・ロッキード事件』では新たな資料をもとに新たな視点からこの事件を見直していく。第1部では、疑惑が発覚した当時に自民党の幹事長を務め、のちに首相になった中曽根康弘のメッセージとして米政府ホワイトハウスに届いたある言葉に焦点をあてる。その第7回。

  ▽筆者:奥山俊宏

  ▽敬称は略します。

  ▽この記事は岩波書店の月刊誌『世界』2011年1月号に掲載された原稿に加筆したものです。

 

 2月9日夜、外相の宮沢喜一は米国の駐日大使ホジソンに緊急の極秘会談を申し入れた。

 国務省へのホジソンの報告公電によれば注12、宮沢の目的は「国務省から日本政府に公式に提供された情報はすべて公表される」ということを米政府に認識してもらうこと。裏を返せば「どのような情報を日本政府に公式に提供するかについて米国は非常に慎重になってほしい」と宮沢は言いたかった――、ホジソンはそう受け止めた。

 2月12日の夜にも、宮沢とホジソンは会談した。国務省へのホジソンの報告公電によれば注13、宮沢は次のように述べた。

 「日本政府は数日の内に国務省を通じて米政府に対し、事情聴取で得られた政府当局者の名前の開示を依頼せざるをえなくなるかもしれません。米政府から公式に提供された情報がどのようなものであっても日本政府はそれを公開しなければならなくなります。米政府はその点について心してほしい。政府内部で協議してきましたが、日本政府としては、個人名の開示はその個人だけでなく、日本政府全体のダメージになるかもしれないと確信しています」

 慎重な言い回しながら、宮沢は、表では情報提供を米政府に求めるが、本音では個人名の開示はしてほしくない、と示唆しているようにもみえる。

拡大外相の宮沢の話を本国に伝えた1976年2月13日の駐日大使館公電

 翌13日、副総理・福田赳夫が

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奥山 俊宏(おくやま・としひろ)

 朝日新聞編集委員。
 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部などを経て特別報道部。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。
 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。近刊の共著書に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)。
 そのほかの著書として『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に 『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。
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